しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:ハレアカラ

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☆☆☆☆☆☆
 前回書いたように,マウナケアに憧れてはじめてハワイ島に行ったころは,まだ,南半球の星空は知らなかったので,ハワイが最も星見に適したところだと思っていました。
 ハワイ島もよかったけれど,観光客が星見をするには場所の少なく人も多かったので,もっと星見に適したところがないかと調べていて,マウイ島にハレアカラという夢のような場所を見つけました。そこでハワイ島に行った翌年に行ってみることにしました。
 ハレアカラはマウナケアとは違って,山頂まで舗装されていて,きわめて楽に登ることができました。日が暮れるとほとんどの人は下山するので,人もいなくなります。おそらくハワイの中で,一般人が星見をするのに最も適な場所ですが,何せ,ここは異国,ひとりで深夜の山の上で星見をするにはちょっと二の足を踏みます。ということで,私は,いいところだなあと思っても,1,2時間程度,満天の星を楽しんだだけでした。しかし,その数年後に再び行ったマウイ島でハレアカラのふもとの町クラに泊まったときにゲストハウスのベランダから見た星もすばらしいものでした。つまり,ふもとの町でも,十分に星を見ることができます。

 さて,今回は天文台の話です。
 このハレアカラにも天文台群があります。しかし,ここは完全に一般とは遮断されていて見学はできないので,遠くからドームを眺めるだけなのが残念ですが,いかにも研究施設という感じがします。前回書いたハワイ島のマウナケアより標高が1,000メートルほど低いのが難点ということですが,それでも富士山程度。何の何の,ここは最高のコンディションでしょう。
 ハレアカラにある施設を調べてみました。ウェブページから引用します。
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 驚くほどの透明度,乾燥した空気,そして静けさと,限られた光害のため,ハレアカラの頂上は世界で最も有数の天体観測の場所です。ここでは,ハワイ大学,アメリカ空軍などが運営する天体物理学の複合施設である「ハレアカラ天文台」があって,ここで行われている研究に世界中から多くの専門家が参加しています。また,空軍が運用する望遠鏡の中には,天体ではなく人工衛星の研究に携わっているものもあります。
 天文台は一般に公開されていませんが,ハレアカラアマチュア天文学者グループが主催する公開イベントがあります。
 以下,天文台にある望遠鏡についての紹介です。
●ミーズ天文台 (Mees Observatory)
 ひとつの赤道儀に多くの機器が取り付けられている独特なものです。
● アトラス (ATLAS)
 ハワイ大学によって開発され,NASAが資金提供する小惑星衝突早期警報システムです。
 100マイル,160キロメートル離れたふたつの望遠鏡で構成されていて,毎晩空全体を自動的にスキャンして接近天体を探します。
● パンスターズ PS1 and PS2(PAN-STARRS PS1 and PS2)
  単一鏡の試作望遠鏡PS1は2007年の8月に設置されました。さらに,現在はPS2がPS1の隣のドームに建設されています。多くの彗星を発見した望遠鏡として有名です。
●LCOフォークス天文台(LCO Faulkes Observatory)
 フォークス望遠鏡はラスクンブレス天文台グローバル望遠鏡ネットワーク(LCOGTN)の教育用です。
●TLRS-4レーザー測距システム(TLRS-4 Laser Ranging System)
 ハレアカラでの初期世代のレーザー測距実験であるLUREによって生成された衛星レーザー測距(SLR)データの時系列を維持するものです。
●東北 T60 and T40(Tohoku T60 and T40)
 日本の東北大学ハレアカラ天文台は惑星の外気圏・磁気圏からの微弱な放射を継続的に監視することを目的として、2006年3月に設置されたものです。
● 黄道光天文台(Zodiacal Light Observatory)
 黄道光天文台には次のふたつの機器があります。
 0.5メートルのコロナグラフです。この望遠鏡は多くの太陽および冠状実験に使用されます。
 デイ・ナイトシーイングモニター(DNSM)は,差分画像の動きを測定します。
●高度な電気光学システム(Advanced Elwctro-Optical System = AEOS)
 3.67メートルのAEOS望遠鏡は空軍で最大かつ最先端の望遠鏡システムです。
 ハワイ大学では,この望遠鏡で高解像度の可視および赤外線分光器と分光偏光計設備機器を操作しています。
●マウイ宇宙監視サイト(Maui Space Surveillance Site = MSSS)
 マウイ宇宙監視サイトは,アメリカ空軍フィリップス研究所の資産である空軍マウイ光学ステーション(Maui Optical Station = AMOS)の組織です。
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●人間はもっと謙虚であるべきだ。●
 いよいよツアーバスがやってくる時間になった。今回マウイ島に来た目的はハレアカラというところがどういうところか知りたかったからであった。山頂で夕日が沈むのを見てその後に現れる満天の星空が満足に見られるところなのか,それとも日本の観光地のようにどこも人にあふれているところなのか…。
 保険をかける意味でさっそく到着した日にツアーの予約をしたのだがツアーを待つ間もなく私は自分でそれを実現してしまった。そして今日はツアーで再び山頂に行くことになった。

 マウイ島で星空観察を行っているのはマウイオールスターズというツアー会社だったが,実際は山内さんがオーナー兼ガイドをやっている個人営業のような会社であった。
 山内さんの話では,マウイ島では州の規定で一度に11人までしかツアーで山に登るのが認められていないということで,それがハレアカラの山頂に多くのツアー客が押しかけることのない秩序となっていたし,ハワイ島のマウナケアと違って山頂まで舗装道路があってレンタカーを使えばだれでも登れるのはハレアカラの山頂に軍の施設があるというのが理由であった。

 私が参加したツアー御一行様は4人連れの家族と5人連れの家族,そして日本語ペラペラの中国人と私であった。
 実は実は,この山内さんは意外なところで意外なつながりが後で発覚するのだ。まさしくビックリポンである。地球は恐ろしく狭いのであった。事実は小説より奇なりである。そのことは今後の展開が楽しみなのでここでは書かない。しかし,私がいつも思うのは,まるでインフレ―ジョン宇宙のように勇気を出して日本から一歩外に出てみると,突如世界は自分の力を越えてものすごい広がりを見せるということなのである。学校の成績がどんなによかろうと一流企業に入って出世しようとお金持ちになろうと,それでは得られない世界があるということなのだ。
 だから,若者よ,旅に出よう!

