しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場・47都道府県を制覇し,南天・皆既日食・オーロラ,空の3大願望を達成した「不良老人」の日記

タグ:愛知室内オーケストラ

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【Summary】
At the 95th subscription concert of the Aichi Chamber Orchestra at Tokai City Arts Theater, Mozart’s Piano Concerto No. 22 and Symphony No. 39 were performed. Pianist Yoko Kikuchi played elegantly and sensitively. However, although the performance was refreshing, it lacked excitement. I wonder how a passionate conductor might have inspired greater joy and unity.

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 今回,愛知室内オーケストラの第95回定期演奏会が行われた東海市芸術劇場大ホールは,もったいないくらいの会場です。
 この地方には,名古屋市にある1,800席の愛知県芸術劇場コンサートホールは別格として,1,025席の東海市芸術劇場大ホール,1,004席の豊田市コンサートホールがあります。東海市芸術劇場大ホールと豊田市コンサートホールはほぼ同じ規模ですが,豊田市コンサートホールはパイプオルガンがありクラシック専用ホールであるのに対して,東海市芸術劇場大ホールはパイプオルガンもなく,多目的ホールです。
 東海市芸術劇場大ホールで何よりもいいのが,名鉄電車の太田川駅から徒歩1分というアクセスのよさです。東海市芸術劇場ができた経緯は,東海太田川駅西地区第一種市街地再開発事業」の一環として,その中核施設として2015年8月に完成し,10月4日にオープンしました。
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 クラシック音楽を楽しむ土壌は,この地方にはさほど強いものではなく,率直にいって,客層が悪い。悪くいえば,田舎者です。フライングのブラボーを行う一部の常連客が出没していて,もめ事が頻繁に起きます。最後が静かに終わる曲など,いつも,聴きながらハラハラします。私ができれば名古屋を避けて,東京や京都などの演奏会に出かける理由もそこにあります。これが名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期会員にならない理由のひとつです。
 今回は,7割程度の入りでその心配は杞憂におわりましたが,このくらいだと,階段状の東海市芸術劇場大ホールでは見晴らしがいいので,最上段で聴くのがもっともよい楽しみ方なのかもしれません。

 さて,演奏会自体に話を戻して。
 コンサートのはじまる前に,広瀬大介さんのプレトークがありました。NHKFMのNHK交響楽団の演奏会中継で解説者のひとりとして出演する人です。このごろは,プレトークを行うコンサートが増えてきて,これはとてもよいことだと思います。私が定期会員である京都市交響楽団の定期演奏会でも行われています。
 曲目は,前回書いた森田泰之進の「音信」(おとづれ)につづいて,モーツァルトのピアノ協奏曲第22番,休憩をはさんで,交響曲第39番でした。
 ピアノ協奏曲でピアノを演奏したのは菊池洋子さん,私は,今回,これが目当てでした。
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 菊池洋子さんは群馬県前橋市出身で,2002年にモーツァルト国際コンクールで日本人として初優勝を果たし注目を浴びました。桐朋学園女子高等学校音楽科を卒業後,イタリアのイモラ音楽院に留学し,フランコ・スカラ氏にピアノを,ステファノ・フィウッツィ氏にフォルテピアノを学びました。
 「モーツァルトをライフワーク」と語り,モーツァルト作品への深い愛情と解釈で知られ,今回の選曲はまさに十八番。繊細で,深い情感に満ちたタッチが特徴で,のびのびとした自然なフレージングと透明感のある音色が際立っているということです。私は手元がよく見える座席だったのですが,気になったのが,右手の小指でした。左手は見えないので知りませんが。

 モーツアルトの2曲,とても爽やかな曲ですが,少し重たくて,強いていえば,楽しさに欠けました。前回聴いたときはよかったのに,どうしてなのでしょう? ということで,いつも楽しそうに指揮をするトゥガン・ソヒエフさんが愛知室内オーケストラを指揮したらどんな演奏をするのかな? と思いました。もっと色彩豊かなものになったに違いありません。
 トゥガン・ソヒエフさんは,音楽に対する情熱が全身からあふれ出ていて,ただ指揮棒を振るだけでなく,体全体で音楽を感じて,オーケストラと一体になって指揮をします。それはまるで音楽の波に乗って踊っているようです。しかも,とても表情豊かで,音楽のドラマや感情を視覚的にも伝えるので,観客は,音だけでなく視覚的にも引き込まれます。演奏者もとても楽しそうなのです。
 愛知室内オーケストラに欠けているものがあるとすれば,そういう点なのかもしれません。

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【Summary】
On February 28, 2026, I attended the 95th subscription concert of the Aichi Chamber Orchestra at Tokai City Arts Theatre. The highlight was the premiere of Yasuyuki Morita’s “Otozure.” I had expected a gentle spring mood, but felt a powerful spring after a harsh winter. Though intellectually complex, it was impressive, yet contemporary works are rarely heard again.

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 2026年2月28日,東海市芸術劇場大ホールで,愛知室内オーケストラの第95回定期演奏会を聴きました。曲目は,森田泰之進の「音信」(おとづれ),モーツァルトのピアノ協奏曲第22番と交響曲第39番,指揮は,音楽監督の山下一史さん,ピアノは菊池洋子さんでした。
 聴きどころは
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 古典の鮮やかな歓びと,新しく生まれる瑞々しい驚きとの出逢いを!
 いつまでも音楽家を深く刺激してやまない天才・モーツァルトの「三大交響曲」から,円熟を堂々たるスケールに注ぎこんだ傑作・交響曲第39番をお届けします。
 隅々まで満ちる自信と,磨かれぬいた優美と,オーケストラを底から燃やす躍動感と… 音楽監督・山下一史と共に追究してきた「古典美」も眩しく輝くことでしょう。
 さらに,ピアノ協奏曲から(かの「フィガロの結婚」と並行して書かれた)第22番も。柔らかくも豊かな色彩感といい,瞑さゆらめく主題から変奏が美しく広がる緩徐楽章といい,こころうきたつ軽やかさと(ちょっとオペラのような)中間部との対照も絶妙なフィナーレといい,モーツァルト弾きとしても絶賛されてきた菊池洋子を迎えての演奏は至福!
 さらに,時代を拓く新しい作品を併演するのもACOの大切な使命。モーツァルトと新作が出逢うからこそ鮮やかな「いま」を,ぜひ。
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というものでした。

 出かけた理由は,菊池洋子さんの演奏が聴きたかったこと,曲目が気楽でよかったこと,そして,東海市芸術劇場が名鉄電車の太田川駅からすぐのところにあって,とてもいい雰囲気だったこと,でした。
 1曲目は森田泰之進さんの新作「音信」(おとづれ)。この曲は,愛知室内オーケストラが取り組む「オーケストラ・プロジェクト」の一環で,現代作曲家の新作を紹介する試み。ということで,初演に立ち会えました。タイトルの「音信」(おとづれ)には,「音の便り」や「遠くからの知らせ」といった意味が込められていて,言葉や記憶,時間の流れを音で描くような詩的な世界観が想定されています。聴くまでは,私は,ほのかな春の便り,というものを想像したのですが,そうではなく,厳しい冬を乗り越えた力強い春,といった感じでした。ネットに森田泰之進さんの難しい解釈を見つけたのですが,私にはさっぱり。いずれにしても,そういう深き知識の上に立って綿密に作られたもの,ということだけは何となく理解できました。
 演奏会でこうした現代音楽の新作を耳にするのですが,そのほとんどは1回きりの出会いで,おそらく聴きこめばそのよさがわかるのでしょうが,そういう機会がないのをいつも残念に思います。

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【Summary】
On December 12, 2024, I attended the Aichi Chamber Orchestra's 82nd Subscription Concert at Aichi Prefectural Arts Theater. Celebrating Keitaro Harada's appointment as Principal Guest Conductor, the program featured violinist Mone Hattori performing Dvořák's Violin Concerto and his Symphony No. 9 "From the New World," delivering an engaging and memorable experience.

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 2024年12月12日,愛知県芸術劇場コンサートホールで,愛知室内オーケストラ第82回定期演奏会を聴きました。原田慶太楼首席客演指揮者兼アーティスティックパートナー就任記念コンサートと題して,曲目はヴァイオリンを服部百音が演奏するドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲と交響曲第9番「新世界より」でした。
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 愛知室内オーケストラ(ACO)は,2002年に愛知県立芸術大学出身の若手演奏家を中心に発足した東海地域でプロフェッショナルとして活動する唯一の室内オーケストラです。
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 聴きにいこうと思った理由は,指揮者が原田慶太楼さんだったことと,独奏者が服部百音さんだったことですが,私の地元に室内オーケストラがあることを知って,興味をもったこともありました。また,曲目がポピュラーで,気楽に聴くこともできそうでした。
 ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」はとても知られた曲ですが,ヴァイオリン協奏曲はあまり聴く機会がありません。
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 ドヴォルザーク(Antonín Leopold Dvořák)は1841年に生まれ,1904年に亡くなったチェコの作曲家です。1878年にヨアヒム(Joseph Joachim)の知己を得たドヴォルザークは1879年にヴァイオリン協奏曲の第1稿を書き上げ,ヨアヒムからの助言を容れて翌年に第2稿を完成させました。さらに,1882年にさらに大幅な改訂が施され,ヨアヒムの演奏で初演を行なうことになりましたが,実現せず,1883年オンドジーチェク(František Ondříček)の独奏で初演されました。
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 ドヴォルザークといえば,ヴァイオリン協奏曲の作られたのちの1895年に完成したチェロ協奏曲が有名ですが,同じころに作曲されたのが交響曲第7番で,1889年に作られたのが交響曲第8番,1893年に作れらたのが交響曲第9番「新世界より」です。
 ドヴォルザークほどのメロディメーカーはなく,どの曲もすばらしいのですが,ヴァイオリン協奏曲はそれほど有名ではありません。その理由は,難しいのにもかかわらず,聴き映も弾き映もイマイチだから? なのだそうですが,私は好きな曲です。そして,この難曲を難なく弾きこなすのが服部百音さんなのです。すてきな演奏でした。観客中には服部百音さんをはじめて聴いた人もいて,そうした人には親の七光り? という印象だったようで,意外に上手だねなどという不謹慎な感想を語っていた声が聴こえました。
 ドヴォルザークのメロディーは琴線に触れる哀愁ととともにこころが躍るリズミカルなところがいいのですが,どうもチェロ協奏曲に比べるとヴァイオリン協奏曲は琴線に触れる哀愁が足りないのです。それがチェロ協奏曲に比べるとあまり人気がない理由だと,聴いていて思いました。
 なお,アンコールはバガニーニの「ヴェニスの謝肉祭」でした。先日のNHK交響楽団の定期公演のときもそうでしたが,ソリストのアンコールはオーケストラも交えて演奏するのが流行っているのだろうか?

 交響曲第9番「新世界より」はとてもよかったです。団員さんは,チェロとコントラバス以外は立って演奏しました。また,「家路」で有名な第2楽章のイングリッシュホルンは2階席で演奏していました。リズムが途中で普通より早くなったり,聴かせどころでは十分な速度をとったりと,原田慶太楼さんの主張にあふれていて,やりたい放題,これがとてもよかったです。さすがにアメリカのオーケストラで活躍しているだけのことはあって,観客をのせるのが上手です。
 私は,このところ,東に西に,関心をもった演奏会に足しげく通っているのですが,こうしたローカルなコンサートを聴くのも悪くないものだと思いました。少し前に聴いた神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会同様,客席と一体化したとても楽しい時間でした。クラシックの演奏会だからといってお高くとまっていちゃいけねえよ。こうでなくっちゃねえ。

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