しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:天王星

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☆☆☆☆☆☆
 このところ,やりたいことがどんどん増えてきて,ゆっくり星見に行く時間がありません。星は大概のものは見てしまったので,明るい彗星でも来ない限りは後回しです。なにせ,星雲や星団はいつ見ても同じで逃げていきませんから。とはいえ,夕暮れの「かわたれどき」と明け方の「かたわれどき」は非常に美しく,そこに惑星や月が共演すると,まことに興味深い姿を現すので,思わず見とれてしまいます。
 そんなわけで,このごろは,その時間ともなると,ほかにやりたいことがあるのにもかかわらず,近場に,三脚につけたカメラを持ちだして,そうした姿を写すことが楽しくなってきました。
 今のデジタルカメラはとても優秀なので,思った以上の写真が簡単に写せます。また,このごろは,ソフトフィルターなるものをつかうと,強い光を受けている場所ほど光が大きくにじみ星像が際立つのでこれを活用するようになりました。
 現在は,明け方の空には惑星がいないので,今日は,夕方の空,つまり「かわたれどき」に写した写真をいくつか載せることにします。

 まず,1番目の写真は2023年4月3日の午後7時5分ごろから5分間にわたって写した国際宇宙ステーションです。国際宇宙ステーションはとても明るくて,予報通りに動くので,写しやすいのですが,何度見ても感動します。ただし,長時間露出をすると空が「真っ白になってしまうので,適当な露出で何枚も写して,コンピュータで「比較明コンポジット」をしなければなりません。そこで,ところどころ軌跡が破線となっているわけで,国際宇宙ステーションが輝きを停めているのではありません。
 実は,この時期の夕刻に国際宇宙ステーションを見ることができることは知らなかったというか,気に留めていなかったのですが,4月1日に金星と天王星が近づいたのでその写真を撮ろうとして空を見たら国際宇宙ステーションが飛んでいてびっくりしました。そこで改めて調べると,4月3日にも見られることがわかったので,今度はそれを狙ったわけです。
  ・・
 2番目の写真は2023年3月24日の夜8時30分ごろに月と金星が大接近したのを旅先の佐渡島で写したものです。この日は南にいくほど月と金星は近くなり,沖縄では月に金星が隠されるという金星食が起きたので,それを見るためには,住んでいるところよりさらに北に旅するなんていうことをしていてはいけないのですが,そんなことはまったく頭になかったわけです。
 であったのに,この日,日本列島はほとんどの場所で曇ってしまったようで,私がいた佐渡島が晴れていたのが,まあ,いつものように悪運が強いというか何というか…。

 話が前後しますが,先に書いた4月1日に写した金星と天王星の写真が3番目のもので,4月3日に写したものが4番目の写真です。2日で少し金星の位置が変わっていることがわかると思います。天王星は6等星くらいなので,単独にいても,なかなかどの星がそうなのかわからないのですが,こうして,金星などの標的があると,簡単に見わけることができます。実際は3月31日に金星と天王星は最接近したのですが,あいにくこの日は曇りでした。
  ・・
 また,ちょうど同じ日に,水星が結構高く昇っていて見やすい位置にあって,雲さえなければ,これはどうでも写せるのですが,日没30分後の西の空ぎりぎりに木星があってすぐに沈んでしまうというので,なんとかこれが写せないものかとトライしてみたのが,5番目と6番目の写真です。結論からいえば,がっかりでした。明け方ならこの条件なら見ることができたと思うのですが,どうしても夕方はまだ街灯が明るく,また,春は空が濁っているので難しいのです。
 いつも書いているのですが,見えなければ見えないということがわかったことが意義のあることなので,それはそれで満足できます。

 そんなわけで,日々,さまざまな条件で見え方が違うのを確認するのは楽しいことです。
 こんなことをしているから,いつも,やりたいことだらけになってしまうのですが。

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☆☆☆☆☆☆
 異常な暑さの続く日々。わざわざ早起きしなくても午前3時に起きるようになったので,これを幸いに,涼しい時間に早朝散歩となりました。しかし,空を見上げれば,水星,金星,火星,木星,土星,さらには天王星,海王星まで並んでいるので,散歩どころでなく,魚眼レンズをつけたカメラを三脚に取り付けて持参するようになってしまいました。ところが,晴れていても,空には雲があったり,東の空低く雲が覆われていたりと,なかなか満足のいく写真が写せません。
 今日の2番目の写真は6月28日のものですが,水星がかろうじて雲の間から顔を覗かせて,それを狙って写ればそれで感動するような有様でした。
 さて,そんなこんなで1週間。すでに月は新月を越えてしまったので,この惑星揃い踏みに月が参加しなくなったのが残念なのですが,それでも,6月30日は,ついに雲がほとんどなく,星が輝いていました。こうなると,水星が地平線から顔を出したときからが勝負です。問題なのは,時間が経つにしたがって空が明るくなってきて,天王星と海王星が写らなくなることと,水星を写そうとすれば東の白んだ空に消えてしまわないように,露出を抑える必要があるということで,困難を極めるのです。
 そんな状況だったのですが,何度もシャッタースピードを変えながら,なんとか惑星すべてが写ったのが今日の1番目の写真です。水星は,写真でこそ写しにくいものですが,双眼鏡では思った以上にはっきり見えるので,一度場所がわかってしまえば,肉眼でも探し出せました。
 こうして,やっと,満足な写真が写せました。

 しかし,それよりも…。
 田んぼの用水路に何か生き物がいるのです。大きな音を立てて泳いでいます。これは毎朝のことだったのですが,はじめは魚だろうと思っていたので,気にも留めていませんでした。ところが,6月30日,ついに目撃してしまったのです。それは巨大なネズミでした。
 家に戻って調べてみると,ヌートリアでした。
  ・・・・・・
 ヌートリアは,南アメリカが原産のネズミ目ヌートリア科ヌートリア属の動物。頭胴長40センチメートルから 60センチメートル。
 ヌートリアの毛皮は,水に濡れても保温できる毛皮として,質が高いとされ,毛皮を目的に導入されたものが,養殖場から逃げ出したり放逐されたりした個体が,野生に定着。日本でも,1940年代後半から1950年代に毛皮の需要が減少したことで大量に放逐され,野生化。
 今後日本で広がった場合,生態系への影響が懸念される動物。
  ・・・・・・
とありました。
 さらに,新幹線の線路は,この日もまた,架線工事の車両が走っていました。
 このように,人々が活動を開始する以前の世界は,思った以上にさまざまな出来事が繰り広げられているのです。

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☆☆☆☆☆☆
 6月14日の朝日新聞「語る・人生の贈りもの」というコラムに,囲碁棋士の小林光一さんが「3時に起床して囲碁の研究をしている」とありました。
  ・・・・・・
 3時に起きてます。昔から早寝早起きだったけど,さらに起きるのが早くなってね。
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 だそうですが,私も同じようなもの。歳をとると寝るのも体力がいるのです。そこで,早起きになった私は,早朝に星を見るのはまったく苦ではないのです。しかし,特に6月は夜明けが早く,午前4時にはもう明るくなるので,星を見るために早起きするとなると,午前4時ではすでに遅いので,若い人には困難な話です。

 そんな季節ですが,現在,明け方の空には,水星,金星,火星,木星,土星,天王星,海王星まで揃っています。これを「惑星直列」とかいうそうです。さらに,ここ数日は月までも参加です。
 しかし,あいにくの梅雨空なので,一向に晴れません。
 6月19日は午前3時30分に起床しました。今日も曇りだろう,とは思ったのですが,せっかく起きたのだからと窓を開けると,意外にも月や金星が明るく輝いていました。そこで,カメラを三脚に固定して,魚眼レンズを取りつけて,サンダル履きで近くの田んぼのあぜ道まで出かけました。寒くないので楽です。そして午前3時46分に写したのが,今日の1番目の写真です。
 こういった現象は,写真で見るより,実際に空を眺めたほうがずっと感動するものです。

 ところで,もう,6年以上も前のことになりますが,当時もまた「惑星直列」が話題となりました。そのときのバカげたニュースは次のものでした。
  ・・・・・・
【緊急警告】
 1月20日,5つの惑星が一直線に並ぶ「惑星直列」(The Parade of Planets)が起きる!  地球が無重力になり,自然災害も多発か!?
  ・・
 しかし実際のところ,地球が無重力状態となる現象は起きませんでした。
 ちなみに,過去に水星から海王星までの太陽系の全惑星が絡む「惑星直列」が起きた年の出来事を調べてみると,989年の新潟焼山の大噴火,1666年のロンドン大火,1982年の北海道浦河沖地震やフォークランド紛争など,世界を震撼させるような事件や災害が起きていることは確かです。
  ・・・・・・
 ということだったのですが,であるなら,このところの新型コロナウィルスの世界的な蔓延も,ロシアによるウクライナ侵攻も,異常な円安も,半導体の不足も,ジェネリック薬品の品薄も,みな「惑星直列」が原因なのでしょうか?

 ところで,この,2016年に起きた「惑星直列」は1月末から2月はじめのことだったのですが,このときに写した写真も載せておきます。3番目が2016年1月31日で5番目が2016年2月8日,ともに朝6時ごろです。このときは冬だったので,空が明るくなるのは遅く,さほど早起きしなくてもよかったのですが,最も寒いときでした。当時はすごい現象を写したと思っていたのですが,このときの「惑星直列」は現在とは違って,天王星と海王星は参加していなかったことを,改めて今回調べて知りました。
 ならば,今回のほうがずっとすごいです。でも,晴れないので,「惑星直列」は話題にもなりません。いや,それとも,世の中に星を見ているような余裕がないからでしょうか?

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 2019年の6月,念願だったローウェル天文台に行って,冥王星を発見した望遠鏡を見てきたことは,すでにブログに書きました。
 ここで,天王星・海王星・冥王星について,私の知識を整理したいと思います。
  ・・
 私が子供のころの惑星の名前の覚え方は「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」でした。その後冥王星が準惑星と新たに分類されて惑星から脱落してしまいましたが,それはともかくとして,水星から土星までは自然な名前なのに,どうして天王星,海王星,冥王星の三つだけ名前が異質なのか,子供のころ気味悪く思ったものです。
 ところで,この惑星の覚え方ですが,英語では「My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.」と覚えたのだそうですが,現在は,冥王星に加えて,新たに準惑星となったケレスとエリスを含んで,「My Very Exciting Magic Carpet Just Sailed Under Nine Palace Elephant.」と変わったそうです。 ちなみに,準惑星は冥王星,ケレス,エリスの三つに加えて,さらに,マケマケとハウメアのふたつがあります。
 水星から土星までは肉眼ではっきり見えるので,古から惑星として認知されていたのに対して,天王星,海王星,冥王星はのちに望遠鏡で発見されたもので,そのとき名前がつき,それを日本語で別の表記をしたことから,異質なものになったというわけです。

 では,これからは,天王星,海王星,冥王星の発見物語を書きます。今日は天王星です。
 天王星は最大等級が5.6等なので,そのときは肉眼でも見えることができるといいますが,ほかの星と区別がつかないので,もし見えても,それが天王星だということは容易にはわからないでしょう。
  ・・・・・・
●天王星の発見
 太陽系第7惑星である天王星(Uranus)は,1781年3月13日,イギリス人のウィリアム・ハーシェル(Sir Frederick William Herschel)によって発見されました。「Uranus」という名前は,ヨハン・ボーデ(Johann Elert Bode)が提案しました。これは,ギリシア神話における天の神ウーラノス(Ουρανός=Ouranos)のラテン語形で,これを中国で「天王星」と訳したものが日本に広まったのです。
  ・・
 天王星は,1690年,ジョン・フラムスティード(John Flamsteed)がおうし座34番星として記録したものが最古の記録で,それ以後も何度も観測されていましたが,惑星とは認識されていませんでした。
 1781年3月13日,ウィリアム・ハーシェルが自宅でこの星を見て「新彗星」であると思いました。しかし,その後の観測から軌道を決めるとき,彗星であれば,まず,放物線と仮定するのですが,それではうまくいかず,アンデル・レクセル(Anders Johan Lexell)が円軌道と仮定して軌道を求めたところ観測結果を説明することに成功し,求められた軌道は長半径が土星のはるか遠方の巨大な天体であることがわかりました。これ以後、新天体は惑星と見なされるようになりました。
  ・・・・・・
 天王星を発見したと思われる,1781年にウィリアム・ハーシェルが自作した口径7フィート,約21センチメートルの反射望遠鏡のレプリカは,現在,ロンドンから電車で2時間ほどのバース・ニュー・キング・ストリート19番地にある彼の自宅を改築して作られたウィリアム・ハーシェル博物館(William Herschel Museum)にあります。一度見てみたいと思い続けているのですが…。

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 コロナウィルス騒動が続いていますが,気がつけば3月,もう春です。そしてまた,3月も満月が過ぎて,星見の時期になってきました。
 私は人混みがきらいだし,スポーツジムもライブハウスも無縁で,誰も人がいない空の広い,そして暗い場所で星空を眺めるのがもっとも落ち着きます。しかし,こんなものが流行してしまうと海外旅行をする気にならないのだけが誤算です。
 現在,夕方の西の空に「宵の明星」とよばれる金星が高く輝やいています。実はその近くに天王星がいるのですが肉眼ではまず見えません。そこで,3月12日の夕刻は天気がよかったので,金星と天王星を同じ画面に収めようと,画角を調べてみると180ミリ望遠レンズなら一緒に撮ることができることがわかったので,そのレンズを持って,日没を待って写しにいきました。

 子供の頃,惑星の名前を「水・金・地・火・木・土。天・海・冥」と覚えました。今は冥王星は惑星の座から降りた(降ろされた)ので「水・金・地・火・木・土。天・海」です。
 これを英語では,
 My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.
というように,惑星のスペリングの先頭の文字で覚えるのだそうです。ちなみに,
 水星=Mercury
 金星=Venus
 地球=Earth
 火星=Mars
 木星=Jupiter
 土星=Saturn
 天王星=Uranus
 海王星=Neptune
 冥王星=Pluto
です。しかし,冥王星を抜いてしまうと文書にならないので,新たな覚え方というのが発案されたそうです。
 それは,たとえば
 My Very Educated Mother Just Served Us Nachos.
 My Very Educated Mother Just Served Us Noodles.
の類ですが,最後の「Nine Pizzas」を別のモノに変えただけです。
 
 さて,水星から土星までは明るく,簡単に肉眼で見ることができるのですが,天王星と海王星は暗いので,簡単には探せません。とはいえ,天王星は意外と明るく,理屈では肉眼で見られないこともないのですが,海王星となるとお手上げです。たとえ,天王星や海王星を位置を調べて望遠鏡の視野に入れても,小さな望遠鏡では単に恒星のようにしか見えないので,それが天王星や海王星なのかはなかなか区別がつきません。そこで,金星が近くにあると,星の並びから容易に探しだせるというわけです。
 ということで,今日の1番目の写真は,この晩に写したものです。
 ちなみに,2017年1月12日に金星は海王星と接近しました。そのときに金星と海王星を同じ視野に入れて写したものが,今日の2番目の写真です。
  ・・
 この晩はこれで目的を果たしたので早々に帰ろうと思ったのですが,せっかくなので,機材を入れ替えて,いつもの望遠鏡でパンスターズ彗星(C/2017T2 PanSTARRS)も写してみました。それが3番目の写真です。この彗星は7月ごろまではまだ今よりも少し明るくなる予報なので,まだまだ写すことができます。
 また,この晩は写しませんでしたが,アトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS)が5月ごろに,ずいぶんと明るくなるという予報が出ています。ひょっとしたら大化けするかもしれません!
 それに加えて,3月18日から19日にかけて,明け方の東の空に,火星と木星と土星,それに加えて月が大接近するので,今から楽しみです。午前3時30分ごろ,東の空が開けたところなら,3つの惑星と月が同じころに昇ってくる姿が見られます。晴れるといいなあ。

◇◇◇
私は,星を見ていると,もののスケールや時間のスケールがいつも気になりますが,多くの人はそういうことをほとんど考えません。たとえば,今流行しているコロナウィルスですが,愛知県で感染者が100人といっても,愛知県の人口は750万人あまりだから,感染者は7万人に1人。日本中では感染者が1,500人弱で日本の総人口は1億3,000万人弱なので,10万人に1人ほどです。これは,「年末ジャンボプチ」の1等1,000万円に当選するのと同じくらいの確率です。ちなみに,コロナウィルスほど騒がれませんが,2018年9月第1週から2019年2月第2週までのインフルエンザの累積予想患者数は10,448,891人(約1千万人)でした。
また,マスクを買うのに行列を作っていますが,私はこのご時世,人混みで行列を作っていることのほうがずっと危険だと思うのです。実際,マスクの目の大きさは約5μm,それに比べて,コロナウイルスの大きさは0.05μmから0.2μmで約50分の1ほどなので,マスクの目をすり抜けます。しかし,ほとんどの人は,こうしたことをまったく知りません。マスク洗って何度も使っているいる人,マスクを汚いポケットにしまったり,テーブルに置きっぱなしにして食事をしている人さえいます。屋外や車の中のように,マスクが必要でない場所で貴重なマスクを無駄遣いしている人もいます。さらに,マスクを顎に下げて,コロナウイルスよりよほど有害なタバコを吸っている人もいます。マスクを市販の布で自作している人もいますが,マスクはマフラーとは違います。目の粗い布で作っても,それは,形がマスクであるだけで,マスクの機能をみたさなけば意味がありません。それはたとえば,「倍率100倍の双眼鏡!」のような,双眼鏡の形をしているだけのマガイモノのようなものと同類です。
スギ花粉はマスクの目よりもずいぶん大きくて20μmなのでマスクで侵入を防げるのですが,正しくマスクを使わない人がマスクを買い占めることで,気の毒にも花粉症でマスクが本当に必要な人や,医療従事者のようにマスクの必要な人の手にゆきわたらないということにもなっています。
ちなみに,政治家など言わずもがな,「情報の信ぴょう性」を指導しなけらばならない教育者や「正しい情報の伝達」を最も重視しなけらばならない報道関係者でも,こんなことすら知らない人がいます。また,そうした人に限って,正しい使い方を知らず教えず単にマスクの着用をよびかけたりしているのは,「偏差値」の正しい意味も知らずに進路指導をする教師同様,きわめて嘆かわしい話です。
無題

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☆☆☆☆☆☆
 2019年2月13日,火星と天王星が大接近しました。
 火星(Mars)は太陽系の太陽に近い方から4番目の惑星で,太陽との平均距離は 227,936,640 キロメートルです。ちなみに,太陽と地球との平均距離は149,600,000 キロメートルなので,その約1.5倍です。直径は地球の半分ほどしかありません。また,自転周期は地球に近く,火星の1日は24時間39分35.244秒です。地球は780日,つまり2年と7週間と1日ごとに火星を追い越しますが,その時期に地球と火星は接近して,そのときの距離は約80,000,000キロメートルです。火星はオレンジ色や赤っぽい色に見え,地球に近いので明るく,肉眼で簡単に見分けることができます。
 一方,天王星(Uranus)は太陽系の太陽に近い方から7番目の惑星で,太陽系の惑星の中では木星,土星に次いで3番目に大きいのですが,太陽との平均距離が 2,871,000,000 キロメートルと火星の10倍以上も遠いので最大等級が5.6等と暗く,肉眼で見るのは困難です。なお,太陽の周りを84年かけて公転しています。
 そんなわけで,天王星は双眼鏡を使えば容易に見ることができるのですが,普通の恒星とかわらないために,双眼鏡の視野に入っても,それが天王星だとはなかなかわからないものです。

 子供のころに太陽の周りをまわる惑星の存在をはじめて知ったころ,土星までの惑星にくらべて,天王星,海王星,そして,今は準惑星に格下げされてしまった冥王星というのは異質な惑星でした。それは,日本語での名前の付け方がまったく違うことと,とても暗いということにありました。
 確かに,肉眼で見ることは困難ですが,天王星と海王星は思ったほど暗い星ではなく,双眼鏡を使えば容易に見ることができます。しかし,先に書いたように,なかなか見分けがつかないので,実際に見ていても,それが天王星だ,海王星だと判断するのがむずかしいのです。だから,火星を双眼鏡の視野に入れさえすれば簡単に天王星を見分けることができるこうした機会は貴重なのです。
 しかし,火星と天王星の接近は珍しいものではありません。天王星は遠いので,ほとんど位置を変えませんが,それに比べて,おおまかにいえば,火星は2年で天球を1周するから,2年ごとに天王星に接近してくるのです。であっても,実際に双眼鏡でこのふたつの惑星を同時に見ると,やはり感動します。

 今回,こうしたことを調べているうちに,私にはまったく興味のない「占星術」にこのふたつの惑星の大接近に関連する情報がたくさんあることに気づきました。曰く,
  ・・・・・・
おひつじ座の29度まで来ている天王星は3月6日のおうし座入りに向かっています。
火星も天王星も次元の切り離しの天体。古い次元への執着を断ち切り,新しい次元へ進化させる星たち。
火星とのタッグによって2011年から始まった天王星おひつじ座次元の切り離しがいよいよ始まり,戻れないポイントを越えます。
そしてこのエネルギーはやぎ座に集合している冥王星,土星,金星と響きあい,やり残した仕事を終わらせる力,新しい構造の創造作業をサポートします。
  ・・・・・・
 私には,なんじゃこれは? という感じですが,この大接近を「コンジャンクション」とかいう言葉で語っています。こういうのを読むと頭が痛くなるのですが,世の中にはいろんなことを考えている人がいるんだなあ,と改めて知ったことでした。
 ちなみに,私のブログでの天体の話題は,占星術とはまったくかかわりございません。

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 それにしてもずっと晴れません。ここ数か月星を見たことがありません。おまけに,関東から東北にかけては,大災害が発生しました。
 私は,前回「星見」に出かけたのが5月27日なので,あれからずいぶんと日にちが過ぎてしまいました。ついに,この夏は,夏の星座を見ることがかないませんでした。こんなことになるのなら,5月27日に,ラブジョイ彗星の北極星とのランデブーだけで満足しないで,朝までさそり座といて座の星団たちを堪能すべきでした。メシエ天体制覇まで1年お預けです。
 あれから,新月が3度過ぎて,4度目が9月13日。そういえば,この次の満月はお月見であり,日本では見られませんが皆既月食であり,スーパームーンです。
 昨晩の天気予報も微妙で,信じていいのかいけないのか,随分と迷いましたが,ともかく出かけました。いくら日の出が遅くなったとはいえ,まだ午前5時20分くらいなのですが,幸運なことに空が明るくなりはじめる午前4時までずっと快晴でした。日の出とともに曇ってきたのもまたご愛嬌かな。

 昨年は,ラブジョイ彗星(C/2014Q2 Lovejoy)という思わぬ伏兵が登場して,ずっと楽しむことができましたが,さすがに暗くなってしまいました。それでも今まだ9等星ですが。これからの楽しみは,11月に明るくなるといわれているカタリナ彗星(C/2013US10 CATALINA)です。
 この日は出かけたのが遅かったので,ラブジョイ彗星はすでに沈んでいて,もう何もありません。
 実は,この日の私の目的はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)を写すことでした。暗くなったラブジョイ彗星よりもさらに暗くて,最接近時の8月13日の光度予報は11等星やら13等星やら。明るさがよくわからなかったのですが,12等星までなら写す自信があったので,なんとか,とこれまで晴れるのをずっと待っていました。でも,写るといっても,単に小さなゴミのような点が写るだけ。そんなもの,何になる? と問われればそれだけのことですが,この彗星,特別な意味があるのです。 

 このことはすでに書きましたが,少しだけおさらいです。

 2004年3月2日に欧州宇宙機関が打ち上げた彗星探査機「ロゼッタ」(Rosetta space probe)は,2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着し,11月12日には地表に着陸機「フィラエ」(Philae)(=1番目の写真)を投下,「フィラエ」は彗星の核に着陸し,史上初の「彗星に着陸した探査機」となったのです。
 ところが,史上初の彗星着陸を果たしたものの,太陽光がじゅうぶん当たらない日陰に着地してしまったために着陸後しばらくして電力不足により冬眠モードに入ってしまいました。彗星が太陽に近づくにつれて日照時間が増えて再起動を果たし通信を再開すると期待されていたのですが,ついに目覚めて,6月13日に7か月ぶりの交信に成功(=2番目の写真)。しかし,24日から再び通信が途絶えてしまいました。そして7月10日再び通信に成功して,彗星核の内部構造を探る観測機器からのデータを受信,というわけなのです。
 つまり,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は人間が手に入れたはじめての彗星なのです。これは写すのが礼儀というものでしょう! 


 先日,冥王星にも探査機が到着して,それを機会に,愛好家に冥王星を写すというのがはやったのですが,こっちこそ,単なる点が写るだけ。しかも,写っていても,どの星が冥王星なのか探すのにまる1日かかったとかいう笑えない話もあります。しかし,冥王星は別に焦らなくても写せるのです。しかし,彗星はそうはいきません。太陽に近づいている今だけ明るくなるのです。
 東の空に彗星が昇るのが朝2時30分ごろなので,それまで,天王星(=3番目の写真)を双眼鏡で見たり,星雲の写真を撮ったり(=4番目の写真・M42,5番目の写真・M77)していました。天の川が天頂まで横たわっていて,それはそれは美しい星空でしたが,南の空に輝いているのは,すでにさそり座ではなく,秋の夜空のたった1つの1等星フォーマルハウト,そして,不気味な存在をしめすのが,くじら座でした。
 東の空にオリオン座が堂々と昇り始めました。やたらと流れ星が多く,まるでオリオン座流星群のよう,と思ったら,この日は奇しくもペルセウス座ε流星群の極大期でありました。
 やがて,ふたご座が姿を現して,ついに,現在ふたご座をかに座の向かって移動中の彗星を写真に収めるこができました(=6番目の写真)。彗星は地平線に近く,写せるかなと少し心配だったのですが,東の空が暗く,彗星も予想より明るくて助かりました。

 私が念願の彗星の写真を手に入れて満足したころ,東の地平線にまばゆいばかりの金星が昇ってきました。そして月齢27の細長い月(=7番目の写真)が昇りはじめると,地球照と青みがかった空が美しく輝きはじめました。やはり,いつでも夜明けはすてきです。
 久しぶりの星見を堪能した晩でした。

◇◇◇
お正月の贈り物-ラブジョイ彗星が明るく輝く⑨
星を見るのも大変だ-探査機「ロゼッタ」

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 今晩は皆既月食が見られます。
 子供のころ,皆既日食というものをはじめて知ったとき,一度は見ていたいものだと思いました。しかし,日本で皆既日食を見ることができるのは遠い先のことで,落胆しました。
 恐竜やマンモスの化石,オーロラ…。どうして,日本ではそういうものに無縁なのか,子供ごころに日本に失望した思いがたくさんありました。
 そのとき,皆既月食のことも同時に知ったのですが,皆既月食は皆既日食に比べて日本でも頻繁に見られるから,それはそれほど珍しい現象でもないし,皆既日食で見られるダイヤモンドリングもないし,私は,あまり興味がわきませんでした。

 それに,子供のころに,私は皆既月食をはじめからおしまいまで見てがっかりした記憶がありました。
 それは,15歳まで住んでいた家の近くの公園でブランコを漕ぎながら見たのだから,おそらく1960年代のことだと思うのですが,皆既月食といっても,日食とは違って,月が見えなくなるわけでもなく,やたら赤っぽい月が浮かんでいただけでした。なんだ,赤いだけじゃないか,と失望したことや,あまりに,皆既の時間が長く飽きちゃったことが,がっかりの原因でした。
  ・・
 やがて,月日が流れ,私は,1999年には念願の皆既日食をハンガリーで見ることもできたし,オーロラも見たし,マンモスの化石も見たし,恐竜の化石もたくさんアメリカで見ました。それは,子供ころの失望が反骨精神となって外国に行ってこれらを見てみたいと思っていたからこそ実現したのかもしれません。そして,今でも失っていない星への興味が,歳をとるにつれてさらに深まって,月も素敵なものだという気持ちに変わってきました。

 日食は,太陽と地球の間を月が通過するとき,つまり,ちょうど新月である月が,太陽の前を通過することで起きるわけだから,皆既日食というのは,実は太陽の前の月を見ているということになります。見かけ上の大きさがほぼ同じという偶然から,それが皆既日食になるわけです。だから,地球上で見ることのできる範囲は狭く,皆既になる時間もわずか数分です。
 それに,地球をまわる月の軌道は楕円だから,地球から月が遠いときには月の方が太陽よりも見かけ上小さくなるから,太陽をすべて隠すことができず,このときは残念ながら皆既日食にはならず,金環日食になってしまいます。これは2年前に日本でも見られました。私もしっかりと観測しました。
 それに対して,月食は,夜,月を輝かせている太陽の光を地球が邪魔して起こるので,地球上の非常に広範囲で見ることができるし,皆既の時間も1時間程度にもなるので,それほど珍しい現象でもないわけです。そして,私が子供のころに見たように,皆既月食では,地球の大気によって太陽の光のうち波長の長い赤系の光が屈折・散乱されて本影の中に入るために,月は真っ暗にはならず,暗い赤色(赤銅色)に見えるのです。
 しかし,火山爆発などで大気中に多量の微粒子が浮遊している場合には,月が非常に暗くなって灰色かほとんど見えなくなることもあるらしいです。今回の皆既月食は,赤銅色だと言われているのですが,実際はどうなのでしょうか。御嶽山の噴火は影響があるのでしょうか?
 それよりも,実は,今回の皆既月食で私が興味があるのは,皆既中に月の光が弱くなることで,満月の夜空には消えてしまう星々が皆既中には見られるということなのです。特に,今回の皆既月食では,月のわずか右側に天王星がいるので,これが見られるかどうか,ということが最大の楽しみなのですが…。

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