 ツアーはまずドーナッツ屋さんへ行ってドーナッツを食べて,次にスーパーに寄ってそれぞれが自分の好きな夕食のお寿司を買って(このお寿司一応予算があるそうだが,まあ,少しくらい越えてもいいらしい),クラロッジによって時間をつぶして,それから山に登って夕日を見て,暗くなるまで待って山頂から少し降った駐車場で望遠鏡で星を見るというものだった。
 私の予想に反してこのツアーは人気があって,山内さんは連日このハレアカラの山頂に登っているのだそうだ。今後も1日も長くこのツアーが続けばいいと願う。

 このマウイ島ハレアカラの天体観察ツアーに加えて,私はここ2年でハワイ島マウナケアの天体観察ツアー,そして,ニュージーランド・テカポ湖畔の天体観察ツアーに参加した。そして,自力でもこうした場所で星空を見ることができた。そしてまた,アラスカ・イエローナイフではオーロラ観察をすることもできた。そうして得た結論は,人間がいかに科学を発達させようとも,神の作りたもうたこの大自然を凌駕することは不可能だということである。人間はもっと謙虚であるべきなのだ。

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 もはや地球は自然科学の真理を追究するには狭すぎる場所となってしまったのかもしれません。
 素粒子論を実証する実験をする加速器を作る場所も,狭い地球上では加速器の大きさに限界があります。同じように,天文台を作るにも,ハワイや南アメリカくらいしか最適な場所は残っていません。そこで,現代科学の粋を集めた巨大望遠鏡がそうした場所に続々と作られ始めました。
 
 私は,これまでに書いたように,かつてアメリカに建設された今や旧式となったパロマ望遠鏡のような巨大望遠鏡は,未だこの目で直に見ていません。
 それに代わる現代の巨大望遠鏡については,南アメリカは遠く行く機会もありませんが,ハワイ島マウナケア山の山頂とマウイ島ハレアカラ山の山頂には行くことができました。
 マウナケア山には日本のすばる望遠鏡をはじめとする12基の観測装置があります。私は,すばる望遠鏡はドームしか見ていないのですが,そのお隣にあるアメリカのケック望遠鏡はガラス越しにその雄姿を見ることができました。マウナケア山は標高が4,200メートル以上もあって,しかも道路は途中が舗装されていないので登るのは困難です。
 一方,ハレアカラ山にはアメリカ海軍やハワイ大学の天文台があって,こちらは標高が約3,000メートルで,しかも,山頂まで道路が舗装されているので楽に登ることも可能で,環境的にはずっと恵まれています。
 有名なマウナケア山には中腹のビジターセンターで星を見る一般向けの多くのツアーがあるので観光客が押しかけるのですが,ハレアカラ山のほうはそうでもなく,現地ツアーと日本のツアーくらいしかないので,むしろ,アマチュアの人が満天の星をみたければ,ハレアカラ山のほうがずっと恵まれています。

 ……と,私はつい先日まではそう思っていました。しかし,南天で星を見てしまうと,その魅力に圧倒されしまい,ハワイでの星空には魅力をなくしました。おそらくそれはプロの学者さんも同じであるようで,日本の国立天文台でも,一時はあれほどすばる望遠鏡の話題が独占されていたのが,近頃の話題は南アメリカ・チリにあるアルマ望遠鏡ばかりです。
 しかし,一般の観光客には南アメリカは遠いので,南天の星空を見るには,ニュージーランドやオーストラリアに行くということになります。

 その中で,ニュージーランドは景色も美しく国自体も広くないので,数日の観光でほとんどの見どころに行くことができるので人気の観光地です。そこに加えて,テカポ湖という星を見るのに絶好の場所があって,星空観察ツアーが観光ツアーに組み込まれているので,脚光を浴びています。私はそうした事情を知らなかったのですが,偶然テカポ湖に行きました。
 テカポの町の近くの山の上にマウントジョンという天文台があります。これは日本の名古屋大学の天文台です。しかし,テカポ湖にはそれ以外にめぼしい天文台がありません。本当に条件がよければ,もっと世界中から多くの天文台が建設されるはずなのです。行ってみてわかったのですが,ここは,天気があまりよくなく,プロが天体観測をするにはあまり適していないのです。

 オーストラリアにも行ってみました。ニュージーランドよりもオーストラリアの方が近いから何もニュージーランドまで行かなくてもいいのではないか,というのがその理由でした。そして,満天の星空に感動しました。実際,一般の人が気軽に南天の星空を堪能するには,オーストラリアが最も適しているようなのです。そこで私も,これからは年に1度はオーストラリアで星を見ようと思っているこのごろなのです。オーストラリアというのは,西側の海岸線に沿ったいくつかの都会以外はめぼしい観光地がないのです。そういった意味では,オーロラを見るくらいしか楽しみのないという点でアラスカに似ています。
 夏のアラスカと冬のオーストラリアは似ているなあ,というのが,両方に行ってみた私の印象です。

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