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2024年2月17日,大西順子さんが愛知県の東海市芸術劇場大ホールでソロピアノコンサートを行うというので,聴いてきました。客席は満員でした。
惜しくも,2024年2月6日に亡くなった小澤征爾さんですが,私が今でも印象に残っているのが,2013年に行われたサイトウ・キネン・フェスティバルです。
2013年のサイトウ・キネン・フェスティバルは,8月12日から9月7日まで10公演が行われたのですが,その最終日9月6日を飾ったのが, 小澤征爾さんが指揮をしたガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」を,サイトウ・キネン・オーケストラと大西順子トリオが共演したものです。これは,2012年夏,突然の引退宣言をした大西順子さんでしたが,小澤征爾さんの猛烈な誘いに負け,一夜限りの復活とし出演を決めたものです。そして,小澤征爾率いるサイトウ・キネン・オーケストラと大西順子トリオの共演は,大きな話題となりました。
小澤征爾さんは,2010年に大病を患ったのですが,この公演は,その後に行われたものです。
私は,公演の様子をテレビで見ましたが,それはそれはすばらしいものでした。そして,そのときに私が知ったのが,大西順子さんでした。今回のコンサートの中で,大西順子さんがそのときの共演についても話していたのですが,観客の中で何人がそれを知っていることか?
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1967年生まれの大西順子さんは,ジャズ・ピアニストです。渡米し,ボストンのバークリー音楽院に学び,その後,ニューヨークに移り,アップタウンのジェシー・デイヴィス・クインテットのレギュラー・ピアニストとして活動しました。
日本へ帰国後は,バークリー時代の仲間とトリオを結成,ニューヨークの名門ジャズ・クラブヴィレッジ・ヴァンガードに,日本人としてはじめて自分のグループを率いて出演しました。
以降,活動中止や再開を繰り返し,2015年に,何度目かの活動再開をしました。
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私は,ジャズには疎く,また,大西順子さんも,先に書いたサイトウ・キネン・フェスティバルの放送でしか知らないので,これはまさに,将棋のルールも知らないのに,藤井聡太八冠の将棋を観戦するのと同様に,「豚に真珠」「猫に小判」「馬の耳に念仏」でした。はじめのうちは,現代音楽を聴いているような感じに思えて,正直かなり苦痛でした。
しかし,次第にわかってきて,楽しくなりました。
クラシック音楽のピアノとは違って,ジャズのピアノは,即興を旨とするのですが,それは,ベートーヴェン以前,協奏曲のカデンツァを演奏者が即興で演奏していたのを拡大したようなものです。そこで,オリジナルをどのように奏者が変化させ創作するのか,というのが腕の見せどころとなるわけで,いかにして聴き手を引き込んでいくのかが聴かせどころです。
残念ながら,私は,そのオリジナルをも知らないのだから,話にならないのですが,それでも,次第に,次にどう来るか,ワクワクして聴けるようになってきました。そして,こりゃすごい,と思うまでになりました。大西順子さんは偉いものです。
今回もまた,私が長年味わうことがなかった感動をひとつ手に入れることができました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは