しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場・47都道府県を制覇し,南天・皆既日食・オーロラ,空の3大願望を達成した「不良老人」の日記

タグ:岩隈久志投手

DSC_4828DSC_4834DSC_4838DSC_4871

●西海岸と東海岸にある同じ名前の町●
 帰路もまた,どこを走ったのか覚えていないのだが,来たときよりも早くインターステイツ5に入ったことだけは確かである。何だ,このルートで来ればもっと早かったのに,と思ったことは記憶にある。日本とは違って,有名な観光地であろうと,途中には大きな案内看板などは皆無である。
 インターステイツ5に入ると快調に進み,北に北に走って,やがてポートランド近くまで戻ってきた。
  ・・
 ポートランドの手前にオレゴン州の州都であるセイラム(Salem)という町がある。
 話は飛ぶが,ニューヨーク州の州都がニューヨークよりはるか北の内陸部にあるオールバニー(Albany)であるというのを,多くの日本人は知らない。私はクーパーズタウンの野球殿堂と博物館に行ったとき,途中で偶然オールバニーを通ったことがあるが,古いビルが立ち並ぶ歴史ある町であった。
 それと同じく,オレゴン州の州都がセイラムということもまた,ほとんどの日本人は知らないであろう。また,セイラムという名前の町は,オレゴン州だけでなく東海岸のボストンの近くにもある。東海岸のセイラムは魔女の町として有名で,私は,その町にも偶然行ったことがある。ポートランドもまた,東海岸と西海岸に同じ地名の町があるが,それらもまた,ともに行ったことがある。
 このように,アメリカには東海岸と西海岸に同じ地名がけっこうあるので,それを知らずに空路を予約するとえらいことになるし,また,実際,なってしまったというのを聞いたことがある。

 この日の夕食は,そのオレゴン州の州都セイラムのデニーズで,ささやかにサーロインステーキを食べた。
 アメリカの小さな都市がどこも治安がいいということではないから注意を要するが,私の行ったことのあるほとんどの小さな都市はどこもとても落ち着いたすてきなな町であった。セイラムもまた,こじんまりとして美しかった。こんな町に住んで,安定したささやかな仕事をして,週末には家族で郊外に出かけてキャンプをするというのが,アメリカに生まれたら最も楽しくすばらしい生き方ではなかろうかと思う。
 人間を長くやっていると,そうした塩梅がよくわかってくる。
 とにかく,私がアメリカに生まれても,ニューヨークだとかロサンゼルスのような大都会には絶対住みなくない。日本でもまた,東京や大阪は嫌だ。

 夜おそくホテルに戻った。
 この日,シアトルマリナーズの岩隈久志投手がノーヒットノーランを達成した。テレビのスポーツニュースでは盛んにその話題を放送していた。私は,この登板のひとつまえの登板をセイフコフィールドで見てすっかり満足していただけに,ちょっと悔しかった。それもまた,今ではいい思い出だ。
  ・・・・・・
 岩隈久志投手は,1999年のドラフト会議で大阪近鉄バファローズから指名を受けて入団し,その後,東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍,ともにエースとして活躍したのち,2012年にMLB(メジャーリーグベースボール)に挑戦。シアトル・マリナーズに入団した。アジア人として野茂英雄以来2人目となるノーヒットノーランを達成したのがこの日のゲームであった。
 2016年までは活躍したが,2017年開幕から6試合目の登板で左膝に打球を受け,新たに右肩の炎症も発覚し故障者リスト入りとなり復調することはなかった。
 2018年はマイナー契約を結んだが,メジャーでの登板を果たせないまま退団した。9月のゲームで試合前に捕手役をイチロー選手が務め,始球式を行ったのが最後となった。
 2018年末,読売ジャイアンツと契約し,日本の球界に復帰したが,登板することなく,1週間ほど前の2020年10月19日に引退を発表した。
  ・・・・・・
 これが5年という歳月である。

DSC_9694

💛

DSC_4157DSC_4198 (2) DSC_4219 (2)DSC_4170DSC_4260 DSC_4293

●先発は岩隈久志投手であった。●
 私は通常はMLBを見るとき安価な席しか購入しないのだが,というより,近年,チケットが異常に高価になってしまったのだが,この日はひとりでなかったので,けっこういい席を手に入れていた。
 シアトル・マリナーズといえば,日本では何といってもかつて在籍したイチロー選手で有名になったのだが,このころはすでにシアトルにはいなかった。しかし,ボールパークの外壁にはイチロー選手の写真がレジェンドとしてそのときも掲げられてあった。
 シアトルという町はNFLのシアトル・シーフォークスが強く,また,ファンが多く,創設以来優勝したことがない弱小球団のシアトル・マリナーズは,不人気ということではないが熱狂的なファンがおらず,したがって,観客もシアトル・マリナーズのユニフォーム姿の人はほとんどおらず,冷めている。チームもまた,この時点では永久欠番の選手もおらず,在籍した実績ある選手を必ずしもリスペクトしているとはいえなかった。
 私は,あれだけの記録を残したイチロー選手の引退後のシアトル・マリナーズでの処遇が心配だった。結局,こののち,チームはイチロー選手の功績をうまく残すことができたのは幸いであったが,それはこの旅のあとのことである。
 こうしたことを知ったのは,この旅のあとだが,このころの私は,まだそうしたさまざまなチーム事情も知らず,MLB30球団すべてのホームグランド巡りに夢を追いかけていた。

 さて,この年のシアトル・マリナーズは,投手としては日本から来た岩隈久志投手が絶好調であり,野手としてはニューヨークからトレードされてきたカノ―選手が活躍していて,いいムードだった。
 しかも,何とこの日の先発は岩隈久志投手だった。私はなぜかとてもツイていて,この翌年にもシアトル・マリナーズのゲームを見たのだが,そのときの先発もまた岩隈久志投手だった。こんな幸運は確率25分の1である。
 このボールパークにはお寿司屋さんがある。そこで,食事は,岩隈投手にちなんだ「クマコンボ」というお寿司にしたのだが,その翌年,このお寿司屋さんのオーナーと知り合うなどということは,この時点ではまったく知らなかった。
 ゲームは結局,シアトル・マリナーズの逆転勝ちで,静かだったゲームが終盤に盛り上がった。岩隈久志投手には勝利がついたのだが,逆転後の7回を抑えたときの嬉しそうな顔は忘れられないものだった。

 前回書いたように,車を駐車した場所がボールパークから近かったので,ゲームの終了後は混み合うこともなく,すんなりとフリーウェイに入り,この日宿泊するホテルに戻ることができた。
 とてもすばらしいゲームだったので大満足だったのだが,実は実は,こののち,とんでもないことが起きた。それは,このゲームの5ゲームあとの岩隈久志投手の次のローテーションで先発した岩隈久志投手がノーヒットノーランを達成したことだ。このニュースを聞いたときは大いに悔しくなった。こんなことがあるのだろうか,と思った。これもまた,今となってはよき思い出だ。
 私はこれまでずいぶん多くのMLBのゲームを見たが,ゲームの内容を覚えているものなんてほんのひと握りだ。しかし,ゲーム開始前のことやら,ゲームが終わった後のボールパークの景色やら,そういったものの多くは,今も目に浮かんでくる。
 さあ,これで,この日の日程は終了して,次の日からは国立公園巡りである。

DSC_9749DSC_9856DSC_9873DSC_9876DSC_9875

●何事も運だということを痛感する。●
 2年連続で岩隈投手が先発するゲームを見たというのもまた幸運なことであった。
 岩隈久志投手は現在は日本のプロ野球に復帰したらしいが,私は,メジャーリーグの選手には興味があるが,日本に復帰したメジャーリーガーはまったく興味もないし,見たいとも思わないから,今のことは知らない。唯一の例外として,何を血迷ったか,一度だけ神宮球場で日本のプロ野球を見たのだが,そのときの先発が石井一久投手であった。私はヤクルトに復帰していたことすら知らなかったから,何をやっているんやらと思った。それにしても,神宮球場はひどかった。アメリカの3A以下の野球場であった。
 ところで,岩隈久志投手がシアトル・マリナーズに在籍したのは2012年から2017年までで,それほど期待もされていなかったが,63勝もあげた。私が見たのはこの年と前年,つまり,2015年と2016年の全盛期だった。

 ゲームが終了して,道路を隔てたところにある駐車場まで行った。昨年はボールパークから直接アクセスできた場所に停めたが,今回は安価なパーキングにしたので,少し歩く必要があった。どちらにせよ,シアトルは治安が悪くないから,こうして夜の町を歩いていても安心なのである。
 そういえば,数年前,はじめてシアトルに来たときにはスペースニードル(Space Needle)の近くに車を停めたので,ボールパークからは公営バスに乗らなければならず,バスが来るまでずいぶんと待ち時間があって不安になったことを懐かしく思い出す。そのときは,その後にシアトルという町に何度も来ることになろうとは夢にも思わなかった。

 車に乗って予約したホテルに向かったが,しかし,暗くて道路がよくわからず,今とは違ってカーナビ代わりに iPhone を使うことも知らなかったので,レンタカー会社で借りたカーナビに表示したホテルが同じ名前の別のホテルだったりして違うホテルに着いてしまったりと苦労した。
 やっと予約したホテルに着くと,フロントには先客がいて,チェックインにずいぶんと待たされた。彼らはセルビア人の飛び込みで,なんでもアメリカに着いたばかりで手持ちがユーロしかなく,そのためにフロントで宿泊を断られてもめていた。日本ではそうあることではないが,こういうのが世界基準で,自分の準備不足を棚に上げてやたらと権利を主張するのである。おそらく彼らは何事もこうしてムダに時間を使って生きているのであろう。彼らが引き下がらないものだからなかなか私の番が来ず,いらいらしていると,なんと彼らは私にユーロの両替えを頼んできた。かわいそうだったので助けてやろうと思ったが,どうも胡散臭かったので断った。そのころの私はユーロ紙幣すら見たことがなかった。
 海外で不安を感じるのはこういうときであり,最も注意しなければならないのもこういうときである。
 
 そんなこんなで,早くチェックインをしたかったのに,ごたごたしてずいぶんと時間をロスしたが,なんとか予約したホテルにチェックインすることができた。明日は帰国するだけなので,テレビを見て夜を過ごした。部屋に入るとすでに 深夜12時であった。
 私がアメリカに行ったときに楽しみにしてる番組が,いつも書くように  NBC の「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」である。しかし,NBC が何チャンネルかを探すのに一苦労する。そして,何時から放送されるのかを調べるのがまたひと苦労である。やっとのこと探し出したら,ちょうど放送中であった。この番組を見ていると,いつものように,アメリカに来たなあ,と思うのだった。

このページのトップヘ