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【Summary】
Louise Farrenc’s Symphony No. 3, long forgotten due to gender bias and historical context, revealed Beethoven-like strength and lyrical beauty—truly a rediscovered gem.

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 2025年9月20日,京都コンサートホールで,京都市交響楽団第704回定期演奏会を聴きました。
 指揮は沖澤のどかさん,曲目は,ルイーズ・ファランク(Louise Farrenc)の交響曲第3番とリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」で,「シェエラザード」のヴァイオリンソロを石田泰尚さんが演奏しました。
 今回もまた,何とすばらしく粋なプログラムなのでしょう。毎回毎回,行くのがとても楽しみです。

●ルイーズ・ファランクの交響曲第3番
 ルイーズ・ファランク? 誰それ? という感じで,私の持っている「交響曲読本」にも「名曲大事典」にもその名はありませんでした。調べてみると
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 ルイーズ・ファランクは,1804年に生まれ,1875年に亡くなった,19世紀のフランス・ロマン派時代に活躍した作曲家・ピアニスト・教育者で,同時代にはメンデルスゾーン,シューマン,ショパン,リストなどがいます。
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ということでしたが,ルイーズ・ファランクが忘れられていた理由は,彼女の音楽的才能とは無関係な,社会的・文化的な要因が大きく関係しているそうです。
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 まずは,性別による偏見です。19世紀の音楽界は圧倒的に男性中心で,パリ音楽院で初の女性教授となるなど,当時としては異例の成功を収めましたが,女性作曲家の作品は体系的に記録・演奏される機会が少なく,死後は急速に忘れられていきました。
 次が,ジャンルの選択です。フランスでは,当時,オペラが主流で,交響曲や室内楽はあまり注目されていませんでした。ファランクは交響曲や室内楽を中心に作曲していたため,時代の流れと合わなかったという面がありました。
 そして,出版と演奏の機会の不足でした。彼女の作品は生前にある程度出版されましたが,死後は楽譜の流通が滞り,演奏機会が激減しました。特に,交響曲などの大規模作品は,楽譜が入手困難だったために演奏されることがほとんどなくなりました。
 最後に,家族の喪失と創作活動の停滞です。夫と娘を相次いで亡くしたことで,作曲活動をほぼ停止してしまいました。
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 ルイーズ・ファランクの作曲した交響曲は3曲ありますが,今回演奏された交響曲第3番は,1847年ごろに完成し,1849年に初演されたものだそうです。
 もちろん,私ははじめて聴きました。
 第1楽章と終楽章は,ベートーヴェンを彷彿とさせる緊張感と構築美があって,ドラマティック,また,優雅で抒情的な旋律が展開される第2楽章,スケルツォの躍動感が感じられる第3楽章というように,古典派の交響曲の模範のような構成になっているのですが,そこに,一味も二味もひねりや聴きどころが用意されていて,聴きやすく,かつ,深みのある曲でした。また,すっとこころに入ってきました。 
 どうして,こんなにもすばらしい曲が埋もれていたのでしょう? それがまた,どこから発掘されたのでしょうか?
 いずれにしても,1980年代以降,フェミニズム運動やマイナー・レーベルの台頭によって,女性作曲家の再評価が進み,ルイーズ・ファランクの作品も徐々に録音・出版されるようになりました。今回の指揮者が女性であることも幸いして,こうした曲に出会えたのは,幸運な限りです。
 ルイーズ・ファランクの音楽は,ベートーヴェンやメンデルスゾーンに匹敵する構成力と情感をもっていて,まさに「埋もれた宝石」といえるものでした。

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