DSC_2376DSC_2379DSC_2382DSC_2388DSC_2398●「ロッキー」とフィラデルフィア美術館●
 私がフィラデルフィア美術館へ行くことにした目的はロッキーステップの最上段にあるロッキーの足型を見ることであった。数日前に来たときに念願のロッキーの銅像は見たのだが,時間がなく,足型を見忘れたのだった。
 ホテルから30分ほど歩いていくと,まず,右手にロダン美術館があり,その向こうにフィラデルフィア美術館が見えてきた。ロダンの「考える人」は日本でも見ることができるから,特に興味を感じなかったのでパスして,私は目的のロッキーステップに急いだ。

 映画「ロッキー」シリーズに登場するフィラデルフィア美術館であるが,シルヴェスター・スタローン扮する主人公ロッキー・バルボアがトレーニングのために駆け上る美術館正面階段が「ロッキー・ステップ」と呼ばれているところで,現在,その階段下の右手の部分にロッキーの銅像が設置されていることはすでに書いたとおりである。
 この銅像は「ロッキー3」の撮影のために階段の上に置かれたが,その後「ワコビア・スペクトラム」に移された。
 「ワコビア・スペクトラム」(Wachovia Spectrum)はかつてフィラデルフィアにあった屋内競技場である。場所は,私が見たMLB・フィラデルフィア・フィリーズのホームグランドのあるシチズンズパークのあるスポーツコンプレックスであった。
 1967年に開場し,1994年からコアステーツ・スペクトラム,1998年にはファースト・ユニオン・スペクトラムと改名し,2003年からはワコビア・スペクトラムと呼ばれていた。ここはNBAのフィラデルフィア・セブンティシクサーズとNHLのフィラデルフィア・フライヤーズ,そしてAFLのフィラデルフィア・ソウルのホームグランドとして使用されていたが,建物の老朽化などで2009年をもって閉場され,2011年に取り壊された。
 現在は,NBAとNHL,およひAFL は同じくスポーツコンプレックスにある「ウェルズ・ファーゴ・センター」(Wells Fargo Center)をホームグランドとしている。
 銅像は「ロッキー5 最後のドラマ」の撮影時に階段の上に移動され,「マネキン」や「フィラデルフィア」といった他の映画作品にも出てきたが,その後ワコビア・スペクトラムの取り壊しが決まり,2006年に今度は階段の下に置かれることになった。

 今回はロッキーステップを上がったところにロッキーの足跡を見つけて写真をとった。自分の足とも大きさを比べたりもしてみた。
 これで念願を果たしたので帰ろうと思ったが,せっかくなので,というか,ここまで来たからには美術館に入ろうと思ったのだが,ほとんどの観光客は外でロッキーの思いにふけっていただけで館内に入ろうとしないので,敷居が高かった。
 不勉強な私はこのときまでまったく知らなかったのだが,フィラデルフィア美術館(Philadelphia Museum of Art)は,アメリカ有数の規模をもつすばらしい美術館であった。ここは1876年アメリカ建国100周年の際に建設されたメモリアルホールがその起源で,1年後の1877年から美術館として公開された。
 所蔵品は30万点を数え,古代からコンテンポラリー・アートまであらゆる時代,地域,分野にわたっている。
 特に,アレンズバーグ・コレクションのマルセル・デュシャンの作品群はデュシャンの全貌を知るうえで欠かせないコレクションとなっている。また,日本の作品も浮世絵4,000点以上を含んだ版画5,000点,絵本・画帖100点余を所蔵している。
 私はこのときに思い切ってなかに入って本当によかったと思う。

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