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 2023年10月16日,京都ホテルオークラで行われた第36期将棋竜王戦第2局の前夜祭に出席して,その日は四条大宮の東横インに泊りました。その翌日のことです。
 25年ほど前の10月の京都は紅葉には早く,観光客は少なく,静かでとてもよいところでした。しかし,今は,コロナ禍以降でインバウンドが再び復活して,どこも外国人だらけになってしまい,とはいえ,落ち着いた観光客なら許せるのですが,我がモノ顔で京都の街中を闊歩する姿は本当に嫌なものです。日本の歴史や文化を知る人もほとんどいません。単に観光地で群れているだけです。そんなわけで,私の好きだった京都はどこにもなくなってしまいました。そこで,京都を観光するのはやめて,これまでずっと行きたかった司馬遼太郎記念館に行くことにしました。

 今の若い人はどうなのでしょう? 司馬遼太郎さんを知っているのでしょうか?
 司馬遼太郎さんは,私の亡くなった父親より数年歳をとっていて,私は,大学生のころ,いつも,なんらかの司馬作品を読んでいました。そのころは,こうした作品を書く作家の存在は当たり前だと思っていたのですが,今考えると,司馬遼太郎さんがいなければ,坂本龍馬が今のように有名だったかどうかもわからないし,私たちが知っている戦国時代や明治維新とは違ったイメージをもっていたのかもしれません。
 以前書いたように,「街道を行く」に書かれていた日本全国に根差す多くの歴史は,私が今になって旅をしてようやく理解できたものですが,それを,私が気づくよりもっと若いころにすでに理解し,解釈して作品として世に残していたということが,どれだけすごかったかということをやっとわかってきたのでした。

 司馬遼太郎記念館は,そんな司馬遼太郎さんが生前暮らしていた場所にあります。場所は,東大阪市で,近鉄の奈良線の河内小阪駅が最寄りの駅だとGoogleMapsがいうので,それに従って降りました。駅前には「司馬遼太郎記念館」と書かれたアーケードがあったので,興奮しました。しかし,河内小阪駅からは歩いて15分以上あって,実際は,その東の八戸ノ里駅からのほうがずっと近いのでした。そんなわけで,四条大宮駅からは行くのがけっこう大変なところでした。
 司馬遼太郎記念館は静かな住宅街にあって,庭には多くの木々があり,まるで,山荘のようなところでした。庭から書斎を窓越しに見ることができました。また,残されていた書籍が4万冊以上ということで,その多くが,現在,ここに保存されているのですが,その迫力と言ったら,すごいものでした。
 庭に咲くキンモクセイの香りが,この偉大な作家のイメージと重なって,幸せな空間となっていました。

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 もういちど繰り返そう。
 さきに私は自己を確立せよ,と言っ た。自分には厳しく,あいてにはやさしく,とも言った。それらを訓練せよ,とも言った。それらを訓練することで,自己が確立されていく。そして,”たのもしい君たち”になっていく。
 以上のことは,いつの時代になっても,人間が生きていくうえで,欠かすことができない心がまえというものである。
 君たち。君たちはつねに晴れ上がった空のように,たかだかとした心を持たねばならない。 同時に,ずっしりとたくましい足どりで,大地をふみしめつつ歩かねばならない。
 私は,君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら,以上のことを書いた。 書き終わって,君たちの未来が,真夏の太陽のようにかがやいているように感じた。
  「21世紀に生きる君たちへ」司馬遼太郎
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「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

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