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 「三重県立熊野古道センター」から尾鷲市街地に戻ります。観光案内所でもらった地図に「正面に通称ムーミン島が見えるで」と書かれてあったので,どんなものかと,尾鷲港に行ってみました。
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 尾鷲湾の湾頭にある佐波留島(さばるじま)は,尾鷲市の行野浦から1キロメートル弱の距離に位置し,広さは4.65ヘクタールというから,46,500平方メートルなので,縦横200メートル強の広さです。
 島全域が暖帯性の常緑樹林に覆われていて,アオサギ,ゴイサギ,クロサギ,シロサギなどが数多く生息しています。
 佐波留島は,ムーミンが仰向けに寝ているように見えることから「ムーミン島」ともよばれています。
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ということですが,思ったよりも大きな島で,すぐにわかりました。
 しかし,私には,ムーミンというより,うつぶせに寝たスヌーピーのように見えました。

 次に行ってみたのは,尾鷲市天文科学館でした。場所は,標高50メートルの中村山の山頂にあって,「ふるさと創生事業」の1億円で作ったそうです。「ふるさと創生事業」というのは,1988年(昭和63年)から1989年(平成元年)にかけて,国が各市区町村に地域振興と称して1億円をばらまいたバブル期の政策で,正式名称を「自ら考え自ら行う地域づくり事業」といいます。この国は無節操に税金を集めることにも熱心ながら,哲学もなくお金をばらまくことにも熱心です。昔から。
 このお金で金の延べ棒を買って顰蹙をかったところもあるそうですが,尾鷲市は市民からアイデアを募り,天文科学館を作り,口径80センチメートルのアスコ(旭精光研究所)製の反射望遠鏡を納入しました。しかし,こういう施設は,作ることはいいのですが,維持し続けることが大変です。実際,現在,天文台は週末だけ公開しているということですし,管理運営をしている人も次第に高齢となっているということです。特に,反射望遠鏡というのは,再メッキなどのメンテナンスが必要ですが,そうした費用は市の予算からは捻出できないと思います。また,今はアスコは望遠鏡事業から撤退してしまいました。
 天文科学館の中に入ることはできませんでしたが,高台にあるので,尾鷲市街地と尾鷲港が一望できました。

 最後に行ったのが,尾鷲神社でした。
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 尾鷲神社は,伝承では,701年から703年の大宝年間に,播磨国広峰山の広峯社より須佐之男命(すさのお)を勧請したのが創祀としています。また,紀伊続風土記では,伊勢神宮の神領で,、遷宮の際に豊受大神宮(=外宮)の神職が神事を執り行ったとあります。
 1707年(宝永4年)の宝永地震にともなう津波で尾鷲神社の本殿が流出したのですが,本殿の脇に立っていた大楠は生き残り,1966年(昭和41年)には腐った大樟の幹の空洞に火が入り、3日間燃え続けたのですが大樟は無事だったとあります。
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 尾鷲神社の樹齢100年以上の大樟は三重県屈指の巨樹で,夫婦楠とよばれ,幹回り10メートルの雄樟と幹回り9メートルの雌樟の巨木が5メートルほどの間隔で並んでいて,枝が重なり合ってひとつの樹冠を形成しています。
 雌楠の瘤こぶに触ると子を授かるという言い伝えがあって子宝授けなどの神木として親しまれています。
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 また,尾鷲神社本殿内の獅子殿には,総高33センチメートル,面長46センチメートルの木彫の獅子頭が安置されていて,「ヤーヤ祭」の最終日に御獅子出御の儀式で使用されるとありました。
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 「ヤーヤ祭」というのは,白装束の男衆が狭い通りで激しくぶつかり合う「奇祭」として知られる例祭で,豊漁と豊作を祈願するものです。300年以上前から続くといわれるこの例祭は2月1日から5日にかけて開催されます。
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 神の国日本では,こうした奇祭がいたるところにありますが,それぞれ少しずつ違うのが興味深いです。旅に出たとき,その土地に根づく祭りを調べるのも一興かもしれません。

 ところで,私が地方都市を旅するときにいつも興味があるのが,江戸時代にその町を治めていた殿様のことです。しかし,尾鷲市にはそれらしい形跡すらなく,殿様がだれなのかもわからず,城跡もありませんでした。そこで「三重県立熊野古道センター」に行ったときに聞いてみたら,この場所は紀州藩,ということでした。「あの和歌山城を居城とする徳川御三家の紀州藩だって!」紀州藩ってえらく広いのだなあ,と驚きました。「広いといっても山ばかりですからね」と言われました。
 紀州藩,侮れず。

ムーミンスヌーピー

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