しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:ポンス・ブルックス彗星(12P_Pons-Brooks)

DSC_8439snxDSC_0116s

☆☆☆☆☆☆
 M31アンドロメダ銀河に接近したり,木星に接近したりと,話題もたくさんあったポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)も,そろそろ見納めです。夕方の西の低空,しかも春霞の中となると,条件は悪く,期待以下になってしまいました。天気が悪い日の多く,満足に見ることができませんでした。
 せめて,明け方の東の空だったら,少しはマシだったのに,と思いました。

 悪いコンディションだったポンス・ブルックス彗星でした。
 こうしたときに思い出すのは,オーストラリアで星を見たときのことです。日本とは違い,太陽が沈むや否や,澄んだ空に星が見えてきて,日没後1時間もすれば,地平線まで満天の星が輝いていました。そういう環境なら,さぞかし,肉眼でも,ポンス・ブルックス彗星のすばらしい姿を見ることができたのになあ,ということでした。
 日本の灰色の濁った空では,もちろん,双眼鏡でもその姿を見ることは無理で,写真を撮ると,かろうじて写るくらいのものでした。ならば,少しは空のきれいな山奥へ行こうとしても,高度が低いから山に隠れてしまって,姿を見ることはできません。では海岸に行けば,ということですが,2020年7月,ポンス・ブルックス彗星と同じように,夕方の西空に見えたネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)は,世紀の大彗星だったので,私は,最高の条件で見ようと,北海道のサロベツ原野まで出かけたのですが,4等星程度の彗星ではそこまでの情熱も湧きませんでした。

 せめてもと,私が密かに最後の期待をしていたのは,2024年4月10日でした。
 この日は,ポンス・ブルックス彗星は木星の5度下にあって,その右横に月齢1.7が接近したことで,木星と月とポンス・ブルックス彗星を入れた写真を写そうと思っていたのですが,天気が悪くて見ることができず,落胆しました。
 もう,日本で美しい彗星の写真を写すなどということを期待すること自体,考えないほうがよいのかもしれないなあ,と感じたことでした。

キャプチャ434106889_2529183210601835_1098881236293168103_nIMG_5184sキャプチャIMG_2625comet


◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_2690nxDSC_2696xsDSC_3010sxDSC_3013x

☆☆☆☆☆☆
 2024年2月12日は,天気がよく,太陽やら月やら彗星を写すのに忙しい日になりました。というか,自分で勝手に忙しくしていました。
 まず,太陽です。
 現在,太陽の表面にすごくたくさんの黒点があります。そこで,何となく写したのが1番目の写真です。数年前には,まったく黒点がなかったのがうそのようです。
  ・・・・・・
 太陽の表面にあらわれる黒いはん点を太陽黒点とよびます。黒点はふつう中央の暗部とまわりの半暗部からなっており,暗部の温度は約4,000度,半暗部は5,500度です。光り輝く太陽の表面の温度は約6,000度なので,,温度の低い黒点の部分が暗いはん点として見えるのです。
 太陽全体では約11年の周期で,表面にあらわれる黒点の数は増減し,黒点周期とよばれます。
  ・・・・・・
 ということで,私は,特に太陽に興味があるわけでもないのですが,2017年に,アメリカで皆既日食を見るために持っていこうと購入し,太陽観測用に改造した,安価で軽いMILTOLという望遠鏡が役割を終え,そのままではもったいないで,自宅で太陽の黒点を撮影するために使っているのです。ちなみに,今年,2024年4月8日,再び,アメリカ横断皆既日食があります。

 次が月です。
 2月12日は月齢2.4。月の満ち欠けなど,珍しくもないのですが,この時期は空が澄んでいるので,とりわけ美しいのです。そこで,まだ,太陽が沈むまえに写したのが,2番目の写真です。その後,太陽が沈んだら,とりわけ美しい地球照が見えるようになったので,再び写したのが3番目の写真です。
  ・・・・・・
 地球照は,月が欠けて暗くなっている部分が地球に照らされてうっすらと見える現象です。英語には「the old moon in the new moon's arms」という慣用句があります。
 これは,地球が反射した太陽の光が再び月の夜の部分を照らし,その光がまた地球に反射して見えるのです。太陽が地球を照らして反射する明るさは,満月の70倍もあるので,青く輝く地球の光が月面の影の部分を照らすのです。
  ・・・・・・

 そして,最後がポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)です。午後7時25分に写しました。
 先月1月11日にも写しましたが,それから1か月過ぎて,かなり明るくなりました。2か月後には最も明るくなるので,楽しみです。
 しかし,夕方の西の空低い位置にいるので,よほど空の開けた,しかも暗い場所があるところでないと,捉えることが困難です。また,明け方の北東でも見られるのですが,こちらもまた高度が低く,さらにむずかしいでしょう。

◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_3003unx

☆☆☆☆☆☆
 2024年はふたつの明るくなる彗星が接近するようです。
 そのひとつは,「紫金山・アトラス彗星」(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)で,この彗星についてはすでに書きました。もうひとつがポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)。今日はそのお話です。
  ・・・・・・
 ポンス・ブルックス彗星は周期70.06年の周期彗星です。有名なハレー彗星は周期75.32年なので,同じような周期で,しかも,ともに明るくなるのですが,ハレー彗星ほど知られていません。
 近日点通過,つまり太陽に最も近づくのは2024年4月20日で,その距離は0.7780天文単位,近地点通過,つまり地球に最も近づくのは2024年6月2日から3日で,その距離は1.546天文単位です。1天文単位は地球と太陽の平均距離をいい,約1億5千万キロメートル,正確には149,597,870,700メートルです。
  ・・
 ポンス・ブルックス彗星は,1812年7月21日にジャン・ルイ・ポン(Jean-Louis Pons),8月1日にヴィンセント・ウィズニフスキー(Vincent Wisniewski),8月2日にアレクシス・ブヴァール(Alexis Bouvard)によって発見され,それらは同じ彗星として,エンケ彗星(2P/Encke)で有名なヨハン・フランツ・エンケ(Johann Franz Encke)が70.68年の周期を持つ軌道を計算しました。
 その70年後の1883年,ウィリアム・ロバート・ブルックス(William Robert Brooks)によって再発見されたことで,ポンス・ブルックス彗星となりました。
  ・・・・・・

 今回の接近は,2020年6月10日にアメリカ・ローウェル天文台(Lowell Observatory)のディスカバリーチャンネル望遠鏡により,23等星で太陽から11.89天文単位離れていたときに検出されました。
 その後,順調に太陽に近づき,光度を上げ,春に4.5等星まで明るくなるといわれていますが,昨年2023年7月20日に5等級の爆発現象(アウトバースト)を起こして11.5等まで急増光,11月15日には再びアウトバーストを起こして,9.4等まで急増光したということです。
 彗星は,惑星を作った構成物質(planetesimals)の生き残りで,太陽系形成以降46億年間,太陽系の果てで冷凍保存されてきたものが何かのきっかけで太陽系の内側に入り込み,太陽の熱による氷の昇華で物質を巻き散らかしているものです。こうしたアウトバーストでは,放出されたエネルギーはマグニチュード7.0に匹敵し,彗星核の地下にあるエネルギーが爆発していると考えられますが,彗星は一旦アウトバーストを起こすと表面の不活性層が剥ぎ取られて活発に活動し,数年のうちに枯渇するといわれているので,ポンス・ブルックス彗星の将来が心配されますが,次の回帰は70年も先のことです。

 さて,ポンス・ブルックス彗星は現在ははくちょう座にあって,夕方の西北西の空に午後8時30分ごろに沈むまで8等星程度で見えます。今日の1番目の写真は,2024年1月11日午後7時35分に写したものです。
 1か月ほどははくちょう座を北に向かって進むので,彗星としては地平線からほぼ同じ高度を保ち続けながら西の方向に動いていき,それとともに明るくなっていきます。4月10日くらいが最も明るく4等星ほどになります。その後は日没が早くなって,見えなくなります。つまり,太陽に近づきます。

Comet-pons-brooks 12P-Pons-Brook-July-2023-S 4_4


◇◇◇


◇◇◇
ISS.

2024年1月15日午後6時15分。
国際宇宙ステーションが月の横を通過しました。


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

このページのトップヘ