しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:北海道

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【Summary】
When I was young, I traveled all over Hokkaido. Now, tourist spots are crowded, which discourages me from visiting. I especially liked the quiet Route 275 in northern Hokkaido and Shumarinai Lake, which reminds me of Northern Europe. Despite heavy snow in winter, auroras aren’t as visible as in Finland. I’d like to take the Soya Main Line from Asahikawa to Wakkanai someday, but I wonder if I'll ever have the chance. Also, bears might appear.

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 若いころ,北海道は津々浦々,ほとんどのところに行きました。今は,どこも,観光地というところはどこもすごい人混みらしく,それを聞くだけでも,私は,行く気が失せます。
 これまでに行った中で,私がいいなあ,と思ったのは,道北でした。特に,国道275号線。ここを走ると,本当に何もなく,それが魅力的です。朱鞠内湖という湖もあって,北欧を思い出させます。
 この冬はものすごい雪だそうですが,それでも,私がオーロラを見にいったフィンランドの北極園よりは緯度が低いので,かろうじて空が赤くなることはあっても,美しく満足のいくオーロラが見られないのが残念です。
 ここには,旭川駅から稚内駅まで宗谷本線が走っています。私は,まだ,乗ったことがありません。こうしたところをのんびり旅するのも,また,いいものだと思うのですが,そんな機会が果たして訪れるのでしょうか。
 いずれにしても,クマが出そう。

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【Summary】
In July 2020, during the pandemic, I visited Hokkaido to see the Neowise comet. While traveling from Rumoi to Wakkanai, I stopped by the roadside station "Sunflower Hokuryu" on Route 275, surrounded by beautiful blooming buckwheat fields. Though Hokkaido is now crowded with tourists, I wonder if this quiet, expansive area remains unchanged.

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 しばらくどこへも行く予定がないので,これまで行ったところから,思い出に残るところの写真を載せることにします。今日は,2020年7月に行った北海道からです。
 このごろは,北海道は,特に,函館,小樽,稚内,倶知安町など,インバウンドで混み合っている,と聞いています。また,北海道新幹線は,函館北斗駅までは開通していても,その先は工事が難航して,札幌駅までの延伸はいつになるのか定かではないようですし,在来線にもさまざまな問題が山積しているようです。
 そんなことを聞くと,もはや,私は行ってみたいという気持ちにはなりません。

 とはいえ,私は近ごろも北海道に行きました。
 行ったのは,コロナ禍真っ最中の2020年7月でしたが,これは,ネオワイズ彗星を見るのが目的でした。その昼間,宿泊していた留萌市から北の果て稚内市まで遠出をしたのですが,その時に走った国道275号線沿線にあったのが,道の駅「サンフラワー北竜」でした。
 あたりは一面そば畑でしたが,ちょうど白い花が咲いていて,それはすばらしい風景でした。日本にもこんな広々としたアメリカのような景色を見ることができるところがあるのだなあと,そのとき思いました。
 再び観光客が戻った北海道ですが,その場所は,今,どうなっているのでしょう。
 まだ,そのときのまま,人が少なく静かな平原地帯のままなら,また,その場所なら行ってみたいものだと,ときどき思い出します。

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【Summary】
In July 2020, during the COVID-19 pandemic, I traveled to Hokkaido for the first time in over 30 years to see the NEOWISE comet. Staying in Rumoi, I enjoyed its charm and tranquility. However, with rail closures and increased tourism, Hokkaido’s unique appeal seems to be fading.

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 私が30年以上ぶりに北海道に行ったのは2020年7月,コロナ禍真っ最中のころでした。なぜ行ったかというと,ネオワイズ彗星という近来まれにみる明るい彗星が現れたのに,北海道以外はどこも晴れず,唯一晴れていたのが北海道だったからでした。直前に飛行機を予約したにもかかわらず,時節柄旅行者も少なく簡単に安価に飛行機のチケットが取れました。
 彗星が現れるのが夕方の西空ということだったので,地図とにらめっこをして,留萌市にホテルを取りました。留萌? 行ったこともなければ,関心もなかったのですが,名前だけでよさそうな気がしました。そのころは,彗星を見ることで頭がいっぱいで,それ以外のことには興味がなかったのですが,当時の写真を見ると,それがまあ,観光客のほとんどいない北海道でずいぶんと楽しい思いをしたものでした。

 さて,そんな留萌市でしたが,街の中心にJR留萌駅がありました。今度来るときは,カニ族ではないけれど,ぜひ,列車を利用して,のんびりと北海道を旅してみたいものだと思いました。
 それが,そのときは知らなかったのですが,あれから4年しか経っていないのに,今はもう,留萌駅には列車はきません。
  ・・・・・・
 留萌本線は,深川駅と留萌駅を結ぶJR北海道の鉄道路線でした。
 2016年(平成28年)12月5日に留萌駅と増毛駅間,2023年(令和5年)4月1日に石狩沼田駅と留萌駅間が廃止され,残る深川駅と石狩沼田駅間も2026年(令和8年)3月末をもって廃止されます。
  ・・・・・・

 このときの私は,留萌から海岸線に沿ってサロベツ原野まで行ったのですが,すごくのどかで,すばらしいところでした。久しぶりに行った北海道でしたが,観光客も少なく,魅了されました。
 しかし,それは,コロナ禍の時期だったからのようで,さまざまな報道によると,函館市,小樽市,稚内市,富良野市,倶知安町などは,観光客,特にインバウンドでものすごい人だそうです。私は,それを聞くだけで行く気がなくなります。昔行っておいてよかった。
 とはいえ,北海道新幹線は,函館北斗駅までしかつながっておらず,また,先に書いたように,北海道の鉄道網は,惨憺たる状況で,これを利用して旅ができるとは思えません。そこで,飛行機とレンタカー一択,ということになってしまいます。
 私の大好きだった北海道は,今はいったいどこにあるのでしょうか?

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【Summary】
About 50 years ago, young travelers called "Kani-zoku" explored Hokkaido using unlimited-ride tickets on Japan's then-national railway. However, much of Hokkaido's extensive rail network from that era has since been discontinued, leaving JR Hokkaido alone insufficient for similar travel today.

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 今から50年ほど前は,大学に入学してはじめて迎えた夏休みは,カニ族といって,大きなリュックを背負って,当時国鉄といった現在のJR に,一定の期間乗り放題の周遊券というチケットを使って,北海道を旅するのが洗礼のようなものでした。
 私は,カニ族より少しだけ若く,カニ族にはなりませんでしたが,似たことはやりました。また,20代のころは,ずいぶんと北海道を旅して,隅から隅までほとんどのところに行きました。しかし,いつも車で旅をしていたので,列車に乗ったことはほとんどありませんでした。
 カニ族とは
  ・・・・・・
 1960年代後半から1970年代末期にかけて「暇はあるが金はない」若者たちは,長期の低予算旅行をするために,大型リュックサックを負って旅をしました。この当時,大きなリュックサックは横長のものしかなく,背負ったままでは列車の通路や出入り口は前向きに歩くことができなかったのでカニのような横歩きを強いられたことや,後ろ姿がカニを思わせることから,カニ族という名が発生し,1967年に朝日新聞で「カニ族」と紹介されたことでその呼称が定着しました。
 カニ族には北海道の人気が高く,夏の北海道には多くのカニ族たちの姿が見られましたが,周遊券の利便性を生かして,目的地や行程を柔軟に変更する気ままな旅行スタイルで,利尻島や礼文島のような離島や,知床や襟裳岬のような不便な半島など最果てを目指す傾向がありました。
  ・・・・・・
 その後,私は,アメリカへ行くようになると,雄大だと思っていた北海道もアメリカに比べればまったく大したこともなく思えるようになって,北海道へ行くこともなくなりました。

 さて,話は現代に飛びます。
 「【北海道】乗り物大好きチャンネル」という YouTube のチャンネルがあります。内容は,JR北海道に乗って,その現状についてレポートするというものです。このチャンネルで,私は,北海道のJR,特に特急列車の現状とさまざまな課題について知りました。
 カニ族が夏の北海道を旅することができたのは,当時の国鉄の路線網が,北海道中を網羅していたことで可能だったのでした。その後,私は関心が薄く気にしていなかったので,今はどうなっているのか,調べてみて,私は驚きました。
 当時の路線の多くは,というより,そのほとんどは廃線となっていました。これでは,JRだけでは,とても旅をすることができません。

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 2020年もあと3日となりました。
 2020年は,2月までとそれ以降で世界が一変したおかしな1年でした。私は,2月にハワイのモロカイ島,3月にオーストラリアのアデレード,6月に白夜のフィンランド,8月にアメリカのアリゾナ州,そして,11月にチェコのプラハに行く計画を立てていたのですが,2月のハワイ旅行以外はすべてキャンセルになってしまいました。
 私が行こうと思っていたこれらのところは,おそらくほとんどの人には参考になる場所ではないと思うのですが,私には,練りに練ったうえで行こうと思った場所ばかりなのでした。私も,若いころは,多くの人と同じように,ニューヨークやパリなどの大都市やカリフォルニアのディズニーランドに興味があって,実際行ったこともあるのですが,歳を重ねると,次第に地球上の大自然に傾倒するようになりました。そこで,そうした場所に出かけて,ある種の孤独を味わいながら自由に過ごすことに魅力を感じるようになってきました。
 これまで出かけた場所で印象に残っているのも,そんな場所ばかりです。

 結局,今年行くことができた海外は,先に書いたように,2月のハワイのモロカイ島だけでした。この旅のことは,今,旅行記を書いています。それ以外行くことができなかったところの代わり,というわけではないのですが,7月に北海道に行ってきました。
 2020年3月に発見されたネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)が急激に明るくなって,7月下旬にはまれに見る明るさとなりました。しかし,連日の悪天候でまったく見ることができず,全盛期を過ぎそのまま暗くなってしまいそうでした。そのために,急に思い立って日本で唯一晴れていると思われた北海道に行ってきたわけです。

 この,突然行った北海道旅行は最高でした。まだ「Go To Travel」がはじまっていなかったという時節柄もあって,観光客がほぼ皆無だったというのがきわめて幸運でした。おそらく,こんなすばらしい旅はまた行ったとしてもできないことでしょう。
 北海道とはいえ,多くの人が考える函館とか札幌とは違って,私が行ったのは留萌でした。そして,少しでも条件のよい場所でネオワイズ彗星をみようと,人のほとんどいない大自然の中をドライブして,サロベツ原野まで行きました。
 夜の北海道を走っていると,以前,深夜のオーストラリアを走ったときのことを思い出して,海外旅行気分を味わうこともできました。また,北海道の小さな町はハワイのモロカイ島の町カウナカカイのようでした。今日の写真の1番目と2番目はハワイ,3番目と4番目は北海道ですが,似ています。
 私は,このように,人のほとんどいないところで過ごすことに究極のやすらぎを覚えるようです。
 もし,予定通りに海外旅行をしていたら,北海道旅行をしていなかったと思うと不思議な気がします。ネオワイズ彗星の鮮やかな姿をみることもなかったかもしれません。
 私にとって,2020年もまた,多くのすばらしい思い出ができた年となりました。

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旭山動物園で過ごすうち,はじめは快晴だった空が次第に曇ってきました。しかし,旭山動物園から留萌市に戻ってきたときは昨日以上の快晴が続いていました。道北も,日本海側と内陸部ではずいぶんと天気が違うようです。
ネオワイズ彗星も見たし,旭山動物園にも行ったし,もう,すべてが満足でした。
ただ彗星見たさに,それ以外は何の計画もなくやってきた北海道でしたが,ものすごく充実した旅となりました。今晩は北海道らしくおいしいお寿司でも食べてゆっくりするつもりで,ホテルの近くのお寿司屋さんに行きました。土曜日ということもありお店はかなり混んでいてずいぶんと注文したお寿司が出てくるのを待ちましたが,ともかく,本場のお寿司をおいしく食べることができました。
  ・・
この晩は何もせずに過ごすつもりでしたが,昨晩以上の快晴だったので,再び,彗星を見にいきたくなりました。しかし,さすがにサロベツ原野まで行くのは,翌日の早朝に新千歳空港まで行かなけばならないから断念して,こちらに来た日に下見をした小平町を過ぎたあたりの海岸で見ることにして,出かけました。
この晩もまた,美しい彗星を見ることができました。昨晩見て,彗星がどのように見えるかはわかっていたので,この晩は,彗星の姿を画面一杯に入れた写真を写すことにしました。それが,すでにブログに載せた写真です。

7月19日日曜日。
朝は午前5時にホテルを出ました。新千歳空港発午前9時40分のスカイマークでセントレア・中部国際空港に帰ります。
午前8時にレンタカーを返すことになっていたのですが,営業所に着いたのが,まさに午前8時ちょうどでした。 スカイマークはジェットスターとは違って,とても感じのよい航空会社でした。帰りもまた窓際の席をとってありました。機内からは富士山が見えました。
  ・・
こうして私は,突然決めた,ネオワイズ彗星を見ることだけを目的とした3泊4日の北海道の旅からもどってきました。 おそらくあと数日遅かったら,「GoToトラベル」(通称「強盗トラブル」)とやらのために,北海道はもっと混雑していたことでしょうし,逆に,数か月早かったら,北海道に行くことはできなかったことでしょう。とても幸運でした。
私が帰ってからも,依然として晴れる日がなく,自宅からはネオワイズ彗星が見えません。しかも,北海道も天気が悪くなり,晴れ間がなくなってしまったようです。
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かねてから話題の旭山動物園ですが,まさか来るとは思ってもいませんでした。この旅でも頭の端にもなかったからです。
思えば,私は,これまで世界中の多くの動物園に行ったものです。それも,どこも,別に行きたいと思っていたわけでもなく,それぞれの場所で時間つぶしをするために行ったようなものです。でありながら,ぜひ行ってみたいと思っているウィーンにあるシェーンブルン動物園にはまだ行ったことがないし,というか,いくらでも行く機会があったのにもかかわらず,見逃してしまっているし,この旭山動物園も,今回の旅で,どういうわけか旭川市に行こうと思わなければおそらく行かなかったことでしょう。要するに動物園には想い入れがないのです。でも,動物園が好きなのです。きっと。
今回は,旭山動物園があることに気づいたのが幸運でした。そして,気づいたときにはすぐに行動に移すのが何ごとにつけ大切なのです。

  ・・・・・・
旭山動物園は日本最北の動物園で,1967年(昭和42年)にオープンしました。
1994年(平成6年)に,エキノコックス症によって園内のニシローランドゴリラとワオキツネザルが相次いで死亡したことから来園者数が減少するなどの大きな打撃を受け,一時は廃園まで検討されたといいます。
旭山動物園の園長や飼育員,市職員たちのアイデアや創意工夫などにより見事に再生を果たし,2004年(平成16年)には,上野動物園を抜いて日本一の月間入園者数を記録して,日本中の注目を浴びました。再生計画では,園長や飼育員たちのアイデアによる14枚のスケッチなどから,従来の形態展示をやめ,行動展示や混合展示を導入することで,動物たちが自然界で動き,泳ぎ,飛び,生きる本来の魅力を間近に見られるおもしろさが一般的にも評価されたといわれます。
  ・・・・・・

旭山動物園は旭川市街のさらに東にあったので,思ったより時間がかかり,午後2時過ぎにやっと到着しました。私がさらに幸運だったのは,この時期,旭山動物園もまた,コロナ禍の影響で,入場者が非常に少なかったということです。私が行ったのは土曜日だったし,快晴で,おそらく,普段ならごった返しているはずなのに,動物園に最も近い無料の駐車場に車を停めることができました。園内もまた,まったく待ち時間もなく,ストレスを感じない,ほどほどの人がいて,また,インバウンド華やかなりしころに見られた,群れて大声ではしゃぎまわる傍若無人な某国のツアー客もおらず,とてもよい雰囲気でした。
愉快な動物園でした。いろいろな工夫が凝らされているのがとてもよくわかりました。勉強にもなりました。日本の動物園は,欧米やオーストラリア,ニュージーランドなどの動物園に比べて狭く,汚いのですが,ここは,ほどよい広さであり,それぞれの展示が本当に凝っていて,とてもためになりました。しかし,せっかく丁寧にいろんなことが説明してあるのに,それを見ることなく通り過ぎていく人がほとんどなのが残念でした。
楽しい午後の時間を過ごすことができました。
それにしても暑い日でした。私はソフトクリームで涼をとりました。あれだけ望んだ青空が,今度はうらめしいなんて,私はなんという罰当たりなのでしょうか。

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7月18日土曜日。
泊まっているホテルはビュッフェ形式の朝食が食べられました。私は,昨晩,念願だったネオワイズ彗星を見,写すことができて,今回北海道へ来た目的を果たしたので,この日は特にすることもなく,朝はゆっくりしました。朝食をとるために1階のレストランに行ったときは,もう,私以外にお客さんはいませんでした。食事をしながら,今日は何をしようか考えました。この日の天気予報は快晴でした。冷静になって考えれば,天気は回復基調なので,昨日よりもこの日のほうがずっと天気はよさそうです。昨日焦る必要はなかったのです。
特に行きたいところもなかったので,「なんとなく」旭川市まで行ってくることにしました。とはいえ,旭川市で何をするか,というアイデアもありませんでした。この「なんとなく」というのが,いつものとおり神がかりなのです。私には。

留萌市から無料の高速道路を沼田町に向けて走っていって,有料区間になる前に降りました。この先は一般道を旭川市まで走るつもりでした。高速道路を降りたところにあったのが,道の駅「サンフラワー北竜」でした。周りは一面のひまわりとそばの花。ものすごく雄大でこれぞ北海道,という景色でした。ここに来ただけで大満足でした。
まだ,お昼には早かったのですが,雰囲気に負けて,ここで昼食をとることにしました。
昼食後,付近を散歩しました。まるで海外にいるようで,最高の気分でした。ただし,快晴の青空,太陽の光がきついのが堪えました。
それにしても贅沢な話です。昨日まではあれだけ雲が恨めしかったのに,困ったものです。
さて,これから旭川市に向けて出発です。一般道を走っていくと,旭川市に近づくにつれて,旭山動物園という道路標示が見られるようになってきました。

私はうっかりしていたのです。そうなのです。旭川市といえば旭山動物園なのです。
しかし,評判になったころ,一度は行ってみたいと思っていたものの,わざわざ行く気にはなりませんでした。なにせ,ものすごい観光客が訪れていたらしいし,人混みの大嫌いな私がそんな雑踏に紛れる気持ちはまったくありませんでした。駐車場に観光バスがずら~っと駐車していて,そこからツアー客が続々降りてくるのを想像しただけで,行きたくなくなります。
その旭山動物園,それが期せずしてインバウンドが去った今,手に届くところにあるのです。
こりゃ行くしかない,と思いました。問題は時間でした。もう時間は午後1時過ぎで,到着するのは午後2時過ぎになってしまいます。調べてみると,閉園時間は午後4時30分,今日はこれまでちょっとのんびりしすぎたかかな,と少し後悔しました。

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Thank you for coming 300,000+ blog visitors.

ブログをはじめて88か月・2,637回の更新で,総訪問者数が30万を超えました。
読んでいただいて,どうもありがとうございます。

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これまで走ってきた国道232号線は,天塩町で内陸部に入って国道40号線と合流して稚内市に向かいます。私がサロベツ原野に来たのはネオワイズ彗星を見るためだったので,ともかく,サロベツ原野のどこで彗星を見ることができるかを調べるために,天塩町からは,国道232号線を進まず,サロベツ原野を通っていく道道106号線を走ることにしていました。
しかし,ここでもまた,道路標示がいい加減で,道道106号線に入る交差点を見過ごしました。
しばらく天塩町の町中を走っていって,どうやら行き過ぎたと思い,引き返すことにしました。
道道106号線はもっと狭い道路かと思ったのですが,大平原を片側1車線の2車線道路がまっすぐにずっと続いていて,すごく雄大でした。右手にはものすごい数の風力発電の風車が設置されていました。この道路はほとんど車が通らなかったのですが,時折走る車は,速度制限などお構いなしに,ものすごいスピードで私の車を追い越していきました。
時間はまだ,午後6時少し前でした。
私はサロベツ原野を観光に来たわけではなく,星を見る場所探しに専念していましたが,それでも,美しい風景に魅了されていました。途中,内陸部に行く道路との交差点があって,そこを進むとにビジターセンターに行くことができるとあったので行ってみたのですが,時間が遅く,すでに閉まっていたので,引き返しました。
アメリカの国立公園なら,数キロメートルごとに展望台が設けられていて,そこには広い駐車スペースがあります。サロベツ原野もそんな駐車スペースがあって,どこでも気軽に車を停めて星が見られると思っていたのですが,いくら進んでも,駐車スペースなどどこにもなく,ちょっと焦りました。道路には路肩もなく,道路わきに車を停めることもできません。あきらめかけたころ,やっと展望台があって,そこには車が4,5台停められる駐車スぺースがありました。そこからは海を臨むことができて,遠くには利尻富士も見えました。空が暗くなったら,ここで彗星を見ることに決めました。

まだ,空が暗くなるには2時間以上ありました。どこかで夕食をとってきてから,ここに戻って彗星を見ることにしました。しかし,サロベツ原野にはレストランの1軒もありません。こうなったら稚内まで行こうと,さらに車を走らせました。ここから稚内まではさらに30分以上かかります。
そのうち,どうせ稚内市まで行くのなら,もっと先の宗谷岬まで行って,そこで夕日が沈むのをを見ながら夕食をと思って,「Hey Siri」で尋ねてみましたが,宗谷岬は,稚内市からさらに50分ほどかかるということでした。これでは遅くなってしまいます。残念でしたが,断念しました。無計画な私は,まさか,この旅で稚内市に行くとは夢にも思ってもいませんでした。もしはじめからその予定なら,もっと早く宗谷岬まで行って,そこで夕食をとり,夕日を眺め,それから,サロベツ原野に行って彗星を見るという計画を立てることもできたのでしょうが,晴れるかどうかという次元で行動していたので,そんな考えが及ばなかったのが残念でした。
ともかく,稚内駅まで来ました。稚内の駅前あたりは,数年前に行ったアイスランドのレイキャビックの港あたりにどことなく似ていて,いい感じでした。駐車場があったので車を停めて,駅周辺を歩きました。ところが,稚内の駅前にもほとんど食事ができる店がみつかりません。駅の構内にさえ,何もありませんでした。なんとか駅前に閉店間際の店を見つけたので入りました。お客さんは私だけでした。そこでカニ飯を食べました。

食事を終え,サロベツ原野に戻りました。来るとき見つけたパーキングには,幸いなことに無粋な灯りはひとつもなく,彗星を見るにはとてもよい場所でした。問題は時折道道106号線を通る車のヘッドライトでしたが,車が通るのは10分に1台程度だったので,問題はありませんでした。
車を停めて,空が暗くなるのを待っていると,隣に1台の車が停まり,人が降りて,三脚とカメラを設置しました。どうやらその人も彗星を写しにきたようです。声をかけると,地元に住むカメラマンでした。仲よくなって,一緒に彗星を見ました。おかげで,楽しい時間になりました。
彗星は,2日前にこの場所で肉眼で見ることができたということだったので,期待が膨らみました。そもそも,この時点で私は彗星がどのくらいの明るさで見えるかもわかっていませんでした。
実際は,空が暗くなるにしたがって,あざやかな尾を引いた明るい彗星が空に浮かび上がってきました。北海道は緯度が高いので,彗星はほとんど沈ます,長い時間楽しめました。はじめのうち低い場所に雲が出てきたので心配したのですが,強い風が雲を吹き飛ばし,やがて快晴になりました。
なんとなく,国際宇宙ステーション(ISS)が通過するのを見たことがありますか,というような話をしていたら,偶然,国際宇宙ステーションが通過したのには驚きました。そんなことを知っていたら,国際宇宙ステーションと彗星を同じ画面に写すことができたのに,それだけがこころ残りとなりました。
どうやら,日本国内で,明るいネオワイズ彗星を見ることができたのは,北海道と東北の一部,そして,沖縄くらいだったようです。そして,そんな数少ない彗星の見られた場所には多くの人が訪れていたようです。しかし,さすがにサロベツ原野に来たのは,私とそのカメラマンだけでした。どうやってここを見つけたの,と聞かれましたが,それは単なる偶然でした。
  ・・
10時過ぎまで彗星を見て,留萌市のホテルに戻ることにしました。幸せな時間でした。来てよかったと思いました。それに,この日は,私が来る1週間前より若干彗星の光度は下がりましたが,見ることのできる高度が高くなったので,彗星が最も美しい時期でした。
深夜の北海道を走って,午前1時過ぎに留萌市のホテルに戻りました。深夜の人影のない北海道を走っていると,数年前,深夜のオーストラリア大陸を走ったときのことをを思い出しました。

◇◇◇

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朱鞠内湖からは国道275号線を南下して,沼田町まで戻ってきました。国道275号線はとても走りやすく,まわりの景色も美しい,私がイメージする北海道らしい道路でした。こういうところならまた来てもいいなあと思いました。
次第に晴れ間が増えてきたとはいえ,未だ快晴とは程遠い天気でした。
沼田町から留萌市までは無料の高速道路です。山を越え,いくつかのトンネルを過ぎ,留萌市に近づくと,ついに,天気は快晴となりました。どうやら,日本海側は快晴のようでした。あとは,この天気が夜まで続くことを祈るだけでした。
留萌の町に着いて,この日から2泊する留萌市の市街地にあるホテルに向かいました。どうして2泊目から宿泊先を変えたかというと,留萌市で宿泊場所を探していたときに,一番はじめにもっとも安価なものを見つけたのが昨晩泊まったゲストハウスなのですが,まずはじめの1泊を予約してみると,このゲストハウス,実は,宿泊代以外に,結構高価なクリーニング代とかいうものが別途必要で,結局割高になってしまったからです。まあ,言葉は悪いのですが,きちんと説明書きを読まなかった私がだまされたかたちになってしまったのです。こういう別途クリーニング代というのは,ハワイのコンドミニアムでは常識のようなものです。つまり,ブッキングコムやらエクスペディアに表示されている値段のほかに別途支払う料金が必要なのです。しかし,まさか日本でもそういうものがあるとは思いませんでした。
そこで,残りの2泊は,通常のホテルに変えたというわけです。留萌市には,このホテル以外には,いわゆるネットで予約できるようなホテルはありませんでした。また,留萌市には旅館がいくつかあるようなのですが,それらはネットでは予約できず,実際,営業しているのやら休業しているのやら,よくわかりませんでした。

留萌市に戻ってきたのはホテルのチェックインができる時間の午後3時よりも少し早かったのですが,おそらくもうチェックインができるだろうと行ってみました。そして,実際,できました。
一度部屋に入って,いよいよサロベツ原野に向けて出発しました。
サロベツ原野まで,海岸線に沿って,国道239号線,国道232号線と海岸沿いを北上して行きました。小平町,苫前町,羽幌町と過ぎていくと,最果て感が満載になってきて,ウキウキしてきました。そして,このあたりならどこでも星が見られるような感じの場所になってきました。私は,異国に来たみたいな気持ちになってきて,すっかり満足しました。
羽幌町に差しかかると,それまではずっと快晴だったのですが,少しずつ雲がでてきました。
天気予報では,この先のサロベツ原野から稚内にかけては快晴で,その途中の羽幌町あたりだけ雲がかかっているというものだったので,これは,予報通りでした。
初山別村に入ると,「天文台」と書かれた道路標示が見られるようになってきました。時間もあることだし,このあたりに天文台があるのなら行ってみようと思いました。
道路標示に従って,国道を離れて行ってみると,やがて,大きなキャンプ場があって,その一角にドームがありました。これが初山別天文台でした。初山別天文台は初山別村の岬にある,日本最北の天文台でした。地元の青年団と自治体が運営し,通常観測のほか教育目的で連日一般公開されているということです。中を見学する料金は無料で,1階の簡単な展示室とビデオ,そして,望遠鏡を見ることができました。望遠鏡は三鷹光器製の口径650ミリメートルカセグレン式反射望遠鏡という本格的なものでした。また,この天文台のある周囲は岬公園となっていて,公営の温泉付宿泊施設やら運動施設,海水浴場,キャンプ場がありました。
この天文台は,テレビドラマ「白線流し」の舞台となったところだそうです。

とてもすばらしい場所で,私は,サロベツ原野まで行かずとも,よほどここで彗星を見ようと思いました。公園には売店があったので中に入って聞いてみると,どうやら,この天文台の周辺は,夜になると,安全のためにかなりの街灯が明るく光るようなのです。理由を聞くと,どうして安全のための灯りを消さなくてはならないのか,まったく理解していないようでした。要するに,無知なのです。
これでは,宝の持ち腐れです。安全のための灯りならば,アリゾナ州のフラグスタッフのように,下向きに街路灯を設置するなどの方法があるのです。要するに,そんなことさえできない。これが日本なのです。中には,ここに来た人が星が見えないので灯りが邪魔だと苦情を言うそうですが,どうしてそんな苦情を言うのかと話していました。
私は,こりゃだめだと失望しました。そして,天文台を後にして,当初の予定通りサロベツ原野に向けて出発しました。

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朱鞠内湖からの帰り,国道275号線から国道239号線と通って,苫前町で海岸線に出て,そこから海岸に沿って留萌市に戻るつもりで走っていたのですが,国道239号線に右折する場所がわからず,そのまま国道275号線を走ることになってしまいました。日本の道路標示は,意味のないものは多々あれど,必要な場所で必要なものがないのです。しばらくしてそれに気づいてUターンをしようと思ったのですが,少し遠回りにはなっても,特に急ぐ旅でもないので,そのまま沼田町まで南下してそこから高速道路で留萌にいくことにして,そのまま国道275号線からの景色を楽しむことにしました。
それがまあ,国道275号線は,すばらしい景観が続き,それはそれは若干雄大さには欠けるけれどオーストラリアの田舎のようだったし,国道沿いにときに通りすぎる町は,アメリカの古びた田舎町のようで,海外旅行のできない今の私としては,かなり満足でした。

途中に,道の駅「森と湖の里ほろかない」がありました。道の駅のセンターハウスは「ルオント」と名づけられていて,2020年4月にリニューアルオープンしたものだそうです。「ルオント」は「Luonto」と書き,これは,フィンランド語で「自然の恵み」を意味する言葉です。「ルオント」には露天風呂「三頭の湯」とレストラン「そばの里」があります。「そばの里」には,手打ちの幌加内そばやカレーなどの食事ができました。私は,この日のランチメニューから食しました。
このあたりを幌加内町といいます。幌加内町の名産はそばです。7月中旬から8月中旬というから,ちょうどこの時期,幌加内町はそばの花の季節を迎えます。作付面積日本一を誇るそばの花が開花を迎えるので,町内の至るところには見渡す限りの白い風景が広がっていて,その景色は「幌加内は2度雪が降る」とも形容されるということです。朝に夕に表情を変えるそば畑は絶好の撮影スポットということで,4箇所のビューポイントが作られ,そば畑を見慣れた町内の人が「ここは見応えある」と思える場所をピックアップして案内板が整備されていました。
いつものように,私はこれを見にきたわけでもないのに,しかも,道を間違えたために,こうしたベストシーズンに,辺り一面に咲くそば畑を見ることができたのでした。
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本来なら,これを見るだけでも十分幸せな観光旅行になるわけです。しかも,おそらく通常ならば観光客でごった返しているのでしょうが,コロナ禍で観光客は皆無でした。
しかし,ネオワイズ彗星を見にきた私には,つねに天気が気ががかりで,依然として雲が切れない空を見ると私の観光気分は吹っ飛んでしまいます。もう昼過ぎたというのに,空は未だ雲に覆われていて,この日の晩も星空が見られるとはとても信じられませんでした。天気予報はうそつきだと思いました。昨晩彗星が見られたのなら,この日はもっと楽しい気分になれたのになあ,と思いました。なんとか今晩こそは彗星を見ることができて,明日は落ち着いて観光をする気分になれたらいいなあと,切に願いました。

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久しぶりに行った北海道でした。北海道に行かなかった何年もの間,私は,世界のさまざなところに行きました。そうした経験から,北海道は,ハワイ島やアイスランドに似ているなあと思いました。中でも,最も似ているなあと感じたのはアイスランドでした。しかし,アイスランドのほうがずっと人が少なく雄大な自然が残っているので,もっと最果て感がありました。
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ちなみに,北海道の面積は83,450平方キロメートル,ハワイ島は10,430平方キロメートル,アイスランドは103,000平方キロメートルです。なお,日本に似ているニュージーランドですが,北島は113,700平方キロメートル,南島は150,400キロメートルです。また,九州は36,750平方キロメートルです。

広大なアメリカをドライブするのに慣れてしまった私には北海道は狭く感じられます。札幌から,函館だろうが,稚内だろうが,帯広だろうが,どこも200キロメートルもないほどの距離しかないので,行こうと思えば,どこも数時間走れは行くことができます。私の感覚では,思い立てばどこも簡単に行ってしまいそうです。
そんなわけで,この日は,午前中にまず,朱鞠内湖までを往復して,午後3時までに留萌市に戻り,ホテルのチェックインしてから,再び今度は,海岸線を稚内市まで走って,サロベツ原野で星を見て,深夜に留萌市に戻る,という計画を立てたのですが,その程度のドライブは,私にはどおっていうことはありませんでした。
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では,朱鞠内湖に向けて出発します。
まず,留萌市から国道239号線で海岸沿いに北上して小平町まで行き,小平町から内陸に入りました。ここから道道126,道道742,道道239,道道275とつないで,朱鞠内湖に向かいます。その途中,大きな小平ダムを通りました。ダムの手前に公園があって,そこには恐竜のモニュメントがありましたが,こういうものを作るセンスを私はまったく理解できません。
小平ダムにかかる長い橋を過ぎると,その後は,ほとんど車の通らない,片側1車線の道路が延々と続いていました。これはこれで楽しいドライブですが,アラスカの原野のような感じで,さほど景色はよくありませんでした。まったく民家も街灯もなかったので,晴れていれば,どこでも満天の星が見られそうな場所だったのですが,北海道ではクマが出るのが心配です。
どこかでコーヒーでも,と思ったのですが,喫茶店の1軒すらありませんでした。
2時間あまりそんな道を走って,待望の朱鞠内湖に着きました。

朱鞠内湖は人造湖です。標高が高く,冬は特に寒冷の地だそうです。湖畔にはキャンプ場もあって,ボート乗り場もありました。ニュージーランドのテカポ湖畔には遠く及ばずとも,それはそれで日本にしてはいいところでした。夜になれば星もきれいにみられそうです。
2,3組の観光客がいました。ここもまた,普段のシーズンなら,この時期は多くの観光客でにぎわうのではないかなと思いました。しかし,人混みが嫌いな私は,普段ならばここには来ていません。人が少ないからこそ,来たのです。
朱鞠内湖は高台に展望台はありましたが,湖畔を1周する道路はなく,食事をするような場所さえありませんでした。
もっと雄大な景色を見慣れてしまっている今の私には物足りない場所でしたが,それでも,日本ではめったにみられない景観でした。若いころ北海道の地図を見て,朱鞠内湖というのはどんな最果ての地なのだろうかと,ワクワクしたことを思い出しました。

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夕日が海に沈むまでは水平線付近は雲が切れて,とても美しい景色を見ることができました。ただし,空全体にはかなり雲があって,この分では,雲の間からかろうじて彗星がみえるかな? といった程度だったので,がっかりしました。これでは,たとえ彗星が見られても写真は無理だな,と思いました。雲が切れる淡い期待をしながら暗くなるまで待っていると,雲は,切れるどころか次第に厚くなってきて,ついに,一面が雲に覆われてしまいました。
今晩は無理だな,と宿泊先に戻りました。
こうなると方針変更です。この晩は,彗星はあきらめ,宿泊先で,藤井聡太棋聖誕生を楽しみにABEMAで対局のライブを観戦することにしました。そして,藤井聡太棋聖誕生が実現しました。

翌7月17日金曜日。
朝,窓のカーテンを開けて外を見ると,どうやら深夜に雨が降ったようで,駐車場に停めた車がぬれていました。空には一面雲が垂れ込めていました。天気予報では,昼過ぎから回復して快晴になるということでしたが,心配なのは,天気の回復が日に日に遅れていることでした。
ネオワイズ彗星見たさだけに北海道までやって来たのに,見ることができなかったら,いったい何をしに来たことになるのだろう,と思いました。しかし,日本で晴れという予報が出ていたのがこの場所だけだったから,それはそれでやることはやったとあきらめがつくのかなと思いました。もしここで見られなかったとしても,北海道に来ることなく,自宅でまったく彗星が見られなかったとしたら,行けばよかったのにとそれ以上に後悔したことでしょう。
しかし,たとえ観光目的でないとはいえ,せっかく北海道まで来たのだから,お昼間は,どこかに行ってみようと思いました。しかし,行きたいと思う場所が思い浮かびません。多くの人が行くような都会の観光地には興味がありません。
私が1日目に泊まったこのゲストハウスはこの1晩だけで,この日の晩と次の日の晩は,留萌市の市街地にあるホテルに予約がしてありました。ホテルのチェックインは午後3時ということだったので,それまでどこかに時間つぶしに出かけることにしました。

昨日の晩,友人から電話がかかってきました。
留萌市周辺ではなかなか星を見る場所がないという話をしたら,サロベツ原野まで行けばいい,とアドバイスを受けました。サロベツ原野は留萌からは車で2時間30分ほどです。せっかくここまで来たのだからよりよい場所を求めて,今晩はサロベツ原野まで行くことにしました。サロベツ原野の天気予報は今日も明日も晴天でした。そこで,午後3時にまず今日と明日泊まるホテルのチェックインを済ませてから,サロベツ原野まで往復することにしました。
朝食は近くにあったコンビニでサンドイッチを買ってきて済ませ,ゲストハウスをチェックアウトして出発しました。
まず,星を見ることができる場所探しを兼ねて,留萌の町を少しだけ散策してみました。留萌市には,黄金岬のほかに,千望台と礼受牧場という高台があります。千望台は昨晩行ってみたのですが,街灯が明るくて,星は見えませんでした。そこで,この日は礼受牧場に行ってみました。留萌の町の南の山を登っていきます。そこはきっと夜になれば美しい星空見られるだろうと思う場所だったのですが,この牧場に至る道路は夜は閉鎖されていました。
次に,JRの留萌駅に行ってみました。時刻表を見ると,2時間に1本程度の列車がありました。日本は鉄道で旅をすると急に不便になりますが,それと反比例して旅情をそそります。そして,日本の貧しさとわびしさを感じます。昨年,車を使わずに東北に行ったときに感じたことです。旅をするだけなら,不便であっても,そのほうがずっと楽しいのかもしれせん。
観光案内板を見ても,市内には特に見どころ,というところもなかったので,留萌観光はやめて,内陸側を通って遠出して,朱鞠内湖まで行ってくることにしました。
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私は,若いころ,ずいぶんと北海道旅行をしたので,ほとんどのところには行ったことがあります。当然,稚内も宗谷岬も行きました。そのときに,サロベツ原野も朱鞠内湖も行ったようにも思うのですが,今となってはまったく記憶がありません。というか,私の記憶は,どうやら,サロベツ原野と釧路湿原がごっちゃになっているようなのです。

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急に思い立った無計画な3泊4日の北海道旅行でしたが,この旅では,思いのほかいろんな経験ができました。ここ数年,私は,世界中のさまざなところに出かけ,そのいずれの旅もまた,このごろは事前にほとんど何の準備をしないで出発しているのに,帰ってくるときは,非常に充実した旅になっていたのですが,今回もまた,それと同様でした。旅慣れて,コツがわかってきたのがその理由でしょう。
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この旅の目的は,史上最大級のネオワイズ彗星を何とかこの目で見たいというだけだったので,それ以外には,どこに行くかとか何をするかということはまったく考えていませんでした。
ただし,彗星を見るための機材だけはしっかり準備して持っていきました。とはいえ,それもまた,ここ数年,毎年のように星を見に出かけたオーストラリアに持っていったものと同じなので,特に事前に改めて支度をするという必要もなく,新たに何かを購入するということもなく,何年も使い続けているいつもの機材が入ったカバンをそのまま持ってきただけでした。ただし,今回は,彗星がどのくらいの視野に広がって見えるのかということが想像できなかったので,焦点距離が55ミリから200ミリのズームレンズを1本加えて余分に持っていきました。欲をいえば,さらに,広角のズームも持参すべきでした。それは,彗星の尾が思った以上に広がっていたからです。

留萌市について,この日の晩宿泊する場所に到着したのは午後5時過ぎでした。彗星は空の暗くなる午後8時以降に見えはじめるので,それまでに夕食をとって,それから彗星を見る場所を探すことにしました。
一番心配だったのは天気でした。天気予報では,この晩から日曜日までは快晴,ということだったのですが,空を見上げても,雲がたくさん出ていて,星が見えそうにはありませんでした。
まず,留萌市の中心街に行って,食事をすることにしました。駐車場のある店を見つけたので車を停めて中に入りました。せっかく北海道にきたのだから海鮮料理を食べようと思いました。入った店はまだ夕食には時間が早かったせいか,お客さんは私ひとりでした。
行ってみて知ったのは,この時期の北海道はウニが旬だったことです。
ずいぶん昔,稚内に行って旬のウニ丼を食べたことを思い出しました。しかし,いくら旬とはいえ,ウニ丼はおどろくほど高価でびっくりしました。昔,今よりお金がなかったのに,ウニ丼を高いと驚いた記憶もないから,あれから値上がりしてしまったのでしょうか? 旬のウニ丼は確かにおいしいけれど,そんな高いお金を出すほど好きなものでもなかったので,ウニ丼を食べるのはやめました。

食事を終えて,いよいよ彗星を見にいくことにしました。
留萌市には,夕日の絶景が見れらるという黄金岬があります。まず,そこで行ってみたのですが,海岸にあった街灯が明るくて,夕日を見るにはよくても,星空を見るような場所ではありませんでした。次に千望台という展望台に行ってみました。ずいぶんと坂を上っていくので期待していたのですが,ここもまた,展望台の駐車場の街灯が明るくて,星を見るようなところではありませんでした。
そこで,海岸線に沿って,国道239号線を北上して行くことにしました。しかし,どこまで行ってもけっこう明るく,また,駐車場もほとんどなく,海岸に降りることができるようなところが見あたりませんでした。時折,海水浴場があるにはあったのですが,すべて閉鎖されていました。もし閉鎖されていなくても,やはり,海岸には街灯が設置してあってその灯りが邪魔をするので,星を見るのに適した場所ではありませんでした。
このように,北海道の海岸ならどこでも簡単に満天の星が見られるだろうというのは甘い考えでした。目論見がはずれ,ずいぶんがっかりしました。
さらに進んで,小平町というところを過ぎたあたりに広い空き地を見つけました。そこには車が2,3台停まっていました。この空き地から川に降りることができて,川にかかる国道の橋の下をくぐると海岸に出られることがわかりました。停まっている車は,海岸で釣を楽しんでいる人たちのものでした。海岸は北西に面していて,海岸には街灯はありませんでした。国道を車が通りますが,国道は彗星の見られる方角とは反対側なので影響はなさそうでした。ここなら,晴れてさえいれば,彗星は容易に見られそうだったので,この日はそこで写真を写すことにしました。

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新千歳空港に到着しました。相変わらず,曇り空でした。
この春に行った京都もそうですが,少し前までのインバウンド(和製英語!)によって,この国の観光地はどこも,従来の「よさ」や「のどかさ」を失っていて,やたらとわけのわからない警告が表示されていたりと,居心地が悪くなりました。
国土の広いアメリカやオーストラリアでは,都会や観光地以外は交通の便も悪いことから,観光客の訪れないところが今もまだたくさん残っていて,そういった場所に行けば観光客の毒気に触れることもないのですが,狭い日本では,どんな山奥まで行ってもインバウンドの影響を受けていて,逃げ場がまったくありません。改めて,国内を旅するには,再びインバウンドが起きる前の今に限るなあと痛感したことでした。

新千歳空港でレンタカーを借りました。
私は,海外に出かけて,空港でレンタカーを借りて移動するという旅をこれまで頻繁にしていたのですが,日本ではほとんどしたことがないので,むしろ日本のほうがシステムがよくわかりません。こうして日本で体験してみて,海外と比べてみると,日本のほうが手続きは面倒だし,時間がかかります。
アメリカなら,空港のシャトルバスに乗ってレンタカー会社の営業所に着いたらそのままカウンタを通らずとも車を選んで出発するだけだし,オーストラリアでは,空港にあるレンタカー会社のカウンタで簡単な手続きをして車のキーをもらって駐車場に行き,車を出発させるだけです。
それに対して,日本では,まず,空港にあったレンタカー会社の意味のないカウンタに行き,番号の書かれた用紙をもらいます。そのあとで係員についてシャトルバスの乗り場までわざわざ案内され,それに乗ってレンタカー会社の営業所に行きます。…と,ここまでの手順は,別に空港にある無意味なレンタカー会社のカウンタに行かずとも,ひとりでできることです。シャトルバスで営業所に到着したら,自分の番号の呼び出しを待って,再び営業所のカウンタで細かな書類の説明を受け…,と,まあ,時間はかかるし,意味のない作業が延々とあって,なかなか車が借りられません。こういったことひとつとっても,いかに日本人がほとんどムダとしか思えない仕事をバカ丁寧にしているかということがわかるというものです。
ちなみに,日本ではレンタカーの車両ナンバーが「わ」ですが,北海道では,過去にその通達を役人が読み間違えたために「わ」ではなく「れ」だという都市伝説があります。そして,それは本当です。しかし,現在では「れ」と「わ」のレンタカーが共存しています。

さて,そうこうして,やっとのこと車を借りることができました。いよいよ出発です。
新千歳空港から高速道路の入口までがまた,結構距離がありました。これもまた,都市計画がなっていない日本らしい姿です。空港からすぐに高速道路に連絡できるのが常識でしょう。
ともかく高速道路に入りました。この先私の目指すのは留萌でした。留萌まではおよそ2時間30分ということでした。高速道路もまた,札幌の手前と札幌を越えたところにそれぞれ料金所があって,これもまたムダというか,日本は何という国なんだろうということを再発見します。道路の標識もまた,意味のないモノばかりで,肝心な情報がありません。気分は海外旅行だったのに,こういうときにここが海外でないということを実感します。
そうこう思いながら,ともかく,留萌市までやって来ました。
私が想像していた留萌というのは,もっと小さな漁村だったのですが,予想以上に町が広く,高速道路を降りたところで,いつものように,土地勘のない私にはどこがどこだかわからなくなりました。
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1泊目だけ,ゲストハウスのようなところに泊まることになっていました。いわゆる「民泊」というやつです。これもまた,インバウンドのときにできた外国人向けの施設です。私が使っていた iPhone のナビ(車についているカーナビより使いやすい)で示した場所に着いてもすぐには見つからず,建物を探すのに苦労しました。看板が地味だったのです。
以前泊まったアイスランドのゲストハウスを思い出しました。アイスランドのゲストハウスはバストイレが共有でひどい思いをしましたが,ここはいわゆるマンションの1室でかなり豪華でした。しかし,やたらと注意事項が書かれていたのが興をそぎました。これもまた,インバウンドの悪影響でしょう。つい数か月前まで世界中のいたるところに生息した,ブランドバッグを持ち,黒色のレンズの入った眼鏡をかけ,やたらと声の大きいどこぞやの国の団体さんがこの部屋で,名古屋市の河村市長の言葉を借りるといわゆる「どんちゃん騒ぎ」をしている姿を想像してしまいました。

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7月16日木曜日。
行きの飛行機はセントレア・中部国際空港午前11時20分発のジェットスターでした。自宅から車で空港まで行って,事前に予約をしておいた駐車場に車を停めることにしていたので,少し早いかも,と思いながら,家を出ました。
名古屋高速道路は知多半島道路に接続する大高線が大渋滞だったので,東海線にに迂回して,知多半島道路には入らず,一般道を進むことにしました。セントレアへの接続は,名鉄電車は頻繁に遅れるし,車でも高速道路は渋滞するし,ろくな場所ではありません。早く家を出てきてよかったと思いました。私は知多半島の道路事情には詳しいので何となりますが,不案内な人には大変でしょう。しかも,名古屋高速道路の東海線は,その出口である東海ジャンクションで,セントレアに行く道路標識が,一般道を経由するものと伊勢湾岸道路を経由して知多半島道路にはいるものの2通りあって,そのどちらにも飛行機のマークがあるので,これは大いにとまどうことでしょう。これもまた,日本らしいひどい話です。
私は一般道で常滑まできました。常滑からセントレアだけは再び高速道路に乗らないといけませんがさすがに空いていました。セントレアに着いて,予約をしてあった駐車場に車を停めて,ターミナルに向かいました。
セントレアは,先日,格安航空向けの第2ターミナルが作られたのですが,私がセントレアを利用するのは,フィンランド航空でヨーロッパに行くか,デルタ航空でハワイに行くか,ANAもしくはJALで成田か羽田に行くかくらいだったので,これまで第2ターミナルを利用したことはありませんでした。
成田国際空港に第3ターミナルが作られたのと同様,セントレアの第2ターミナルは,インバウンド(和製英語!)華やかなりしころ,中国や韓国からの格安航空便でやってくる大量の乗客をさばくために格安で作られたターミナルですが,このご時世,そうしたフライトもキャンセルとなっているので,ターミナルは閑散としていました。フライトスケジュール表にはキャンセルという文字が並んでいました。

ところで,数々の航空会社を利用している私ですが,ジェットスターほど感じの悪い航空会社はないといつも思います。できれば使いたくない会社の筆頭です。
私はこれを利用して福岡に行ったとき,離陸直前になって整備不良でフライトがキャンセルになって降ろされました。オーストラリアに行ったときは飛行機が遅れて,オーストラリア到着後,次のフライトの乗り継ぎに間に合わず,しかもそのときの案内がいい加減で困りました。しかも,航空運賃は安けれど,荷物を預ければ高額の料金がかかるし,トッピングで儲けている格安ファーストフード店と変わりません。しかも,いろいろな指示がかなり上から目線です。
今回,私は,彗星を写すために7キログラムあまりの最低限の機材を持っていました。帰りに利用したスカイマークでは無料でキャリーオンができたのに対して,しっかり3,800円もの追加料金を請求されました。
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ともあれ,追加料金を払って,カバンを預け,チェックインを済ませました。
搭乗時間まではまだ1時間ほどあったので,せっかくだからと「FLIGHT OF DREAMS」に行くことにしました。こんなに空いているなら,ラウンジで時間をつぶすより,このほうがずっと楽しいのです。「FLIGHT OF DREAMS」というのは,セントレアの第1ターミナルと第2ターミナルの中間に,ボーイング787型旅客機の展示を主体とした作られたばかりの複合商業施設です。
施設のメインは「FLIGHT PARK」で,そこにはボーイング787の初号機であるZA001(N787BA)が展示されています。これは,シアトルのボーイング・エバレット工場で製造されて,2009年12月15日に初飛行した実物が寄贈されたもので,このエリアに行くには入場料が必要です。しかし,ボーイング787自体は外からでも見られるし,入場料を払って見られるのは,コクピットだけでした。そんなものは,アメリカの国内線を利用して,ファーストクラスに乗ったときに,離陸前にいくらで見られます。大したものでもないのに結構入場料が高いので,一度見ればいいかな,という感じでした。ということで,ほとんどお客さんはいませんでした。
それ以外には「SEATTLE TERRACE」というボーイング社の工場があるシアトルをテーマにした商業施設と「Boeing Store」というボーイング社のオリジナル・グッズを販売する店舗がありました。「SEATTLE TERRACE」からは「FLIGHT PARK」に展示されてあるボーイング787を一望しながら食事ができるので,「FLIGHT PARK」には入らず,ここで時間をつぶすのが最適だと思われました。私も,ここで昼食をとりました。

さて,搭乗時間になったので,乗り込みました。狭い機内,このご時世なので空席だらけかと思いきや,満席でした。
窓際席にしてあったので,景色を見ながらわずか1時間40分程度のフライト時間を過ごしました。
ずっと曇っていたのですが,途中,雲が切れて,眼下に佐渡島が見えました。海外旅行ができない今,次は,一度は行ってみたかった佐渡島へ行くのもいいかなと思いました。佐渡島を越えると,また,ずっと曇り空になってしまい,地上が見えなくなりました。
果たして天気予報通り北海道は晴れているのかな,と心配になりました。

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当分の間,海外旅行ができなくなってしまいました。そこで,海外旅行をした気分で,国内旅行のLIVEを書くことにします。国内を旅しながら海外旅行と比較するのもまた,おもしろいものです。
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私が今回北海道旅行をしたのは,2020年7月16日木曜日から7月19日日曜日の3泊4日でしたが,この旅を計画したのは,そのわずか数日前の7月13日月曜日のことでした。20代のころは頻繁に北海道旅行をしていた私ですが,その後,海外に目が向くようになって,もはや,北海道は「ないもの」となっていました。行こうと思ったこともありませんでした。
すでに何度か書いたように,この時期,ネオワイズ彗星(C/2019F3 NEOWISE)が地球に接近して,明るくなっていたのですが,私の住む愛知県だけでなく,日本のほとんどの地域でまったく晴れず,その姿を見ることができませんでした。かろうじて晴れているのが沖縄と北海道だけ,という感じだったので,ネオワイズ彗星見たさに,北海道旅行をすることになったのです。これがそもそも私には「ないもの」であった北海道旅行をした動機です。
マスクをして体温を測ってまでして旅行などしたくなかったのですが,私の彗星への想いはそんなものすら凌駕してしまいました。

話を戻します。
月曜日のことでした。一向に天気がよくならず,どこか晴れているところがないかと天気予報を調べてみると,どうやら週末北海道だけは晴れということでした。そこで,木曜日から日曜日にかけて北海道に行くことを急に思いつきました。
まず,航空券を手配することからはじめました。夜に星さえ見られればよく,北海道を観光することはまったく眼中になかったので,時間は二の次にしてできるだけ安価な航空券を探すと,木曜日のお昼過ぎにセントレア・中部国際空港を出発して,日曜日朝9時過ぎの新千歳空港を出発して帰るという便が見つかったので,早速,それを手に入れました。
到着後はレンタカーを使って移動することにしました。彗星が見られるのは夜8時過ぎの日没後の北西の空です。そこで,石狩から稚内にかけての北海道の北西の海岸ならどこでも水平線が広がっているのでそこが最適だということで,到着してから,そのあたりまで行って条件のよい場所を探して星を見ることにしました。現地に着いてから宿泊先を探そうかとよほど思ったのですが,見つからないと困ると思い,どこに移動するにも便利そうな留萌という町で3泊することにしました。
ところが,留萌市で宿泊先を探すのに思いのほか苦労してしまったのです。
国内旅行で宿泊先を探すとき,私は,都会なら東横イン,東横インのない地方では,楽天トラベルやじゃらんなどを利用してホテルを探します。ところが,楽天トラベルにもじゃらんにも,留萌にホテルが見つからないのです。さらに探していくと,なんと,ブッキングコムで留萌市のホテルが見つかりました。
これでは,国内旅行というよりも海外旅行の予約をしているようなものでした。ということで,次第に,北海道へ行くということも忘れて,いつもやっているような,海外旅行の計画を立てている気分になって,とてもウキウキしてきました。
そうこうして,ホテルの予約もでき,さらに,レンタカーも予約が完了。セントレア・中部国際空港までは,いつものような名鉄電車を使うのではなく,車で行くことにして,セントレアの駐車場も予約しました。これで準備完了です。急に思い立って行こうと決めてからわずか30分後のことでした。

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 NHKBSプレミアムで放送されている「にっぽん縦断こころ旅」も,今週で2017年の春の旅が終わって,秋までしばらくお休みです。
 今回のコースの最後は北海道でしたが,春の旅の最終回に出てきたサロマ湖原生花園のサイクリングロードは私も走ったことがあります。そのころはのどかで雄大だったのですが,そこもまた無粋なコンクリートの橋なんて作ったり,やたらと工事をしていて,景観も台なしでした。

 私は,この番組を見ていて,大学生のころの夏休みを思い出しました。
 それまでずっと北海道には憧れていたので,大学に入学した年に行ってみることにしました。今では信じられないことですが,そのころはひとり旅などしたこともなく,北海道に行く方法すらよくわからなかったので,ツアー旅行に参加することにしました。ところが,参加してみたら,ほとんどは若い女性でした。そのときはじめて,どうやら男はそういうツアーなどには参加しないものだということを知りました。
 それはともかく,はじめての北海道は魅力的なところでした。それ以来,大学を卒業したあとは,休みがあればレンタカーを借りては北海道を走り回るようになりました。北海道の隅々まで道路という道路は走りました。襟裳岬の小さな民宿や積丹半島の先端のお寿司屋さん,函館までのほとんど車の走らない追分ソーランライン,カムイワッカの滝,利尻島や礼文島など,本州にはない広大さと自然に圧倒されました。しかし,北海道は,行くたびに開発が進み,次第に俗化し,バブルがはじけたときそれまでにこしらえたテーマパークはすべて廃墟と化して,ここもまた,本土と同じようにゴミだめとなっていくのでした。

 その後,アメリカをドライブするようになると,それまで雄大だと思っていた北海道がとても狭く感じられらるようになってきて,私はすっかり興味をなくしました。しかし,アメリカもまた,ロッキー山脈あたりの雄大さは素晴らしいのですが,人口の多い都市部は,あまりにも車と人が多く幻滅するようになってきました。
 そして,私が次に行くようになったのが,ハワイやニュージーランド,そしてオーストラリアです。ハワイやニュージーランドはとてもよいところですが,残念ながら定番の観光地はどこも世界中から来るツアー客であふれています。しかし,ひとたびツアーコースから離れれば,まだ,大自然が残っているし,素朴です。オーストラリアに至っては,さほど名所はないのですが,のどかで雄大な風景をどこにでも見ることができます。

 それに比べると,「にっぽん縦断こころ旅」で北海道の風景を見ていても,結局,日本のどこにもある田舎道のように,汚く狭く私にはどこも魅力的には思えません。「百名山」にしても,登山道は,古びていいたり廃道だったり武骨な鎖があったりだし,やっと登った山頂は人だらけです。旧東海道にしても,自動車道路がせっかくの旧道を痛めつけています。いつも書いているように,日本の風景は心で感じるものです。
 それにしても,テレビのさまざまな旅番組で,出演者が日本の美しいといわれる場所の景色を見たときに,いつも「あーすごい,日本じゃないみたい」とか「ハワイみたい」「スイスのアルプスみたい」というセリフを吐くのをどう思いますか? 結局,そんなことなら海外へ行けばいいんじゃないか,あるいは,もともと日本にはまったく期待などしていないんだなあ,と思ってしまいます。
 「にっぽん縦断こころ旅」の火野正平さんもまた,これでしばらくのお休みなので,営業用の感動はオフにして,しばしの休日を別荘のあるハワイ・カウアイ島で過ごされるのでしょう。
 もともとはとても風光明媚な国だったのに,この国はどうしてこうも自然を破壊してしまうのでしょう。「花より団子」,桜の花が咲くとその下で宴会をやって翌朝はゴミの山… これが日本人の本質なのだからそれも致し方ないのかもしれません。食べ物だけは日本が世界で一番だというのは,そもそもそれが理由だったりするのかなあと私は思いますけれど。

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