しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:冬の星空2023・24

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☆☆☆☆☆☆
 2024年2月12日は,天気がよく,太陽やら月やら彗星を写すのに忙しい日になりました。というか,自分で勝手に忙しくしていました。
 まず,太陽です。
 現在,太陽の表面にすごくたくさんの黒点があります。そこで,何となく写したのが1番目の写真です。数年前には,まったく黒点がなかったのがうそのようです。
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 太陽の表面にあらわれる黒いはん点を太陽黒点とよびます。黒点はふつう中央の暗部とまわりの半暗部からなっており,暗部の温度は約4,000度,半暗部は5,500度です。光り輝く太陽の表面の温度は約6,000度なので,,温度の低い黒点の部分が暗いはん点として見えるのです。
 太陽全体では約11年の周期で,表面にあらわれる黒点の数は増減し,黒点周期とよばれます。
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 ということで,私は,特に太陽に興味があるわけでもないのですが,2017年に,アメリカで皆既日食を見るために持っていこうと購入し,太陽観測用に改造した,安価で軽いMILTOLという望遠鏡が役割を終え,そのままではもったいないで,自宅で太陽の黒点を撮影するために使っているのです。ちなみに,今年,2024年4月8日,再び,アメリカ横断皆既日食があります。

 次が月です。
 2月12日は月齢2.4。月の満ち欠けなど,珍しくもないのですが,この時期は空が澄んでいるので,とりわけ美しいのです。そこで,まだ,太陽が沈むまえに写したのが,2番目の写真です。その後,太陽が沈んだら,とりわけ美しい地球照が見えるようになったので,再び写したのが3番目の写真です。
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 地球照は,月が欠けて暗くなっている部分が地球に照らされてうっすらと見える現象です。英語には「the old moon in the new moon's arms」という慣用句があります。
 これは,地球が反射した太陽の光が再び月の夜の部分を照らし,その光がまた地球に反射して見えるのです。太陽が地球を照らして反射する明るさは,満月の70倍もあるので,青く輝く地球の光が月面の影の部分を照らすのです。
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 そして,最後がポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)です。午後7時25分に写しました。
 先月1月11日にも写しましたが,それから1か月過ぎて,かなり明るくなりました。2か月後には最も明るくなるので,楽しみです。
 しかし,夕方の西の空低い位置にいるので,よほど空の開けた,しかも暗い場所があるところでないと,捉えることが困難です。また,明け方の北東でも見られるのですが,こちらもまた高度が低く,さらにむずかしいでしょう。

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 このところ,明け方の東の空に,水星と火星が接近しているということです。
 2024年1月8日から1月10日の早朝は,金星,水星,月の並びが美しく,多くの写真を撮りました。このときも火星が地平線ぎりぎりにあったのですが,確認できませんでした。
 現在も,火星の高度はそのときと同じくらいで,日の出30分前でも5度程度と非常に低いものです。すでに薄明が進んでいて「こんなもの見えるのかな? 写るのかな?」と疑問があったので,見えなければ見えなくてもよくてそれを確かめることが楽しいから,実行してみることにしました。

 火星と水星が最も近づいたのは1月28日だったのですが,あいにく曇っていて,見ることができませんでした。翌1月29日は晴れ渡ったので,挑戦することができました。
 70ミリレンズを使うと金星と火星と水星を同じ画面に入れることができて,金星を右上に配置すれば,左下に火星と水星が入るので,画角に入れるのは容易で,写すためには感度と露出時間の塩梅だけでした。露出時間が少ないと星が写らず,反対に多すぎると,すでに薄明がはじまっているので,空に被ってしまい写りません。その匙加減がむずかしいのです。
 午前6時に撮影をはじめました。
 はじめに露出時間4分の1秒,ISO1600で写した写真を確かめてみると,昇ってきた水星を捉えることができたので,うれしくなりました。よく確かめると,火星も写っていました。さらに時間を置くと,高度が高くなってきて,水星と火星はカメラのファインダーでも簡単に見えるようになり,写真では,火星は赤く,水星は白く写りました。その位置に双眼鏡を向けると,水星は簡単に見つけることができて,水星から目を凝らして右上に写すと,火星も見ることができました。
 さらに高度が高くなると,肉眼でも確認できるようになりました。
 しかし,わずか10分後には空が明るくなってしまい,その姿は視界から消えました。

 反対側の空に目をやると,薄明の中,有明の月が美しく輝いていました。
 1月の満月を「ウルフムーン」といいます。今年1月の「ウルフムーン」は1月26日だったので,1月28日は月齢17。この月を「立待月」といいます。
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 「立待月」とは,日没後に今か今かと立って待つうちに出てくる月,の意です。
 十五夜以後,月の出はしだいに遅くなり,十六夜の月は山の端にいざよい,十七夜「立待月」は立ち待つほどに出,十八夜「居待月」(いまちづき)は座し居て待ち,十九夜「臥待月}(ふしまちづき)は臥して待ち,二十日「更待月」(ふけまちづき)は夜半近く,というように出が遅くなっていきます。これらはそうした月の名称です。
 西洋では毎月の満月にニックネームをつけ,日本では,月の満ち欠けひとつひとつに名称を与えるという,この感性の違いがおもしろいです。
  我門をさしわづらひてねるをのこ
  さぞ立待の月もみるらん
    「新撰六帖」第一 衣笠家良
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 この日は夕方からずっと晴れ渡っていたので,前日の夕刻も,月が出る午後7時30分を過ぎたころ,東の空に昇ってきた赤く輝く月を見ることができました。明け方には,その月が位置を変えて,西の空に,まぶしいくらいに白く輝く姿を見ることができました。
 この月の「しおり」(Shioli)と名づけられたクレーターでは,今,日本が送り込んだ月探査機「SLIM」が,太陽の光を受けて眠から目を覚まし,活動を開始しました。 

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 冬は空気が澄んでいるので空が美しく,特に,かわたれどきといわれる明け方の東の空は絶品です。一方,別の方向を見ると,雪を被った御嶽山,伊吹山などの山々も美しく輝いていて,神秘的に見えます。
 今年1月は,東の空に,月,金星,水星が揃い踏みです。また,さそり座が横たわっていて,さそり座の1等星であるアンタレスも明るく輝いています。月の位置が少しずつ変わるので,毎朝見ても飽きるものではありません。
 今日の写真は,上から順に,2024年1月7日,1月8日,1月9日,1月10日に写したものです。特に,1月10日は月齢が27.9という,見えたらもっけものの月の姿です。
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 明るく輝いている金星の西方最大離角は昨年2023年10月24日で,今は,次第に高度が低くなってきています。一方,水星は2024年1月12日に西方最大離角となるので,次第に高度が高くなってきています。この日まで金星と水星は近づいていくのですが,それを過ぎると,共に,ほぼ同じ間隔を取ながら,高度を下げ,太陽に近づいていって,1か月後には,明け方の空に見ることはできなくなります。
 また,月は2024年1月10日に新月となります。
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 地球よりも太陽の内側にある水星や金星は,地球からは見かけ上太陽からある角度以上離れることはありません。その角度が最大のときを最大離角といい,夕方の空に見えるとき,つまり,太陽の東側にもっとも離れるのが「東方最大離角」,明け方の空に見える,つまり,西側にもっとも離れるのが「西方最大離角」です。
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 水星の下には火星があって,火星,水星,金星がほぼ等間隔に並んでいるということなので,昇ってくる火星を見ようと工夫をしてみたのですが,火星が地平線から昇ってくるころには夜が白んできて,見ることができませんでした。

 以前載せたことがある歌ですが 
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 阿加等伎乃 加波多例等枳尓 之麻加枳乎 己枳尓之布祢乃 他都枳之良須母
 暁の かはたれ時に 島蔭を 漕ぎ去し船の たづき知らずも
 暁の薄明かりの時に島陰を漕ぎ去った船がなんとも心細く思えることよ
  「万葉集」巻20・4384 他田日奉得大理(おさだのひまつりのとこたり)
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 街灯もなく,空が暗いので,今よりも明け方の空は美しかったと思うのですが,「万葉集」には,夜が明ける前について,あまり詠んだ歌がありません。この歌を詠んだ他田日奉得大理は,奈良時代の防人にして下総海上郡の国造ということです。

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 12月の満月は「コールドムーン」。とはいえ,暖かい年の瀬です。
 月を見ていて思い出すのは,JAXAが2023年9月7日に打ち上げた無人月面探査機・着陸機「スリム」(SLIM=Smart Lander for Investigating Moon)です。
 高さ約2.4メートル,燃料を除いた重さは約200キログラムの小さな「スリム」は,H-IIAロケット47号機で鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。画像照合航法を利用して月面のクレーターを認識し,「かぐや」が収集した情報を活用しながら現在地を特定し,誤差100メートルを目標に「神酒の海」(Mare Nectaris)付近の「しおり」(Shioli)と名づけられたクレーター近傍への着陸をめざしています。成功すれば日本初の月面着陸機となります。

 当初は2018年度にイプシロンロケットで打ち上げる計画が示されたのですが,2019年度の打ち上げに変更されました。しかし,2016年のX線天文衛星「ひとみ」の喪失事故によって,再び変更されて,2021年にH-IIAロケットで打ち上げ予定のX線分光撮像衛星「クリズム」(XRISM=X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission)との相乗りで打ち上げられることになったのですが,今度は,「クリズム」の開発が難航して,2023年の前半に再変更されました。 
 しかし,H3ロケットの打ち上げに失敗した影響からさらに延期され,8月26日に打ち上げ日が設定されたものの,天候の悪化で28日へと延期されたのですが,この日も強風のため打ち上げが中止となり,9月7日にようやく打ち上げられました。
 打ち上げ後は順調で,9月14日に地球周回運用期間に移行し,10月4日には地球を公転する月の重力を利用して軌道を変更する月スイングバイを実施し,12月25日に月周回軌道への投入に成功しました。

 現在のところ,2024年1月20日午前0時ごろに,月の高度15キロメートルから降下を開始し,約20分後に着陸をめざしています。
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 「スリム」にはLEV-1,LEV-2の2機の月面探査ロボットが搭載されています。
 LEV-1は, 月面をジャンプするように移動する月面探査ロボットで,2台の広角カメラを搭載し,直接地球にデータを送信することができます。また,LEV-2は,変形機構や動物の動きなどの玩具技術を応用した小型月面探査ロボットで,2台の広角カメラを搭載し,LEV-1を経由してデータを地球に送信します。
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 成功するといいなあと思います。

 ところで,着陸地点は,アポロ11号が1969年7月20日に月に着陸した「静かの海」(Mare Tranquillitatis)に近く,私は,このことのほうに想いがあります。1969年といえば,早いもので,今から54年も前のことになります。 アポロ17号が1972年12月19日に月に着陸して以来,人類は月の地を踏んでいませんが,アメリカは,2025年に再び人類を月に送ろうとしています。

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 1年のうち,ある決まった時期に星空の中のある点の付近を中心として,流れ星が多く飛ぶことがあり,この現象を流星群とよびます。中でも,ふたご座流星群,しぶんぎ座流星群,ペルセウス座流星群は「三大流星群」といわれます。
 ふたご座流星群は,毎年12月14日前後に最も活動し,ほぼ期待どおりに流れ星を見ることができますが,今年は,ちょうど新月ということもあって,観望の好機となりました。
  ・・
 このところ,さまざまな事情で,星見から遠ざかっていました。しかし,ふたご座流星群の極大期の前日である2023年12月14日の早朝は,天気がよく,最高の条件だったので,流星を見にいくことにしました。翌日が極大期なのですが,天気予報では曇りです。
 私は,流星にはさほど興味がないのですが,だれもいない深夜に星を見ることがこの上もなく気持ちがよいことに加えて,明るく美しい流れ星が見られる,というので,午前3時に家を出て,木曽川の堤防に向かいました。
 写真の1枚でも写すことができればいいや,という気持ちで,ひさしぶりのことで戸惑いながら簡易赤道儀を組み立てていたときに,ものすごく明るい流れ星が飛んで,うれしいやらがっかりするやら…。いずれにしても,着いた早々,明るい流れ星をみることができて,興奮しました。
 ネットなどにある流星群の写真の多くは,何枚もの写真の合成なので,あのように見られるのかと誤解をします。しかし,流星群といっても,実際は,流れ星がビュンビュンと飛ぶわけでもないので,期待外れになってしまいがちですが,それでも,今回のふたご座流星群は,2,3分に1個ほど,明るい流れ星をみることができて,満足しました。

 流星群は,彗星や最近まで彗星だった小惑星(=彗星小惑星遷移天体)から放出されたダストが地球の軌道と交差する場合に見られます。ふたご座流星群の母天体は,「ファエトン」(3200 Phaethon)という名前の小惑星です。
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 アメリカ,オランダ,イギリスが共同で開発された,波長12,25,60,100マイクロメートルの赤外線バンドで全天を高感度で探査することを主な目的とし,液体ヘリウム冷却の容器に収められた口径60センチメートルの望遠鏡を載せた赤外線衛星「IRAS」(Infrared Astronomical Satellite)は,1983年に高度約900キロメートルの太陽同期軌道に打ち上げられました。
 「IRAS」の画像を調査していたイギリスのサイモン・F・グリーン(Simon F. Green)とジョン・K・デイヴィース(John K. Davies)が小天体を発見し,国際天文学連合回報(IAUC=International Astronomical Union Circulars)3878で仮符号1983TB として公表されました。また,アメリカの天文学者チャールズ・コワル(Charles Thomas Kowal)が,この天体は恒星状であると報告したことで,この小天体は,彗星ではなく地球近傍小惑星とされました。1983TB は,当時知られていた地球近傍小惑星の中で最も太陽に接近する天体であることから,ギリシア神話に登場する太陽神ヘリオス(Hēlios)の息子ファエトンにちなみ「ファエトン」と命名されました。
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 その後,国際天文学連合回報(IAUC)3881で,アメリカの天文学者フレッド・ホイップル(Fred Lawrence Whipple)が,「ファエトン」の軌道要素とふたご座流星群の軌道要素が一致すると報告し,「ファエトン」はふたご座流星群の母天体だと判明しました。
 21世紀初頭時点では,「ファエトン」からは,彗星の特徴であるコマ(coma)やダストテイルなどは観測されていませんでしたが,ふたご座流星群の母天体と確定したことやスペクトル分類がB型であることなどから,現在は,「ファエトン」は,塵を出し尽くした彗星の成れの果てであると考えられています。
 コマとは,彗星核の周囲を取り巻く星雲状のガスやダストのことで,彗星が長楕円軌道の近日点近くを通過するころに太陽エネルギーにより彗星本体が温められてその一部が昇華したものです。また,スペクトル分類がB型というのは,炭素質の小惑星のことですが,B型の小惑星は,小惑星帯の外側に多く,軌道傾斜角が大きいという特徴があり,太陽系初期のころの高揮発性の物体の残りが付着していると考えられています。
 日本では,惑星間航行中にダスト(固体微粒子)の組成をその場で分析し,「ファエトン」でフライバイ探査を行う「デスティニープラス」(DESTINY+ =Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage with Phaethon fLyby and dUst Science)というミッションが進められています。

 しばらくぶりに星を見て,また,やる気が湧いてきました。
 なお,来年2024年は,ふたご座流星群の極大期は満月なので,条件は最悪となります。

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