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「土井竹林」は,JR尾鷲駅から直線距離ではほど近い国道42号沿いの西側にあります。
紀勢本線は単線で非電化ですが,JR尾鷲駅のところは複線になっていて,駅舎は駅の東側,つまり,海側のみにあります。また,線路の西側,つまり山側には,線路に平行に国道42号線が走っています。そこで,「土井竹林」に行くには,まず,紀勢本線の線路を渡り,さらに,国道42号線を渡らなければなりません。しかし,線路を渡る踏み切りは駅舎から結構な距離があり,また,国道42号線を渡る信号もさらに遠い場所にあるので,かなり遠回りすることになります。
おまけに,近くまで来ても,「土井竹林」へは,国道42号線に面した巨大なパチンコ屋の駐車場の奥にある狭い道に沿って行くことになるのですが,その道がきわめてわかりずらいものでした。なお,GoogleMapsで表示される近道は間違いで,通行止めになっていて行くことができません。
パチンコ屋の駐車場を歩いて横切って,やっとのことで道を見つけて,その狭い道をしばらく進んでいくと,その先に手掘りのトンネルがありました。トンネルをくぐると,ついに「土井竹林」が出現しました。
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「土井竹林」は,江戸時代からの林業家「土井家」が薩摩から移植した孟宗竹などの見事な竹林です。約4,000平方メートルにも広がる竹林には,直径30センチメートルはある大きな竹が林立し,静寂に包まれて,厳かな雰囲気を感じることができます。
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と,尾鷲市のホームページにあります。
私には,子供のころの思い出の伏線回収。とはいえ,せっかく行ったのに,これ以上の感想をもち合わせませんでした。感動した,わけでもなければ,そこで感慨にふける,でもなかったのです。推理小説を読んで,犯人がわかったわけでもなければ,謎が解けたわけでもない,という感じなのです。というのも,尾鷲市には数少ない観光資源なのに,行き方が難しく,せっかく着いたこの場所は,荒れるに任せて…,という感じがしたことと,柵があるので,竹林を外から眺めることはできても,ドラマ「旅路」のように,中に入ることができなかったことで,寂しく,侘しくなってしまったからです。
先日,偶然行った愛媛県大洲市の「おはなはん」のロケ地とは雲泥の差でした。当時,「旅路」は前作の「おはなはん」と同じくらいの人気を誇った朝の連続テレビ小説だったのですが,なぜか,いろいろな意味で冷遇されています。これでは,主役の日色ともゑさんがかわいそうです。
ともかく,この旅の目的は達成できました。
さて,この後は,帰りの特急「南紀」の出発時間まで6時間余りをきままに過ごすだけですが,はじめて来た尾鷲市がどういうところだろうかと,この時点では期待しました。
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ところで,国道42号線を渡るときに通った十字路のもうひとつの道は私がトラウマになっている国道425号線でした。
国道425号線といえば,通称「死にゴー」といわれる道です。国道425号線は,「ヨサク」といって親しまれて? いる国道439号線,国道418号線とともに,「日本三大酷道」とよばれているものです。国道439号線は四国地方にあって,私は,祖谷のかずら橋に行ったときに覚悟して走りましたが,思ったほどではありませんでした。また,国道418号線は頻繁に通るのですが,この道のほとんどは一般の舗装道路にすぎず,酷道とよばれるのは八百津あたりだけのことです。しかし,国道425号線は違います。全線が酷道なのです。
私は,国道425号線が酷道といわれているとはつゆ知らず,以前,十津川村に行ったとき,地図上で見ると,近畿地方の山の中から海岸に出る近道と誤解して,何と,雨の日の夜にこの道を走り,恐怖におののいたことがあります。そのときは,結局,途中の下北山村で断念して国道169号線に進路を変えたので事なきを得たのですが,もし,そのまま走っていたら,無事に尾鷲市のこの場所に着いていたのならいいのですが,途中でどうかなっていたかわかりません。
このくちゃくちゃこそが,海外旅行では決して味わえない日本を旅する底知れぬおもしろさだと,今の私は思っていますけれど,やはり,山奥を走るには下調べが必要だと痛感しました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは