しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場・47都道府県を制覇し,南天・皆既日食・オーロラ,空の3大願望を達成した「不良老人」の日記

タグ:名古屋フィルハーモニー交響楽団

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【Summary】
Toru Takemitsu’s Family Tree – Musical Poem for Young People (1992) is a late work for narrator and orchestra, based on a text by Shuntaro Tanikawa. Its quiet, spacious sound world reflects Takemitsu’s aesthetic of silence and nature. Listening again, I was reminded of its warm, intimate atmosphere, gently narrated this time by the young actress Noa Goto.

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 サントリーホールは,コンサート開演前にからくり時計が登場,大ホールと同じ素材のパイプオルガン37本が曲を奏でます。これからのときめきにワクワクする瞬間です。
 これまで何度かサントリーホールで聴きましたが,今回,はじめての最前列。まさかサントリーホールの最善列で音楽を聴くことができるとは…。さすがにサントリーホールは品格があります。
 
 さて,1曲目は武満徹の「系図-若い人たちのための音楽詩-」(1992年)でした。珍しい曲をやるんだなあ,と思いました。
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 武満徹の「系図-若い人たちのための音楽詩-」(1992年)は,武満徹の代表作のひとつで,語りとオーケストラのために書かれた作品です。タイトルの「系図」は「家系図」や「血筋」を意味していて,家族や記憶,時間の流れといったテーマが込められています。詩人・谷川俊太郎のテキストをもとに,語り手(ナレーター)が子どもの視点で家族について語り,その語りに寄り添うようにオーケストラが繊細で幻想的な音楽を奏でることで,語りと音楽が対話するような構成となっていて,まるで夢の中を漂っているような感覚になるものです。
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 調べてみると,初演は1992年にNHK交響楽団によって行われ,語りは武満徹の娘である武満真樹さんが務めました。とあるのですが,NHK交響楽団の演奏記録アーカイブを調べてみると,曲名が「 ファミリー・トゥリー (系図)」となっていましたが,1997年6月18日,19日に第1327回定期公演Bプログラムで,指揮がシャルル・デュトワさん,ナレーションが遠野凪子さん,アコーディオンが御喜美江さんで行われたものと,2016年4月22日,23日に第1833回定期公演Cプログラムで,指揮がレナード・スラットキンさん,ナレーションが山口まゆさん,アコーディオンが大田智美さんで行われたものが見つかりました。で,思い出したのですが,私は,2016年に演奏されたものを実際に会場で聴いています。このふたつの公演はYouTubeで見られるのですが,そこで,思い出しました。この曲,よく覚えています。

 武満徹は,1930年に生まれ,1996年に亡くなりましたから,この曲は晩年のものです。
 武満徹の音楽は,メロディックな「わかりやすい音楽」とは違い,静けさや余白,響きの移ろいが基本となっていて
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●間の美学
 音と音のあいだの「沈黙」や「余白」を大事にし,日本庭園の静けさや茶室の空気感のような,音がない時間に意味をもたせる。
 ●自然との共鳴
 風の音,水のさざめき,木々のざわめきといった自然の音を思わせるような響きが多く,聴いているとこころが落ち着いてくる。
●西洋と東洋の融合
 西洋の現代音楽の技法を使いながら,日本的な感性や美意識を大切にしている
 特に有名なのは,尺八や琵琶とオーケストラを組み合わせた「ノヴェンバー・ステップス」はその象徴。
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といった特徴があります。
 今回の「系図-若い人たちのための音楽詩-」(1992年)は,お年寄りが暖かな日差しの入る居間にいて,その姿を見ながら孫が語っている,というような感じがしました。
 語りは五藤希愛(のあ)さんという人で,2010年生まれというからまだ15歳の俳優,声優さんです。この大役をこなす人をさがすのも大変だったことでしょう。

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【Summary】
On February 24, 2026, I attended the Nagoya Philharmonic Orchestra’s special Tokyo concert at Suntory Hall. I especially looked forward to Strauss’s Ein Heldenleben. Sitting in the front row, I was amazed by concertmaster Kyoko Ogawa’s powerful solo. It felt like a violin concerto. However, the string sound seemed stronger than the winds.

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 2026年2月24日,サントリーホールで,名古屋フィルハーモニー交響楽団の東京特別公演を聴きました。曲目は,武満徹の「系図-若い人たちのための音楽詩-」,R・ シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。指揮は音楽監督の川瀬賢太郎さん,語りが五藤希愛さん,アコーディオンが大田智美さん,そして,コンサートマスターで「英雄の生涯」のソロを弾くのが小川響子さんでした。
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 今シーズンの東京公演はサントリーホールで開催します。
 サントリーホールでの開催は2021年以来4年ぶりとなります。名フィルサウンドが音楽の殿堂であるホールでどのように響くのか,僕も今からとても楽しみにしています。
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ということでした。
 愛知県芸術劇場コンサートホールでも同じプログラムがあるのに,わざわざ東京へ行ったのは,サントリーホールで「名フィル」が聴きたかったことと,地方,というか,東京公演では,定期会員がいないので,上席が手に入ること,そして,この機会を利用して,東京近郊で行きたいところがあったことにあります。このことは,また,後日書きます。

 曲目のうち,武満徹の「系図-若い人たちのための音楽詩-」は次回書きます。
 R・ シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」,これが楽しみでした。私は,何度も書いているように,R・ シュトラウスが苦手です。というか,よさがわからん,ともいえます。であったのですが,このごろになって,やっと何となくわかってきました。特に,「英雄の生涯」はいいです。
 この曲は,以前,NHK交響楽団の桂冠名誉指揮者サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)さんが得意としていました。そのころは,コンサートマスターのソロということよりも,サヴァリッシュさんの人生とダブって感じられる,ということがクローズアップされていて,特別な曲でした。
 私が,この曲を再発見したが,2025年3月16日に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで「沖澤のどか指揮 京都市交響楽団〈英雄の生涯〉」と題した演奏会を聴いたときです。このときは,沖澤のどかさんが目当てで,曲目は二の次だったのですが,コンサートマスターの会田莉凡さんのソロがあまりにすばらしく,それ以来,「英雄の生涯」では,コンサートマスターのソロを聴くのが楽しみになりました。今回は,小川響子さん。私は,最前列,コンサートマスターの真ん前の座席をいち早くチケットを入手しました。

 実際に聴いてみて,正直驚きました。小川響子さんはすごい迫力で,まるで,私こそが英雄! とばかりのヴァイオリン協奏曲のような「英雄の生涯」でした。動作が大きく,音楽に合わせて,思わず足音がしたり,さらには,唸り声まで聞こえました。最前列の強みです。
 ちょっと珍しい「英雄の生涯」でした。
 先日聞いたNHK交響楽団の「英雄の生涯」は正反対で,コンサートマスターの長原幸太さんのソロは,影がとても薄かったのですが,今回の演奏では,コンサートマスターの独演会の様相を呈していました。こういう演奏は,賛否両論あるのでしょうが,私は,これはこれでありかな,と思いました。お見事でした。
 ただし,そもそも,サントリーホールの最前列なんてはじめて座ったので,サントリーホールの響きを知らなかったせいか,やたらと弦の音が大きくて,管楽器が少し霞んでいるように思いました。京都コンサートホールでは,最前列でもそういうことはなく,弦と管のバランスがとてもよいので,それだけがちょっと意外でした。

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【Summary】
On January 16, 2026, I attended Nagoya Philharmonic’s 541st concert mainly to hear concertmaster Kyoko Ogawa’s solo debut in Brahms’ Violin Concerto. Although I questioned the program’s conceptual theme, her passionate, dedicated performance proved deeply impressive and unforgettable.

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 2026年1月16日,久しぶりに名古屋フィルハーモニー交響楽団第541回定期演奏会に行きました。
 曲目は,ブラームスのヴァイオリン協奏曲,エルガーの「スルスム・コルダ」(Sursum Corda),そして,エニグマ変奏曲(Variation on an Original Theme for Orchestra "Enigma"=管弦楽のための創作主題による変奏曲「エニグマ」)。指揮は松井慶太さんで,私にははじめての名前でした。ヴァイオリンは,コンサートマスターの小川響子さんでした。松井慶太さんは八戸市出身だそうで,沖澤のどかさんと同郷です。3歳ほど年上で,接点はないみたいですが…。小柄な人が多い日本の指揮者ですが,長身で,なかなかかっこよかったです。
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 2024シーズン急遽代役として定期デビューを果たした松井慶太が満を持して再登場!
 川瀬音楽監督の友人でありよきライバル。英国の大作曲家エルガーが妻や友人をモチーフに描いた交友録「エニグマ変奏曲」。そして,我らがコンサートマスターの小川響子がソリスト・デビューする〈友人たちの肖像〉は会場を温かく包み込むでしょう。
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 私が出かけた理由は,小川響子さんのソロデビューを聴きたかったからで,エルガーの2曲のうち「エニグマ変奏曲」は,以前,NHK交響楽団の定期公演で聴いたことがありますが,特に興味はありませんでした。
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 名フィル第541回定期演奏会〈友人たちの肖像〉で,小川響子がついにソリスト・デビュー‼ 葵トリオのヴァイオリニストであり,名フィルのコンサートマスターとして普段はオーケストラを牽引する彼女が,ソリストとしてブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏します。
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とありました。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲をコンサートマスターの小川響子さんが演奏する,というのがこの演奏会最大のウリです。で,私もそれが動機で聴きにいったわけです。

 ところで,名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会はいつも何らかのテーマが提案されます。今回は〈友人たちの肖像〉。
 2曲目エルガーの「スルスム・コルダ」は,ラテン語で「心を上げよ」という意味で,聖別されたパンを高く挙げる「聖体奉挙」というカトリックの儀式を意味します。エルガーはこの作品を亡き友人の追悼のために書いたともいわれ,静謐さと祈りのような雰囲気が全体に漂っている「威風堂々」のような,いかにもイギリス,という曲でした。3曲目の「エニグマ変奏曲」の「エニグマ」は古代ギリシャ語の由来で「謎」という意味です。第1変奏は妻アリス,第14変奏はエルガー自身を描き,第2変奏から第13変奏はすべて友人たちが描かれているということです。そこで,この2曲は〈友人たちの肖像〉のテーマにふさわしい…,とのことです。
 そのような説明から,〈友人たちの肖像〉というテーマでエルガーの2曲が取り上げられているのは納得がいったのですが,そこにどうしてブラームス? と私は思いました。その理由は,この曲がブラームスの親友だったヨーゼフ・ヨアヒムの助言を受けながら作曲されたから,ということでした。とはいえ,何ゆえに,ブラームスとエルガーなの? しかも,これらのことは,Xに書かれていたことで,プログラムには何の説明もない。

 私は,名古屋フィルハーモニー交響楽団自体は上手だし,地元のオーケストラだから贔屓にしたいし,演奏会にも行きたいと思っているのですが,演奏会のプログラム構成がどうも私には魅力がなくて,それが演奏会に行く気持ちを削いでいます。
 それは,コンサートにこうしたテーマを掲げることが,小難しく理屈っぽく感じるのもひとつの理由です。お前にわかるか,みたいな上から目線に感じるし,何だからこじつけのような気がします。でありながら,テーマについての説明がない。学校のお勉強でないのだから,もっと気楽に,次の演奏会は好きな曲だな,聴きたいソリストだな,この指揮者ならば行ってみよう,という動機で足を運びたいような曲やソリスト,指揮者の選択にならないものか。来年度のプログラムを見ても,何かひとつ物足りない。
 今回も,エルガーがやりたいのなら,エルガーのチェロ協奏曲を1曲目にして人気のチェリストを招聘してプログラムを組みたてればいいのだし,小川響子さんが演奏するブラームスのヴァイオリン協奏曲を目玉にしたいのなら,後半はブラームスの交響曲にすればいい。おそらく,名古屋フィルハーモニー交響楽団のプログラム作成の担当者がそうしたありきたりのプログラム編成にしたくない人なのでしょうが…。また,こうしたテーマを背景にしたいのなら,それを第一に掲げるのではなく,京都市交響楽団の定期演奏会のように,演奏会の前にプレトークをすればいい。私はそう思います。

 何はともあれ,小川響子さんのブラームスは,「正月返上で練習に明け暮れ,演奏者冥利に尽きる」と本人が言っていたように,曲に対する想い入れがこもっていて,圧巻でした。はじめのうち,かなり緊張しているように見えましたが,一生懸命さが伝わってきて感動しました。観客の反応を見ても「我らの地元・名フィルの愛らしきコンマス」という暖かな感じが伝わりました。アンコール曲は定番,バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番から第3楽章「ラルゴ」でした。
 カーテンコール時の写真撮影もできるし,終演後にお見送りもしてもらえるし,いい意味で「名フィル」も変わったな,と思いました。チケット代だけがうなぎ上りで,開演前のロビー室内楽もやめてしまって観客との接点がなくなり,お高くとまっているNHK交響楽団も少しは見習いなさい。「カーテンコール時の写真撮影可」を最初にはじめたことだけは評価するけれど,これも近ごろは撮影会の様相を呈してしまっているし。

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【Summary】
On March 29, 2025, I attended the Nagoya Philharmonic Orchestra’s open dress rehearsal for its 95th Civic Hall Masterpiece Series concert. The rehearsal featured movements from Sibelius’s Symphony No. 1 and Yuzo Toyama’s Symphony "Nagoya". The symphony, commissioned in 1984, incorporates local folk melodies, making it accessible and evocative.

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 2025年3月29日の夜,日本特殊陶業市民会館フォレストホールで名古屋フィルハーモニー交響楽団の第95回市民会館名曲シリーズ〈和欧混交Ⅴ/外山雄三,山本直純とシベリウス〉が行われたのですが,そのお昼に,「次シーズンの定期会員券または市民会館名曲シリーズセット券を検討中の皆様を対象に「公開ゲネプロ」を実施いたします」という話があったので,応募したら当選したので,聴いてきました。
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 ゲネプロは,ドイツ語で「Generalprobe」,英語では「Dress rehearsal」。
 オペラやバレエ,演劇などの舞台芸術やクラシック音楽において,初日公演や演奏会の本番間近に本番同様に舞台上で行う最終リハーサル,「通し稽古」のことを意味する。
 無観客であることを除けば,完全に本番と同じである。部分的な練習はゲネプロとはよばれない。
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とWikipediaにあって「無観客であることを除けば」と書かれているのに,それが公開とは何ぞや,とも思うのですが,まあ,細かいことは抜きとして,こういうのは興味深いものです。

 当日,ゲネプロのあとで行われた演奏会の内容は,名古屋フィルハーモニー交響楽団音楽監督・川瀬賢太郎さん指揮,名古屋少年少女合唱団の児童合唱,名古屋フィルハーモニー交響楽団コンサートマスター・小川響子さんのヴァイオリンで,曲目が外山雄三の交響曲「名古屋」,山本直純の児童合唱と管弦楽のための組曲「えんそく」,そして,シベリウスの交響曲第1番でした。
 約1時間の公開ゲネプロでは,その中で何が聴けるのかな,と思いましたが,実際は,シベリウスの交響曲第1番と外山雄三の交響曲「名古屋」でした。時間が限られているので,全曲を通して,というわけにはいかず,それぞれ,楽章ごと約8割程度で行われました。
 以下,シベリウスの交響曲第1番はなじみの曲なので,それ以外の演奏された曲目の紹介をします。
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●外山雄三の交響曲「名古屋」
 1984年に書かれた外山雄三の交響曲「名古屋」は,開局15周年を迎えた「中京テレビ」による委嘱作品で「名古屋」をテーマにした4楽章,演奏時間約25分の曲です。当時,名古屋フィルハーモニー交響楽団の音楽監督を務めていた外山雄三が,第1楽章・熱田神宮の1月行事「踏歌神事」の催馬楽,名古屋城築城の木遣り等による幻想曲,第2楽章・「北設楽郡」の田植え歌「田峰田楽」,美濃地方の「谷汲踊」をテーマにしたスケルツオ,第3楽章・「子守唄」,そして,第4楽章・「木曽川護岸工事唄」をテーマにしたロンド形式によるフィナーレという内容で,日本の原風景も感じ取れ親しみやすい作品です。
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●山本直純の組曲「えんそく」
 山本直純という人は,20世紀後半に活躍した作曲家兼指揮者で,NHKの委嘱で1964年に作曲された「えんそく」は,山本直純が32歳のときに作曲した 阪田寛夫の詩に作曲した児童合唱組曲で,遠足の1日を題材としている児童合唱組曲の草わけとして知られているそうです。
 山本直純は,「オーケストラがやってきた」という,クラシック音楽の啓蒙番組をやったり,テレビのチョコレートのコマーシャルに出たりと,まるで,大家らしくなかったので,私には,変なおじさん,というイメージしかありませんが,実際は,祖父は実業家,祖母は作家・有島武郎の妹,母はピアニスト,父は作曲家で指揮者の山本直忠という血統書つきの人でした。
 時代が悪かったのか? 家族のために生活していかねばならなかったからか? お酒を飲みたかったのか,あるいは,当時,日本フィルハーモニー交響楽団が財政難になって,それを小澤征爾さんが天皇に直訴したというのが話題になったりしたことがあったのですが,独立して新たに発足した新日フィルハーモニー交響楽団の窮地を救うために仕事を作る必要だったためか…。「遠足」のヒラメキと自然さに満ちた作品が書けた彼が,タレントとしてあのような形でオーケストラ界に足跡を残したことが彼にとっていいことだったかどうか…? という話で,井上道義さんは「あの番組(「オーケストラがやってきた」)は山本直純さんにとっては両刃の剣のようなツールではなかったか?」と書いています。
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 「えんそく」は聴くことができませんでしたが,交響曲「名古屋」は聴きやすい曲だったので,ゲネプロでは全曲を聴くことができなかったのが残念でした。

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【Summary】
On February 16, 2025, at Aichi Prefectural Arts Theater, the user attended the Nagoya Philharmonic Orchestra's Premium Concert. Conducted by Ken Takaseki, with cellist Rei Tsujimoto, the program featured Iwashiro’s Tōfū Jion no Shō, Dvořák’s Cello Concerto, and Respighi’s Roman Trilogy. Moved by Tsujimoto’s expressive performance, especially in Dvořák’s concerto, the user was deeply touched. The encore was Casals’ Song of the Birds, evoking memories of the late Kenichiro Tokunaga.

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 2025年2月16日,愛知県芸術劇場 コンサートホールで,名古屋フィルハーモニー交響楽団プレミアム・コンサートを聴いてきました。連日のコンサート通いです。この日は前から2列目,チェリストの真ん前でした。
 京都市の半導体・電子部品メーカーであるローム株式会社というところが中心となって1991年に設立された,若手音楽家の育成やコンサート支援などの活動を行っているロームミュージック ファンデーションが設立30周年を記念して開催しているコンサートのひとつということでした。
 曲目は,ローム ミュージック ファンデーション設立30周年記念委嘱作品である岩代太郎の「東風慈音ノ章」,ドヴォルザークのチェロ協奏曲,レスピーギの交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」で,指揮は高関健さん,そして,チェロはNHK交響楽団首席チェロ奏者の辻本玲さんでした。

 岩代太郎さんは,映画「キネマの神様」,大河ドラマ「義経」,天皇即位20周年奉祝曲などを作曲したそうです。「東風慈音ノ章」は,大河ドラマのオープニングのような聴きやすい曲でした。
 私は,後半のレスピーギの交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」には興味がないのですが,この日のメインであるドヴォルザークのチェロ協奏曲は大好きな曲だし,指揮者が高崎健さんでチェロが辻本玲さんということが気に入って,チケットを買いました。
 今回の指揮者・高関健さんは
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 日本を代表する指揮者のひとりで,精密かつ知的なアプローチと作品の構造を明晰に示す解釈が特徴です。スコアの細部まで緻密に読み込むことで知られ,オーケストラの響きをバランスよく整理し,構造的に明快な演奏を実現します。
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 私は,これまでは名前を知っていたくらいでしたが,2023年10月のNHK交響楽団定期公演Cプログラムで,来日できなかったヘルベルト・ブロムシュテットさんの代役として登場し,すばらしい演奏をしたことで,注目するようになりました。
 また,NHK交響楽団首席チェロ奏者である辻本玲さんは
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 日本を代表するチェリストのひとりで,豊かな音色,圧倒的な表現力,安定した技術が特徴です。深みのある低音と歌うようなフレージングが魅力で,かつ,どの音域でも美しく響く安定感があり,ドヴォルザークのチェロ協奏曲,サン・サーンスの「白鳥」といった旋律美を活かす作品で高い評価を得ています。
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ということです。

 何度も耳にするドヴォルザークのチェロ協奏曲ですが,考えてみると,私は,この曲を生演奏で聴いたことないように思います。大傑作ですが,この曲を,辻本玲さんの演奏は,深みのある低音に加え,高音もまた,すばらしいと思いました。そんな演奏もさることながら,この曲は,ドヴォルザークがアメリカで自分のふるさとチェコを思って作曲した,ということで,第1楽章と第2楽章では,その郷愁の念がいたるところで感じられ,そして,それを振り切るかのような決意の第3楽章と続くのですが,それでも,ふるさとの想いを断ち切れず,だから,曲が終われず,いつまでもいつまでも,フィナーレを引きずって,そして,最後に高らかに決別の音を鳴らす…。これはまた,若き日に恋したヨゼフィーナの死を悼み,彼女の魂の昇天をも表している,というのがこころに迫まるのです。
 泣けました。
 曲の余韻が忘れられず,帰宅して,ロストロポーヴィチさんが演奏したものを聴きました。これがまた,すごかった。辻本玲さんと何が違うかというと,それは円熟からくる「間」です。それが演奏の神々しさとつながっているのでしょう。
 この日の辻本玲さんのアンコールは,定番パブロ・カザルスの「鳥の歌」でした。この曲,私には切なすぎます。聴くたびに,若くして亡くなったNHK交響楽団の首席チェロ奏者・徳永兼一郎さんがホスピスで弾いた最後の「鳥の歌」を思い出してしまいます。

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