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当初の予定では,仁和寺だけを拝観して帰るつもりだったのですが,人の少ない京都という,うれしい誤算で,すっかりやる気になった私でした。そして,思い出したことがありました。それは「俵屋吉富」(たわらやよしとみ)です。
2015年から2017年にかけて5回NHKBSPで放送された「京都人の密かな愉しみ」という番組で,常盤貴子さんが主役として「久楽屋」の若女将・三八子を演じたのですが,「久楽屋」のモチーフだった創業260年を超える老舗の京菓子屋「俵屋吉富」がどこにあるか,一度見てみたい,ということでした。
「俵屋吉富」は,京都御所の北西の室町,つまり,室町幕府のあった場所にあります。仁和寺からは,御室仁和寺駅から嵐電に乗って,終点の北野白梅町で降りて,バスに乗り換え,上京区総合庁舎前で降りて北に歩けばいい,ということがわかったので,そのようにしました。
今回は,単に場所がわかればいいということで,お店の前を通っただけでしたが,これで納得したので,次回来ることがあれば,お店に入って和菓子でも買おうと思いました。
こうして,期せずして,京都御所の近くまで来たので,次に,京都御所を横切って蘆山寺に行くことにしました。蘆山寺を思い出したのは,来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主役・紫式部ゆかりの寺だということからです。蘆山寺は以前にも行ったことがありますが,あまり記憶にありません。また,宮中で元三大師の修法を妨害する悪鬼を退散させた故事にちなむ節分行事「鬼法楽」でも行ったことがありますが,すごい人で拝観するどころではありませんでした。
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広い京都御所もまた,ほとんど観光客がいませんでした。ただし,清所門(せいしょもん)に差しかかると,まばらに人がいて,みな門から中に入っていくのが見えました。門にいた守衛さんに聞いてみると,京都御所の中に入ることができるというではないですか。以前は,事前に予約をして,やっと見学ができたのですが,今は,一般公開されていて,予約なしでだれでも入ることができるということでした。私は,全く知りませんでした。ということで,これもまた,期せずして,京都御所の見学ができました。
京都語御所の見どころとしては,襖絵が印象的な「諸大夫の間」,即位式などの重要な儀式が行われる伝統技法で作られた屋根の「紫宸殿」,天皇の日常生活の場で獅子と狛犬の2匹の「守り神」がいる「清涼殿」,四季折々の表情が楽しめる「御池庭」,明治天皇が過ごした「御常御殿」とあるのですが,これらもまた,NHK大河ドラマ「光る君へ」の舞台となるから,おそらく,2024年は脚光を浴び,多くの観光客が押し寄せることでしょう。
京都御所の見学を終えて,蘆山寺に向かいました。
廬山寺は天台圓淨宗の寺院で,紫式部の邸宅跡として知られ,源氏の庭やお土居などが残ります。
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938年(天慶元年)に船岡山の南麓に建てられた與願金剛院,1245年(寛元3年)に出雲路に建てられた廬山寺,このふたつの寺の住持を兼務していた明導照源が,1368年(応安元年)に與願金剛院が廬山寺を吸収合併し,廬山天台講寺となりました。
豊臣秀吉の寺町建設によって,天正年間に現在地に移りました。たびたびの火災で,現在の本堂は1794年(寛政6年)に仙洞御所の一部を移築して作られたものです。1872年(明治5年)に天台宗の寺院となり,1948年(昭和23年)に天台圓淨宗として独立しましたた。
1965年(昭和40年)に歴史学者の角田文衞によって,蘆山寺のある場所が紫式部邸跡とされました。
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こうして,予想していた以上に人が少なかった京都を十分に楽しんで,地下鉄に乗ってJR京都駅に着き,コインロッカーに預けてあった荷物を取り出して,途中下車扱いになっていた乗車券と新幹線の自由席特急券で「ひかり」に乗り込みました。ジパング倶楽部では「のぞみ」には乗ることができない,いや,厳密にいえば,「のぞみ」に乗ることはできますが特急料金が安くならないのです。しかし,京都駅から名古屋駅は「のぞみ」でも「ひかり」でも「こだま」でも,何に乗ってもほとんど所要時間に大差ありません。また,何に乗っても空いているので,JR名古屋駅からJR東京駅に行くときのように,グリーン車にこだわることもないので助かります。むしろ,「こだま」はがらがらなので快適です。
JR名古屋駅に着いて,駅弁を購入して,自宅まで持って帰りました。家で夕食として,買ってきた駅弁を食べながら,旅の余韻に浸りました。
すべてがうまくいった2泊3日紀伊半島1周の旅でした。しかし,ただひとつ,やり残したことができました。それは…。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは