●人間はもっと謙虚であるべきだ。●
いよいよツアーバスがやってくる時間になった。今回マウイ島に来た目的はハレアカラというところがどういうところか知りたかったからであった。山頂で夕日が沈むのを見てその後に現れる満天の星空が満足に見られるところなのか,それとも日本の観光地のようにどこも人にあふれているところなのか…。
保険をかける意味でさっそく到着した日にツアーの予約をしたのだがツアーを待つ間もなく私は自分でそれを実現してしまった。そして今日はツアーで再び山頂に行くことになった。
マウイ島で星空観察を行っているのはマウイオールスターズというツアー会社だったが,実際は山内さんがオーナー兼ガイドをやっている個人営業のような会社であった。
山内さんの話では,マウイ島では州の規定で一度に11人までしかツアーで山に登るのが認められていないということで,それがハレアカラの山頂に多くのツアー客が押しかけることのない秩序となっていたし,ハワイ島のマウナケアと違って山頂まで舗装道路があってレンタカーを使えばだれでも登れるのはハレアカラの山頂に軍の施設があるというのが理由であった。
私が参加したツアー御一行様は4人連れの家族と5人連れの家族,そして日本語ペラペラの中国人と私であった。
実は実は,この山内さんは意外なところで意外なつながりが後で発覚するのだ。まさしくビックリポンである。地球は恐ろしく狭いのであった。事実は小説より奇なりである。そのことは今後の展開が楽しみなのでここでは書かない。しかし,私がいつも思うのは,まるでインフレ―ジョン宇宙のように勇気を出して日本から一歩外に出てみると,突如世界は自分の力を越えてものすごい広がりを見せるということなのである。学校の成績がどんなによかろうと一流企業に入って出世しようとお金持ちになろうと,それでは得られない世界があるということなのだ。
だから,若者よ,旅に出よう!
ツアーはまずドーナッツ屋さんへ行ってドーナッツを食べて,次にスーパーに寄ってそれぞれが自分の好きな夕食のお寿司を買って(このお寿司一応予算があるそうだが,まあ,少しくらい越えてもいいらしい),クラロッジによって時間をつぶして,それから山に登って夕日を見て,暗くなるまで待って山頂から少し降った駐車場で望遠鏡で星を見るというものだった。
私の予想に反してこのツアーは人気があって,山内さんは連日このハレアカラの山頂に登っているのだそうだ。今後も1日も長くこのツアーが続けばいいと願う。
このマウイ島ハレアカラの天体観察ツアーに加えて,私はここ2年でハワイ島マウナケアの天体観察ツアー,そして,ニュージーランド・テカポ湖畔の天体観察ツアーに参加した。そして,自力でもこうした場所で星空を見ることができた。そしてまた,アラスカ・イエローナイフではオーロラ観察をすることもできた。そうして得た結論は,人間がいかに科学を発達させようとも,神の作りたもうたこの大自然を凌駕することは不可能だということである。人間はもっと謙虚であるべきなのだ。
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2017春アメリカ旅行記-マウイ島の植物園と博物館④
●自己嫌悪に陥るのであった。●
私は再びパイアの町にやって来た。パイアの町は通り抜けてはいたものの車を停めて散策したことがなかったからであった。この町を通る州道36だけがマウイ島の東側の北の海岸線をハナまで行く唯一の道路なのであるが,この道路はパイアで必ず渋滞に巻き込まれる。それは,車を駐車するスペースや駐車場が少ないからである。
アメリカは広いから日本と違っていくらでも土地があるような気がするだろうが,実は,こうした小さな町では道路のまわり一帯がショッピング街になっていて,そうした町は日本とは違って路上駐車が可能なように道幅があるのだが,そこはいつもほぼ車が一杯で駐車スペースを探すのが容易でないのだ。
ここパイアの町もまた同様であった。探してみると,パイアでは町のはずれに駐車場があって,そこなら車を停めるスペースが若干はあった。しかしこの駐車場から出るにはひっきりなしに車道に車が走っていてしかも信号がないからとても大変なのであった。そんな状況で車が駐車場から出入りするから今度は車道がふさがれるのでこの道路は車が一日中滞るのである。
こうした町は,このマウイ島のパイアやワイルク,ハワイ島のカハルウ(Kahaluu),カウアイ島のカパア(Kapaa)といったハワイの町だけでなく,オーストラリアやニュージーランドにも多くある。私はここ数年,そうした町にずいぶんと行ったので,今思い出すとそれらの町がこんがらがってしまっていて,どの町がどうだったのがさっぱり思い出せないのだ。
とはいえ,こうした町にあるのはレストランやら土産物屋やらブティックやらであるが,そのどれも私が興味をそそられるようなところではないのである。強いて言えば私に用があるのは食堂くらいのものだが,とはいえ,こうした町にある食堂はどこも高いだけなのである。
パイアの町もまた同様であった。
やっと車を停めた私はさほど広くもないパイアの町の南側の歩道を歩いて町はずれまで行って,そこで道路を渡って今度は北側の道路を引き返してきただけであった。
こうした町の楽しみ方を覚えない限り,私は今後,海外旅行をしても暇を持て余すだけでないのかと,正直心配をしているわけだ。
この日の夜はハレアカラの天体観察ツアーに参加することになっていたので,3時50分にそのピックアップがホテルに来るからその時間までにホテルに戻ることにした。
夕食はツアーに含まれていたから,お昼は軽くおやつ代わりに何かを食べることにして,いつものホテルの近くのマウイモールのフードコートに寄ってハンバーガーを注文した。
結局これではわざわざハワイに行かずとも,自宅にいて気が向いたときに家の近くの(我が家の近くには3つもショッピングモールがあるのだが)モールに行ってマクドナルドでコーヒーでも飲んでいるようなものではないか。私は自己嫌悪に陥るのであった。
2017春アメリカ旅行記-マウイ島の植物園と博物館③
●移民時代の歴史がわかる博物館●
この日は「地球の歩き方」に載っていた中央マウイの博物館巡りから「マウイ・トロピカル・プランテーション」と「アレキサンダー&ボールドウィン砂糖博物館」を訪れた。「マウイ・トロピカル・プランテーション」を見学した後,私は「アレキサンダー&ボールドウィン砂糖博物館」に向かった。
「マウイ・トロピカル・プランテーション」から南に州道30を走り,左折して州道380を今度は北北東に進路を変えて,今度は右折して州道331を南に行くとこの博物館は数日前に朝食を食べたレストラン「ジッピーズ」の近くにあった。
博物館は州道331の左手にあって少し州道から入ったところにあったので注意深く道路標示を探して左折すると博物館があって,駐車場に車を停めた。
ここもまたアメリカの博物館らしく,ほどんど目立つ看板もなく,入っていいのかしらん,というような入口から中に入った。
「アレクサンダー&ボールドウィン砂糖博物館」(Alexander & Baldwin Sugar Museum)というのはマウイ島のプウネネにある博物館でり,1987年にオープンした。
ブウネネはかつてサトウキビ産業で栄えた古い町で町(といっても町らしいものもないけれど)の中心にあるアレクサンダー&ボールドウィン製糖工場は今も稼働している。
博物館はその一角にあって,アレクサンダー&ボールドウィンを含むハワイの砂糖産業の歴史資料が展示されている。博物館となっている建物はもともと農地管理のための施設で1902年に作られたものをそのまま使用している。
ハワイのサトウキビ農場は日本からも多くの移民が入植し,厳しい環境の中で生活をしていた。この決して大きくない博物館には,そうした移民が日本からもってきた荷物だとか,暮らしていたころの生活用具とか,さらには仏壇までもが展示されていた。
何度も書くように,現在のハワイは観光地として多くの日本人が訪れて,そのほとんどがオアフ島のホノルルに滞在しているのだが,一旦そこを離れると,サトウキビ農場やコーヒー農場に,そうした時代の移民の暮らしぶりを今も感じることができて,私は考えさせられるものがある。
博物館の外に出ると,畑の整備に使われたオーブンや運搬に使用されたカフルイ鉄道の車両などが無造作に置かれていた。
博物館というのは,いわば,使われなくなった「ガラクタ」の物置場なのだが,それを処分するでなく,こうして展示することで,その時代の人たちの生きた証となることに意義を感じるのだった。
2017春アメリカ旅行記-マウイ島の植物園と博物館②
●マウイ・トロピカル・プランテーション●
「マウイ・トロピカル・プランテーション」(Maui Tropical Planttation)はワイルクからマアラエアに行く州道30の途中にある。イオア渓谷に行くことができなかった私は,次にこの「マウイ・トロピカル・プランテーション」に向かった。私は駐車場に車を停めて中に入った。「マウイ・トロピカル・プランテーション」というのは農業博物館,というよりも植物園のようなところである。
このプランテーションの広さは120エーカーもある。といっても,エーカーという単位がよくわからない。よくよく考えるに,日常からさまざまな「単位」というものは必要不可欠であるにもかかわらず実はかなり理解がいいかげんなのである。それに,海外,特にそれはアメリカであるが,日本とは使われている単位が違うので非常に困るのである。
そもそも日本だって土地の広さでは今でも「坪」という単位を使っているが学校では一切教えず,そんな単位はないものとなっている。しかし,本当にそれでいいのであろうか? むしろ古典で助動詞の活用を学ぶことよりもこうした単位を覚えることのほうがずっと有意義である。
ということで,ここで「エーカー」について少し考えてみたい。
1エーカー(acre=ac)は約4047平方メートルである。坪にすれば1224.17坪であるが,坪の方がむしろわかりやすいだろう。また,1エーカーは0.40468564224ヘクタール,つまり約0.4ヘクタールということだ。
1ヘクタールというのはは100アールであり,1アールは100平方メートルだから,1ヘクタールとは1辺が100メートルの正方形,つまり,野球場くらいのものであるので,1エーカーというのは野球場の0.4倍というところである。そこで,120エーカーというのはその0.4倍の48ヘクタール,つまり,野球場48個分ということになる。
つまり,エーカーを0.4倍した値を野球場1個分と考えればいいわけだ。
そもそも,エーカー (acre) という名前は、ギリシャ語で「牛のくびき」を意味する言葉に由来し,「雄牛2頭引きのくびきを使って1人が1日に耕すことのできる面積」として作られたものだそうだ。
この「マウイ・トロピカル・プランテーション」の入場料は無料である。広い園内には「トロピカル・エクスプレス」という電気自動車が走っていて,バナナやパパイヤ,アボカド,マカダミア ナッツなどの畑を通るが,これは有料である。私は歩くほうが早いとばかりに園内をくまなく歩いて回ったが,暑かったのでかなりばてた。
このプランテーションには5つのジップラインがあって,子供たちが遊んでいた。ハワイには珍しいアミューズメントパークであった。
アウトドアコンサートやココナッツ剥き,パイナップルのカット実演,そして,ミルハウスレストランではディナー ショーが行われたりもするそうである。
2017春アメリカ旅行記-マウイ島の植物園と博物館①
●天文ファンの聖地●
☆5日目 3月26日(日)
7泊9日のこの旅の5日目で,1日目はオアフ島を観光して夜このマウイ島に来たからマウイ島の4日目であった。今日を含めてまだ3日ある。
海外旅行というのは時差があるので日数を数えるのがとかく難しい。ハワイであれば時差が-19時間もあるので(つまり19時間もとに戻れるので),7時間かけて到着しても12時間過去に戻れるわけで,1日目の夜9時30分に日本を出発しても12時間引くと午前9時30分,つまり,同じ日の朝到着するからその日の観光ができる。反対に帰りは朝出発しても日本はその時間よりも19時間先を行っているのですでに翌日になっていて,しかも帰りはジェット気流の関係で行きよりも時間がかかるから日本に帰国すると次の日の夕刻になってしまう。
つまり,7泊9日であれば,実質観光できるのは1日目から7日目の7日間ということになる。そして,今日がその5日目ということであった。
それにしても,マウイ島だけで6日間というのは長い。ツアーであればマウイ島に滞在するのは長くて2泊だろう。こんな旅をしている日本人も少ないであろうが,そこで私はマウイ島を隅々まで見て回ることができた。
何度も書くが,このマウイ島という島はリゾートから古い町並みまで,要するに,ディズニーランドから房総半島や高山までというような,狭い島なのに様々な面をもつ島であった。
今日の1番目の写真はホテルからハレアカラの山頂を望んだもので,天文台のドームがきれいに見えた。この天文台こそ,現在彗星を多く発見している「パンスターズプロジェクト」(PanSTARRS Project)を遂行しているまさに総本山,いわば天文ファンの聖地である。
星を見るにはハレアカラの3,000メートル級の山頂はハワイ島マウナケアの4,000メートルよりも低くそれだけ寒くなく天気もよく道路もよいのでずっと便利なのである。
今日は夕方からハレアカラの夕日と星空を見る日本語ツアーに参加することになっていた。来るまで予定はなかったが調べてみるとそうしたツアーがあるのをインターネットで知って予約をしたらなんと2日前にハレアカラをドライブしていたときに電話がかかってきて,この日しか空きがないと言われた。結局その日も含めて2回も個人でハレアカラに昇ったのでいまさら参加する必要もなかったのだが現地の様子とかいろんな情報を得るには参加するのも意味があるかなあ,と思ってキャンセルしなかった。ツアーは3時50分にホテルに迎えにくるということだった。
朝食はホテルの敷地内にある「タンテス」(Tante's)というレストランにした。このレストランは非常に評判のよい店だそうである。
9時頃にホテルを出発して,まず,車で10分程度のところにあるイアオ渓谷(Iao Valley State Park)に向かった。イアオ渓谷は針のようにとがった異形を見せるイアオ・ニードル(Iao Needle)をはじめとして,マーク・トウェンが「太平洋のヨセミテ」とよんだほどの渓谷美ということで,マウイ島一番の見どころであるらしい。
イアオ渓谷はワイルクのダウンタウンから少しわかりにくい道路を西マウイの山のほうに向かって走っていくとある。道路は日本の山道のようになってきたのだが,なぜか途中で通行止めになっていた。
こういうのがまたアメリカらしいのだ。この道路を走るのは渓谷に行く観光客くらいのものだからワイルクあたりに道路標示でもあればいいのにそんな気はもうとうないらしい。なんでも豪雨で道路が破壊されてしまったらしい。引き返すしかなかったが,結構多くの観光客が私と同じように途方にくれていた。