【Summary】
Toru Takemitsu’s Family Tree – Musical Poem for Young People (1992) is a late work for narrator and orchestra, based on a text by Shuntaro Tanikawa. Its quiet, spacious sound world reflects Takemitsu’s aesthetic of silence and nature. Listening again, I was reminded of its warm, intimate atmosphere, gently narrated this time by the young actress Noa Goto.
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サントリーホールは,コンサート開演前にからくり時計が登場,大ホールと同じ素材のパイプオルガン37本が曲を奏でます。これからのときめきにワクワクする瞬間です。
これまで何度かサントリーホールで聴きましたが,今回,はじめての最前列。まさかサントリーホールの最善列で音楽を聴くことができるとは…。さすがにサントリーホールは品格があります。
さて,1曲目は武満徹の「系図-若い人たちのための音楽詩-」(1992年)でした。珍しい曲をやるんだなあ,と思いました。
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武満徹の「系図-若い人たちのための音楽詩-」(1992年)は,武満徹の代表作のひとつで,語りとオーケストラのために書かれた作品です。タイトルの「系図」は「家系図」や「血筋」を意味していて,家族や記憶,時間の流れといったテーマが込められています。詩人・谷川俊太郎のテキストをもとに,語り手(ナレーター)が子どもの視点で家族について語り,その語りに寄り添うようにオーケストラが繊細で幻想的な音楽を奏でることで,語りと音楽が対話するような構成となっていて,まるで夢の中を漂っているような感覚になるものです。
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調べてみると,初演は1992年にNHK交響楽団によって行われ,語りは武満徹の娘である武満真樹さんが務めました。とあるのですが,NHK交響楽団の演奏記録アーカイブを調べてみると,曲名が「 ファミリー・トゥリー (系図)」となっていましたが,1997年6月18日,19日に第1327回定期公演Bプログラムで,指揮がシャルル・デュトワさん,ナレーションが遠野凪子さん,アコーディオンが御喜美江さんで行われたものと,2016年4月22日,23日に第1833回定期公演Cプログラムで,指揮がレナード・スラットキンさん,ナレーションが山口まゆさん,アコーディオンが大田智美さんで行われたものが見つかりました。で,思い出したのですが,私は,2016年に演奏されたものを実際に会場で聴いています。このふたつの公演はYouTubeで見られるのですが,そこで,思い出しました。この曲,よく覚えています。
武満徹は,1930年に生まれ,1996年に亡くなりましたから,この曲は晩年のものです。
武満徹の音楽は,メロディックな「わかりやすい音楽」とは違い,静けさや余白,響きの移ろいが基本となっていて
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●間の美学
音と音のあいだの「沈黙」や「余白」を大事にし,日本庭園の静けさや茶室の空気感のような,音がない時間に意味をもたせる。
●自然との共鳴
風の音,水のさざめき,木々のざわめきといった自然の音を思わせるような響きが多く,聴いているとこころが落ち着いてくる。
●西洋と東洋の融合
西洋の現代音楽の技法を使いながら,日本的な感性や美意識を大切にしている
特に有名なのは,尺八や琵琶とオーケストラを組み合わせた「ノヴェンバー・ステップス」はその象徴。
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といった特徴があります。
今回の「系図-若い人たちのための音楽詩-」(1992年)は,お年寄りが暖かな日差しの入る居間にいて,その姿を見ながら孫が語っている,というような感じがしました。
語りは五藤希愛(のあ)さんという人で,2010年生まれというからまだ15歳の俳優,声優さんです。この大役をこなす人をさがすのも大変だったことでしょう。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
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