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【Summary】
I began 2026 by attending a complete performance of Brahms’s violin sonatas at Munetsugu Hall in Nagoya, featuring violinist Kyoko Ogawa. The refined, deeply expressive music left a strong impression. The concert also highlighted the growing presence of outstanding female concertmasters in Japanese orchestras.

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 2026年1月10日は,コンサートのハシゴをしました。ひとつ目は,叶澤尚子さんの「サタデー・モーニング・コンサート vol.24」,そして,ふたつ目は小川響子さんのヴァイオリン演奏会でした。
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 次に聴いたのが,小川響子さんのヴァイオリン演奏会でした。
 場所は名古屋の宗次ホール。定員310人のホールですが,満席でした。ヴァイオリンが小川響子さんで,ピアノが稲生亜沙紀さん,曲目はブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲,といっても,3曲しかないのですが,それをすべて演奏する,というものでした。

 私はブラームスのヴァイオリン・ソナタはこれまで聴いたことがなかったので,聴く前に予習をしました。
 ブラームスは1833年に生まれ,1897年に63歳で亡くなりました。ピアノ協奏曲第1番の作曲が1858年,ピアノ協奏曲第2番が1881年,ヴァイオリン協奏曲が1878年,交響曲は第1番が1876年,第2番が1877年,第3番が1883年,そして,第4番が1885年なので,ヴァイオリン・ソナタは晩年の作品です。
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●ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」
 1879年の作曲で,優しくて抒情的。3楽章構成。
 避暑地で自然に囲まれて作曲した影響で,しっとりとした雨のような雰囲気があります。「雨の歌」とよばれるのは第3楽章に歌曲「雨の歌」(Regenlied)の旋律が使われているからということです。
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●ヴァイオリン・ソナタ第2番「愛の歌」
 1886年の作曲で,明るくて親しみやすい雰囲気。3楽章構成。
 ブラームスが恋をしていたときに書いたから,といわれ,甘くて優雅な旋律が魅力的です。だそうですが,恋をしていた相手はソプラノ歌手のヘルミーネ・シュピース(Hermine Spies)という人だそうです。ヘルミーネ・シュピースはブラームスのお気に入りの歌手で,彼女のために書かれた歌曲の旋律がこのソナタの中に織り込まれているということです。
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●ヴァイオリン・ソナタ第3番
 1888年の作曲で,ドラマチックで情熱的。4楽章構成。
 ブラームスのヴァイオリン・ソナタの最高傑作とわれます。第1楽章ではピアノとヴァイオリンがまるで火花を散らすように対話し,第2楽章ではピアノが深い呼吸のように歌いヴァイオリンがそれに寄り添うように奏で,間奏曲のような軽やかな第3楽章に続き,嵐のクライマックス第4楽章ではピアノが怒涛のように駆け抜けヴァイオリンがそれに食らいついていくという,リズムの切迫感ハーモニーの緊張というようにふたつの楽器がせめぎ合うすばらしいものです。
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 小川響子さんは,ブラームスが好きということで,ソナタ全曲を弾くのが夢だったそうです。私も,このごろ,渋くてこころに染みるブラームスの作品がどれもがとてもいいと思うようになってきました。とりわけヴァイオリン・ソナタは気品があり,すてきな曲なので,聴くのが楽しみでした。
 小川響子さんはのびやかで張りのある音色がすばらしい奏者です。曲に特別な想いがあるというのがにじみ出ていました。今回,一度に全曲聴くことができて,私もとてもしあわせでした。
 アンコール曲は,ブラームスのF.A.E.ソナタよりスケルツォと,シューマンの3つのロマンスより第2楽章でした。F.A.E.ソナタは,1853年にブラームスがシューマンとその弟子ディートリヒ(Albert Dietrich)と共作したヴァイオリン・ソナタで,ヨアヒム(Joseph Joachim)のために書かれたものです。F.A.E.とは、ヨアヒムのモットーである「Frei aber einsam」(自由にして孤独)の頭文字を取ったもので,音楽的モチーフとしてF-A-Eの音を作品に織り込んでいます。ブラームスがかいた第3楽章のスケルツォは,単独でも演奏されるほどの人気を誇ります。
 今回の演奏会の主役である小川響子さんは名古屋フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターです。1年前に愛知県稲沢市の市民会館で,名古屋フィルハーモニー交響楽団のメンバーによる室内楽の演奏会があって,そのときに出演したのを聴きました。
 何とまあ,美しい音をさらりと簡単そうに奏でる人なのだろう,と思っていたら,このごろはAoiTrio(葵トリオ)というピアノ三重奏団でも活躍しているようです。私は,AoiTrio(葵トリオ)は,まだ聴いたことがないので,一度聴いてみたみたいと思っています。また,来週1月16日と1月17日には,名古屋フィルハーモニー交響楽団でブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾くということなので,こちらは聴きに行きます。とても楽しみです。

 ところで,近ごろ,オーケストラのコンサートマスターには多くのすばらしい女性がいます。調べてみると
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 京都市交響楽団と札幌交響楽団には会田莉凡さん,読売日本交響楽団には日下紗矢子さん,仙台フィルハーモニー管弦楽団には神谷未穂さん,山形交響楽団には犬伏亜里さん,群馬交響楽団には伊藤文乃さん,新日本フィルハーモニー交響楽団には立上舞さん,日本フィルハーモニー交響楽団には千葉清加さん,富士山静岡交響楽団には大森潤子さん,セントラル愛知交響楽団には島田真千子さん,大阪交響楽団には林七奈さん,関西フィルハーモニー管弦楽団には木村悦子さんと赤松由夏さん,日本センチュリー交響楽団には松浦奈々さん,広島交響楽団には四方恭子さん,北田千尋さん,蔵川瑠美さん,NHK交響楽団にはトゥールーズキャピトル国立管弦楽団から藤江扶紀さんがゲストで。
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という具合ですが,女性のコンサートマスター,華やかでいいです。
 ちなみに,以前は,女性の場合,コンサートミストレス(Concertmistress)とよんでいましたが,今では,性別に関わらずコンサートマスター(Concertmaster)とよぶことが多いです。英語圏では「master」が男性名詞であることから「mistress」が使われたものの,近年はポリティカル・コレクトネス(=政治的正しさ)の観点から「concertmaster」に統一する傾向があり,同様にして,日本語でも「女性でもコンマス」というケースが増えているということです。

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