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M31アンドロメダ銀河に接近したり,木星に接近したりと,話題もたくさんあったポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)も,そろそろ見納めです。夕方の西の低空,しかも春霞の中となると,条件は悪く,期待以下になってしまいました。天気が悪い日の多く,満足に見ることができませんでした。
せめて,明け方の東の空だったら,少しはマシだったのに,と思いました。
悪いコンディションだったポンス・ブルックス彗星でした。
こうしたときに思い出すのは,オーストラリアで星を見たときのことです。日本とは違い,太陽が沈むや否や,澄んだ空に星が見えてきて,日没後1時間もすれば,地平線まで満天の星が輝いていました。そういう環境なら,さぞかし,肉眼でも,ポンス・ブルックス彗星のすばらしい姿を見ることができたのになあ,ということでした。
日本の灰色の濁った空では,もちろん,双眼鏡でもその姿を見ることは無理で,写真を撮ると,かろうじて写るくらいのものでした。ならば,少しは空のきれいな山奥へ行こうとしても,高度が低いから山に隠れてしまって,姿を見ることはできません。では海岸に行けば,ということですが,2020年7月,ポンス・ブルックス彗星と同じように,夕方の西空に見えたネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)は,世紀の大彗星だったので,私は,最高の条件で見ようと,北海道のサロベツ原野まで出かけたのですが,4等星程度の彗星ではそこまでの情熱も湧きませんでした。
せめてもと,私が密かに最後の期待をしていたのは,2024年4月10日でした。
この日は,ポンス・ブルックス彗星は木星の5度下にあって,その右横に月齢1.7が接近したことで,木星と月とポンス・ブルックス彗星を入れた写真を写そうと思っていたのですが,天気が悪くて見ることができず,落胆しました。
もう,日本で美しい彗星の写真を写すなどということを期待すること自体,考えないほうがよいのかもしれないなあ,と感じたことでした。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは