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東京には多くのオーケストラがあります。それぞれのオーケストラの特徴を知りたのですが,そうしたことが書かれたものがなかなかありません。探しても,ランキングとか,どこが上手だとか,そういういかにも日本らしい比較ばかりです。私が知りたいのは,そういう話ではなく,それぞれがどういったことをウリにしているのか,というようなことです。
もし,私が東京に住んでいたら,どのオーケストラを贔屓にするか,きっと迷うことと思います。定期会員のよさは,毎回,苦労してチケットを買わなくていいということなので,どこかのオーケストラの定期会員になるだろうけれど,その選択は,オーケストラが上手,下手とかはさておき,どの会場が便利であるかとか,プログラムが自分好みであるかとか,聴いたあとで満足できるか,そういうことで決めるだろうと思います。
さて,2023年9月27日,豊田市のコンサートホールで,東京都交響楽団の演奏会があるというので,チケットを購入しました。行くことにした理由は,まずは,プログラムがブラームスのヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番という私の大好きな曲目だったからです。ふたつ目は,ヴァイオリン協奏曲を演奏するのが,服部百音さんだったことです。そして,最後に,私が豊田市のコンサートホールの友の会の会員で,優先的にチケットが購入できることでした。
指揮者はオランダ人のローレンス・レネスさん(Lawrence Renes)という人でしたが,私はよく知りませんでしたが,なかなかすばらしい指揮者でした。
数年前に一度,東京で東京都交響楽団のコンサートを聴いたことがあります。以前,NHK交響楽団に在籍していたビオラの店村眞積さんとか,コントラバスの池松宏さんが首席で在籍していて,のびのびと演奏していたのが好印として残っています。たえず,テレビカメラの目にさらされているよりも,このほうがいいのだろうと,私は思いました。
服部百音さんは,難しい曲を選ぶことが多く,それがストイックさにつながっているだろうと思うのですが,そうした無理がたたったのかどうか,体調を崩してしまい,しばらく入院していたので,とて心配しました。そして,ずいぶんとやせてしまいました。何かにつかれたようなストイックさから卒業して,力を抜いて演奏が楽しめるようになったとき,服部百音さんは,もう一段高みに達することができるだろうと,私は思っています。
前回私が聞いたのは,名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期公演でバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番という,これまで聴いたこともない難曲を演奏する姿でしたが,今回は,ブラームスという,非常にポピュラーな曲をだったので,より楽しみにしていました。考えてみれば,私は,ブラームスのピアノ協奏曲は何度もライブで聴いたことがあるのですが,ヴァイオリン協奏曲はほとんどライブで聴いたことがありません。長くてむずかしいから,らしいです。
今回の演奏会では,服部百音さんの弾くブラームスは,やはり彼女らしく,力強く,躍動感があって,時折,指揮者と対決するような感じでした。また,交響曲第4番,これがまたとてもよかったです。
ちなみに,アンコール曲は,ヴァオリン協奏曲のあとがクライスラーの「レチタティーボとスケルツォ」からスケルツォ,交響曲第4番のあとがブラームスの「ハンガリー舞曲」第1番でした。
私は専門家でないので,演奏のよし悪しなんて技術的にはまったくわからないのですが,とにかく,聴いていて元気になれるものがいいと,このごろ思います。もう,この歳になると,何の憂いもなく,自分が楽しいとおもうことだけが,耳に入り目で見ることができればそれでいいのですが,そんな私でも,これはいい演奏だなあ,とこころから思いました。これほどすばらしい演奏会をひさびさに聴きました。
また,今回の演奏会に限らず,他の演奏会のプログラムを見ても,東京都交響楽団は,私の聴きたくなる曲ばかりなので,もし,東京に住んでいたら定期会員になってもいいなあ,とも思いました。
平日の夜,名店で,極上の食事を味わうような,こんな演奏家を楽しむことができたのは,この上なく幸せなことでした。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは