しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場・47都道府県を制覇し,南天・皆既日食・オーロラ,空の3大願望を達成した「不良老人」の日記

タグ:沖澤のどか

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【Summary】
I attended an NHK Symphony Orchestra concert in Omiya mainly to hear conductor Nodoka Okisawa while traveling. Although the program of Taiga drama music was not very appealing and the ticket was expensive, the second half—especially The Moldau—was excellent. Through many concerts, I have realized that seat, hall, and access matter most.

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 今回の大河ドラマをテーマとする演奏会,取り上げられていた大河ドラマは私があまり興味がなかったものが多かったのでもともとの音楽になじみがなく,残念でした。私が好きだった「国盗り物語」「勝海舟」「家神」などが演奏されたらずいぶん印象が異なっていたことでしょう。
 また,この演奏会の前日には,東京のNHKホールでも同じプログラムの演奏会が行われていたようですが,それにはゲストで高橋英樹さんが登場したりと,比較をすれば,ちょっと損をした感じでした。それにしても,入場料が高過ぎました。京都市交響楽団の定期演奏会の2倍ほどしました。この演奏会に限らず,近ごろのNHK交響楽団の演奏会は高すぎます。

 さて,どうして大宮のソニックシティ大ホールまで聴きにいったかというと,まず第一に,指揮者が沖澤のどかさんだった,ということです。これが最大の理由でした。もし違う指揮者なら行きませんでした。つまり,沖澤のどかさんがNHK響楽団を指揮する演奏会を聴きたい,ということでした。しかし,それならNHKホールでもよかったのですが,第二に,私は,東北旅行を企画していました。東北旅行のことはまた,別に書きますが,そのついで,というか,大宮で聴くほうが都合がよかった,ということにありました。ただし,前回も書きましたが,ソニックシティ大ホールは期待外れでした。
 そんな理由で大宮まで行ったのですが,第1部はともかく,第2部はたいへん楽しめました。特に,最後に演奏した「モルダウ」は最高でした。これを聴けただけで満足しました。これだけの盛り上がりをみせる指揮ができるのだから,やはり,沖澤のどかさんは大したものです。いっそのこと,第1部をやめて,スメタナの「わが祖国」(Má Vlast)全曲をやってもらうだけでよかったように思いました。

 まあ,今回の演奏会はそんなところでしたが,ここ数年,手当たり次第に行きたいと思った多くの演奏会を聴いてみて,私にとって,どういう演奏会なら楽しめるのかがよくわかってきました。
 まずは,座席です。とはいえ,これがもっとも難しい。いい席を取ることも難しいのですが,たとえ取れても,隣に座る人によっては不快になることがあるからです。そこで,定期会員になって,いつも近くに座る人が決まっていれば,そんな不安から解消されるわけですが,逆に,周りに不快な人が決まって座ってしまうと,絶望的にもなります。次が,会場です。これは,アクセスも含めてです。
 私は,20年来のNHK交響楽団の定期会員ですが,サントリーホールならまだしも,NHKホールは本当に情けない。アクセスも最悪です。とはいえ,通いはじめたころは,ああ,これがテレビで見るNHKホールそのものだ,というだけで感激していたこともあります。しかし,今や,ほかの多くのすばらしい会場を知ってしまうと,それと比べたとき,行く気が失せます。
 NHKホールは音もよくない。それがなぜか,会場で聴いた同じ演奏会なのに,FM放送で聴きなおすと,NHK交響楽団の演奏はすばらしいのです。ということで,私の結論は,NHK交響楽団の定期公演は,FM放送で聴くものであって,会場,特にNHKホールに足を運んで聴くものではない,ということです。日本でトップクラスといわれるオーケストラなのに,本拠地がNHKホールでは気の毒というものです。
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【Summary】
On March 6, 2026, I attended the NHK Symphony Orchestra’s “Taiga Drama & Masterpieces” concert at Sonic City Hall in Omiya, conducted by Nodoka Okisawa. The first half featured themes from historical TV dramas, while the second presented river-themed classical works. Although many enjoyed the familiar themes, I personally preferred the classical pieces.

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 2026年3月6日,大宮市のソニックシティ大ホールで,N響大河ドラマ&名曲コンサートを聴きました。指揮は沖澤のどかさん,そして,「秀吉」でピッコロ・トランペットを演奏したのがN響首席トランペット奏者の菊本和昭さん,「源義経」で用いられた薩摩琵琶が友吉鶴心さん,龍笛が稲葉明徳さん,纐纈拓也さん,岩﨑達也さん,シンセサイザーが篠田元一さん,そして,司会が田添菜穂子さんでした。
 どうして大宮まで来たかという話は次回書きます。
 ソニックシティ大ホールははじめてきました。大宮駅からすぐのところで,地の利は最高でした。ソニックという名前はソニーと関係があるのかな,と思ったのですが,調べてみると,「埼玉県(Saitama)」「大宮市(Omiya)」「日本生命(Nihon-seimei)」「産業(Industry)」,もしくは「国際(International)」「文化(Culture)」,もしくは「コンベンション(Convention)」の頭文字から「SONIC」となったそうです。
 中に入って驚きました。客席数はなんと2,505席もあって,巨大な空間でした。以前,座席数は2,336席のアクトシティ浜松大ホールに行ったことがあるのですが,よく似ていました。こんな巨大なホールは,クラシック音楽には不向きです。観客は8割程度の入りでした。

 第1部の曲目は,大河ドラマのテーマ曲から「風林火山」「豊臣兄弟!」「秀吉」「峠の群像」「元禄繚乱」「源義経」,それに,武満徹の作曲ということで,大河ドラマのテーマではないけれど「夢千代日記」,さらに「竜馬がゆく」「利家とまつ~加賀百万石物語~」「天地人」でした。
 そして,第2部の曲目は,「大河」にちなんだクラシック名曲選ということで,まずはライン川からワーグナーの楽劇「神々のたそがれ」(Götterdämmerung)より「夜明けとジークフリートのラインの旅」,次にドナウ川からイヴァノヴィチ(Iosif Ivanovici)のワルツ「ドナウ川のさざ波」(Valurile Dunării),最後に,ヴルタヴァ川(モルダウ川)からスメタナの交響詩「モルダウ」(Vltava)でした。
 司会がいて,曲目の紹介や,沖澤のどかさんをはじめとして,さまざまな人とのインタビューなどを挟みながら進行しました。それはそれで楽しかったのですが,私にとっての違和感は,以前,石田組のコンサートに行ったときに感じたものと同じでした。つまり,クラシック音楽の演奏会とは客層が違う。それとなく聞こえてきた会話は,クラシック音楽は長ったらしくて難しくてよくわからないけれど,大河ドラマのテーマ曲ならなじみがあるし短いからいい,というものでした。そういった人たちは,第1部はうかれて楽しそうでしたが,第2部はかなりつまらなそうでした。
 私には,むしろ第2部のほうがよかったのですが…。
 オーケストラもこうした演奏会をしてクラシックファンを増やす試みが必要だし,オーケストラもいろいろと駆り出されて大変だなあと思いましたが,コンサートが終わって,帰っていく観客の中に,今度はクラシック音楽のコンサートに行こうか,と話している人たちもいて,この演奏会の目的は果たせているようで,うれしくなりました。

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【Summary】
On December 27, 2025, inspired by an excellent rehearsal, I attended Beethoven’s Ninth Symphony. The fast yet clear opening movements, a serene and sacred third movement, and a powerful finale under Nodoka Okisawa’s lucid direction created an unforgettable performance—deeply moving, and the finest Ninth I have ever heard.

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 2025年12月27日。
 リハーサルがすばらしかったので,大いに期待して本番の「第9」を聴きに行きました。前日のリハーサルでは第1楽章と第2楽章しか聴くことができなかったので,果たしてどんな第3楽章と第4楽章になるのだろう,ととても楽しみでした。
 開演前,京都コンサートホールの1階にある「前田珈琲 京都コンサートホール店」で野菜たっぷりカレーという昼食をとりましたが,いつも以上に混み合っていました。このように,「第9」の演奏会では,さまざまなことが,普段のコンサートとは違った雰囲気になります。それは,「第9」に限って聴きに来る観客も多いからでしょう。芸妓さんの姿があったのも京都らしいというか。

 やがて開演。ステージ上に現れた団員さんも「晴れの日」のムードが醸し出されているようで,身に着けていた衣装も一段とゴージャスだったように感じました。
 曲がはじまりました。
 第1楽章と第2楽章は,リハーサルどおり,いい意味で今どきの「第9」で,テンポが速く,とはいえ,速すぎることもなく,しかも,メリハリがあってすばらしいものでした。もう,今は,昔の「第9」,つまり,ゆっくり目のテンポで,重々しく,威厳のあるような演奏は,私には古臭く,受けつけません。
 前半のふたつの楽章が終わり,独唱者も出そろって第3楽章がはじまりました。
 私が思っていたよりもゆったりとした,かつ,神々しいものでした。それがまた,美しかったこと。第3楽章も,第1楽章,第2楽章と同じようにしてものすごいスピードで駆け抜ける演奏もあるのですが,それでは救いがありません。この交響曲は,まさにベートーヴェンの描きたかった「苦悩を乗り越えて歓喜へ」至らなければならないのです。そして,第4楽章で歓喜に到達するには,そのまえに澄みわたるような祈りの音楽が必要なのです。
 今回のコンサートマスターは会田莉凡さんでしたが,第3楽章では,会田莉凡さんのヴァイオリンの音色が引きたって聴こえました。これは,以前聞いた「英雄の生涯」のソロに共通するすてきなものでした。

 第3楽章が終わり,そのままアタッカーのようにして第4楽章に入りました。こうでなければなりません。第3楽章の祈りのあと,奈落に落ちるような,雷を打つような,そんなはじまりが必要なのです。また,この部分のテンポがよかった。
 それにしても,この曲を指揮するのはたいへんだなあ,と思いました。オーケストラは制御できても,ソリストや合唱の人たちはそう簡単にはいかないからです。しかし,沖澤のどかさんの指揮は,聴いている私でも,何を表現したいのかが明確にわかるから,演奏している人たちは,もっとよく理解できると思いました。そうした積み重ねが最後まで持続して,すばらしい演奏になりました。このような「第9」なら,演奏していてとても楽しいだろうな,と嫉妬しました。とりわけ,各楽章の最後の終わり方がよかった。 
 今回,改めて,ベートーヴェンは,何とすごい交響曲をつくったものか,と思いました。こうしたものが存在し,今も演奏が聴けるということに感謝しました。
 私がこれまで聴いた中でも,最高の「第9」でした。
 泣けました。

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【Summary】
In 2025, I became a subscription member of the Kyoto Symphony Orchestra and eagerly anticipated Beethoven’s Ninth Symphony conducted by Nodoka Okisawa. Attending the open rehearsal, I was deeply impressed by how her expressive intentions were shaped through repeated refinement, heightening expectations for the concert.

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 2025年は,私が京都市交響楽団の定期会員になった年。そして,最大の楽しみは,「沖澤のどかさんの指揮する第9」でした。年末恒例となったベートーヴェンの交響曲第9番。京都市交響楽団の演奏会は20205年12月27日と28日ですが,その前日の公開リハーサルにも行くことができました。
 これまでにも何度もブログに書いているように,私は,「第9」の演奏会にはそれほど多く行ったことがありません。近年では,2015年のパーヴォ・ヤルヴィ指揮とその翌年2016年のブロムシュテッド指揮の,ともにNHK交響楽団のものに行ったきりです。しかし,NHKではFMで生放送があって,大みそかにはEテレでも放送されるので,毎年聴いています。というか,唯一,2024年のファビオ・ルイージ指揮のものは,聴くに堪えず,途中でやめてしまいましたが…。

 これだけ多く聴いていると,素人の私にもその演奏の違いがよくわかります。指揮者によって最も異なるのはテンポです。そして,勝負所,というか何というか,つまり,聴かせどころでの味つけ。これらは,私にはこういうものがいい,という一定の基準ができてしまっているので,そこから外れる演奏だと,それもありかな,と肯定的に思うことがあったり,こりゃ受けつけないなあ,と否定的に感じることもあります。だから,あまり知らない指揮者の「第9」演奏会は行くのが怖い。
 近年で,私がよかったと思ったのは,生演奏は聴かなかったのですが,放送で聴いたた2023年の下野竜也指揮・NHK交響楽団のもの。それと,2024年のフランチェスコ・アンジェリコ(Francesco Angelico)指揮・読売日本交響楽団のもの。ともに,ソプラノの中村恵理さんがすばらしかった。ほかにも気に入る演奏はあるのでしょうが,放送されなければ,私には知る由もありません。ちなみに,今年は中村恵理さんが急病で,いくつかのオーケストラの「第9」をキャンセルしたということです。
 はたして,今年,私が生演奏を聴く沖澤のどか指揮の我が愛する京都交響楽団の「第9」は,いかなるものか。絶対に期待をうらぎらないという確信があったので,こころときめかせながら,まずはリハーサルに行きました。

 このごろ,公開リハーサルがさまざまなところで行われているので,私もこれまで何度かさまざまなオーケストラの公開リハーサルを聴いたことがありますが,京都市交響楽団の公開リハーサルははじめてでした。また,「第9」のリハーサルももちろんはじめてでした。プロの演奏家の人たちだから,そして,とりわけ京響が上手だから,技術的にどうの,ということではなくて,リハーサルを通じて,指揮者の描くテンポや表現の仕方がオーケストラにどのように伝わっていくのか,が聴きどころなのでしょう。
 今回聴くことができたのは,第1楽章と第2楽章だけでしたが,聴かせどころで何度も繰り返し,そのポイントを押さえるのが上手というか,私がこうであってほしい,と思っているものになっていくので,とてもうれしかったです。例えていえば,2アウト2,3塁で,ここで打ってほしいと期待した左打者が期待に応えてライトにあざやかなクリーンヒットを放ったときの爽快感。リハーサルなのに感動しました。
 本番の演奏がより楽しみになりました。
  ・・
 今回の「第9」ではないのですが,私も2025年3月16日に沖澤のどか指揮・京都市交響楽団の演奏会に行ったときに聴いた「英雄の生涯」のリハーサル風景を YouTube で見ることができます。それを見るだけでも,今回の公開リハーサルのすばらしさがわかるというものです。


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【Summary】
Conductor Nodoka Okisawa led a powerful and expressive performance by the Kyoto Symphony Orchestra in Nagoya, with standout moments in Tchaikovsky’s Fifth Symphony and a captivating encore.

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 京都市交響楽団第15回名古屋公演はすばらしいものでした。
 沖澤のどかさんの指揮は,テンポもしっかりしていて,しかも,主張があり,力強さがあって,最高でした。前半は,ウェーバーの歌劇「オイリアンテ」(Euryanthe)序曲ではじまって,ブラームスのハイドンの主題による変奏曲(Variationen über ein Thema von Haydn)と続きましたが,そこまでですでに会場は熱気に包まれていました。
 後半のチャイコフスキーの交響曲第5番では,ホルンの響きもすばらしく,また,コンサートマスターの石田泰尚さんの奏でるヴァイオリンの音色がこころを奪いました。

 今回の私の席は最前列のど真ん中だったので,まさに,私ひとりのために演奏が行われているような錯覚に陥りました。目の前に石田泰尚さんが座っていて,ものすごい迫力でした。
 2025年3月16日に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで「沖澤のどか指揮 京都市交響楽団〈英雄の生涯〉」を聴いたときにこれまで何度も聴いてきた「英雄の生涯」だったのに,その魅力を再発見したのと同じく,今回のチャイコフスキーの交響曲第5番もまた,これまでに何度も聴いたことがあるのに,とても新鮮でした。これは,曲の1音1音を大切にして,何を伝えたいかが明白であることによるのでしょう。また,京都市交響楽団は,弦楽器はもちろん,管楽器の演奏がすばらしいのです。ひと昔前の日本のオーケストラは管楽器が弱く,特にホルンは音を外してしまうことも少なくなかったのですが,今は 隔世の感があります。

 平日にもかかわらず,ほぼ満員だった客席ですが,お目当てだったのは,石田泰尚さんばかりではなく,沖澤のどかさんだったようで,この組み合わせは最高でした。
 定期演奏会でないので,アンコールがありました。曲はチャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズでした。
 演奏会が終了して,団員さんがすべてステージから去っても,拍手が続きました。これは,沖澤のどかさんへのものだったようです。そして,それによひだされるように,再び,沖澤のどかさんがステージに姿を見せました。若き指揮者がこれだけの感動を呼び起こしたのです。
 幸せな時間でした。

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【Summary】
I attended the Kyoto Symphony Orchestra’s 15th Nagoya concert, conducted by Nodoka Okisawa. Featuring Ishida Yasunao as concertmaster, the dynamic and brilliant performance of three familiar works fully met my expectations.

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 先日,京都コンサートホールで京都市交響楽団第701回定期演奏会を聴いたばかりですが,その5日後の6月26日,今度は,京都市交響楽団第15回名古屋公演を愛知県芸術劇場コンサートホールで聴きました。
 指揮は今回も沖澤のどかさんでしたが,曲目はウェーバーの歌劇「オイリアンテ」(Euryanthe)序曲,ブラームスのハイドンの主題による変奏曲(Variationen über ein Thema von Haydn),チャイコフスキーの交響曲第5番と,京都市交響楽団第701回定期演奏会とはうって変わった一般的なものでした。これもまたいい。
 さらにさらに,今回の演奏会のコンサートマスターは石田泰尚さんでした。

 まずは,曲の紹介。
  ・・・・・・
●ウェーバーの歌劇「オイリアンテ」序曲
 オペラ「オイリアンテ」は,中世フランスのロマンス「ジェラール・ド・ヌヴェールと徳高く貞節なウリアン・ド・サヴォワの物語」(L'Histoire du très-noble et chevalereux prince Gérard, comte de Nevers et la très-virtueuse et très chaste princesse Euriant de Savoye, sa mye.)に基づいていますが,現在,オペラ全編はほとんど上演されません。
 劇中の旋律が巧みに組み込まれている序曲には堂々とした第1主題とアリア調の第2主題があります。展開部はフガート形式で,緊張感を高めながら進行し,再現部で旋律が優雅に戻ります。
  ・・
●ブラームスのハイドンの主題による変奏曲
 1873年に作曲された「ハイドンの主題による変奏曲」は,ハイドン作とされていた「聖アントニウスのコラール」(Chorale St. Antoni)をもとにした作品ですが,実際は,主題はハイドンによるものではない可能性が指摘されています。
 「ハイドンの主題による変奏曲」は,はじめてブラームスが作曲した管弦楽のための独立した変奏曲です。主題は明瞭で親しみやすい旋律で,第1変奏から第8変奏と終曲まであり,各変奏で異なるリズムや響きが魅力的な曲です。
  ・・
●チャイコフスキーの交響曲第5番
 1888年に作曲されたロマン派音楽のひとつです。4つの楽章で構成され,壮大さと繊細さが融合されています。
 第1楽章は,暗い運命を象徴するとされるテーマがクラリネットで提示され,全楽章を通して展開されていきます。第2楽章は,ホルンが奏でる美しいメロディーが特徴的で,哀愁と憧れが漂います。第3楽章は,優雅なワルツで,軽快で夢見心地な雰囲気が漂います。第4楽章は,冒頭「運命のテーマ」が明るい調性で堂々と登場し,希望と勝利を表現,最後は壮大で華やかなクライマックスを迎えます。
  ・・・・・・

 聴きやすい曲が並びました。共通点は,3曲ともエンディングが華やかということ。そして,ブラームスのハイドンの主題による変奏曲とチャイコフスキーの交響曲第5番は,ともに曲の冒頭が低音部からはじまる,ということでしょうか。
 これらの曲は,沖澤のどかさんの「オケがダイナミックに鳴る」という長所が大いに生かされることと,特に,チャイコフスキーの交響曲第5番では,ヴァイオリンの高音部が美しく奏でられるので,コンサートマスターの石田泰尚さんの,だれしもが「高音がすごくきれい」という,そのすばらしき音色を堪能することができる,ということなので,大いに期待して,会場に向かいました。
 実際も,期待を裏切ることのない,すばらしい演奏となりました。

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【Summary】
The concert's second half featured three fairy tale–like pieces. Though I’m not fond of French music, Nodoka Okisawa’s warm, expressive conducting made everything delightful. The hall’s atmosphere was also wonderful.

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 さて,ここからが後半です。後半に演奏されたのが3曲。どれもおとぎ話を夢見心地で聴いているような曲でした。沖澤どのかさんが指揮をすると,どんな曲もすばらしく思えます。私は,どちらかというとフランス音楽は苦手なのですが,それさえ払拭されてしまいます。
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●タイユフェールの小組曲
 タイユフェール(Germaine Tailleferre)はフランス6人組のひとりです。フランス6人組(Les Six)というのは,20世紀初頭のフランスで活躍した作曲家のグループで,ルイ・デュレ(Louis Durey),アルテュール・オネゲル(Arthur Honegger),ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud), ジェルメーヌ・タイユフェール(Germaine Tailleferre),フランシス・プーランク(Francis Poulenc),ジョルジュ・オーリック(George Auric)。タイユフェールは唯一の女性で 新古典主義の音楽を提案したことで知られ,印象主義やロマン主義から脱却しシンプルで親しみやすい音楽を目指しました。不勉強な私は,この中で,タイユフェールだけを知りませんでした。
 小組曲はとても短い曲でしたが,フランスの伝統的な音楽と近代の感覚をうまく融合させた作品と繊細で軽やかな音楽性が反映されているということで,明るく爽やかな旋律が小品ながらも色彩豊かで聴く者に親しみやすい印象でした。
  ・・
●ラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」(Ma Mère l'Oye)
 モーリス・ラヴェルの「マ・メール・ロワ」は,ラベルが友人の子供たちのために作曲した愛らしくも美しいピアノ連弾曲として誕生しました。
 タイトルはフランス語で「おとぎ話のお母さん」を意味し,シャルル・ペローなどの童話を基にした5つの短い楽曲で構成されています。それぞれの曲は物語の情景や登場人物を音楽で描いています。
「眠れる森の美女のパヴァーヌ」(Pavane de la Belle au bois dormant)は,ゆっくりとした優雅なリズムではじまり,静かな宮廷の情景を描きます。
「親指小僧」(Petit Poucet)は,小さな主人公が森で迷う不安と冒険心を表現しています。
「パゴダの女王レドロネット」(Laideronnette, impératrice des pagodes)は,東洋風の旋律が特徴的で,中国の宮殿を舞台にした場面を再現します。
「美女と野獣の対話」(Les entretiens de la belle et de la bête)は,クラリネットとコントラファゴットがそれぞれ美女と野獣を象徴している楽しい対比のある曲です。
「妖精の園」(Le jardin féerique)は,夢のように美しいフィナーレで最後に大団円を迎えます。
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●デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」
 ポール・デュカス(Paul Abraham Dukas )の交響詩「魔法使いの弟子」(L'apprenti sorcier)は,1897年に作曲された作品で,ドイツの文豪ゲーテの同名の詩に着想を得ています。
 物語の主人公は若い魔法使いの弟子。師匠が出かけたあと,水を汲む仕事に飽きた弟子が魔法を使って箒に仕事をさせます。しかし,魔法の解除方法を知らなかったため,箒は止まることなく水を運び続け,家中を水浸しにしてしまいます。最後に師匠が戻り魔法を解き,弟子を叱りつけて物語が締めくくられます。
 テーマにはファゴットが主導するコミカルな旋律が含まれ,箒が動き出す場面を鮮やかに描写します。1940年のディズニー映画「ファンタジア」では,ミッキーマウスが弟子役を演じました。
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 子供に昔話を聞かせているような,そんな感じがしました。 
 それにしても,沖澤のどかさんの指揮をする演奏会は,いつもこころが温かくなるのでしょうか。会場の雰囲気も最高でした。

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【Summary】
At Kyoto Symphony Orchestra's 701st Subscription Concert on June 25, 2025, Nodoka Okisawa conducted a bold French-themed program featuring Arabella Steinbacher performing Lentz’s intense violin concerto. Though impressive, the 40-minute piece felt long and hypnotic, yet ended with strong applause and a Kreisler encore.

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 2025年6月20日,京都市交響楽団第701回定期演奏会を聴きました。
 私は,現在,沖澤のどかさんの推し活中で -とはいっても演奏会に出かけるだけですが- 常任指揮者である京都市交響楽団の定期会員になった理由もそこにあるのですが,今回,定期会員になってはじめて,やっと沖澤のどかさんの指揮する定期演奏会がやってきたので,わくわくと出かけました。
 曲目は,アラベラ・美歩・シュタインバッハ(Arabella Steinbacher)さんのヴァイオリンでG・レンツ(Georges Lentz)のヴァイオリン協奏曲「...to beam in distant heavens...」,そして,タイユフェール(Tailleferre)の小組曲,ラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」(Ma Mère l'Oye),デュカス(Dukas)の交響詩「魔法使いの弟子」(L’Apprenti sorcier)ということで,沖澤のどかさんお得意のフランス音楽ですが,なかなか攻めたプログラムでした。
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 アラベラ・美歩・シュタインバッハさんは,ドイツ人の父親と日本人の母親との間に生まれ,3歳でヴァイオリンをはじめ,2000年にハノーファーで開催されたヨーゼフ・ヨアヒム・ヴァイオリン・コンクールで入賞した世界的に活躍するヴァイオリニストです。
 細やかな音楽表現と卓越した技術で知られています。
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 演奏会の前に行われたプレトークで,沖澤のどかさんは,アラベラ・美歩・シュタインバッハさんを「完璧」,でも冷たくない,と言っていました。

 まずは,G・レンツのヴァイオリン協奏曲です。
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●G・レンツのヴァイオリン協奏曲「...to beam in distant heavens...」
 ウィリアム・ブレイクの「エルサレム」の壮大なポエムの中の「...to beam in distant heavens...」(...遠い天を照らす...)からインスピレーションを得て作曲したというG.レンツのヴァイオリン協奏曲は, エレキギター・サウンドも投入され,エキセントリックで物々しい過激さを併せもったアヴァンギャルドに相応しい音楽に仕上がっている,というもので,独奏ヴァイオリンが「暴力」と「天使のような愛」という相反するものの間に揺れ動く感情を表している衝撃的かつ立体的な協奏曲です。
 アラベラ・美歩・シュタインバッハさんは,この曲の依頼者であり初演者,ということです。
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 曲の出だし,すごい打楽器の音からはじまり,アラベラ・美歩・シュタインバッハさんが楽屋で演奏する,というもので,すでに,不思議な雰囲気でした。
 思ったよりもわかりやすい「現代音楽」だったのですが,この曲は40分にも及ぶ大曲で,単調なメロディが続き,私は眠たくなりました。
 プログラムに書かれたアラベラ・美歩・シュタインバッハさんの感想に
  ・・・・・・
 この曲は,無限の空間に漂いながら地球を見下ろしているような,そしてその自分はさらに大きなものの一部を成しているような,そんな気持ちにさせてくれます。そんな視点からすれば,私たち人類が憎しみや暴力にこころ奪われ,お互いや環境に対してこころない行いをしていることがとても愚かなことに思えます。
  ・・・・・・
とあります。
 劇的な効果を伴った曲のおわり。そして,そのあとのカーテンコールがいつまでも続き,演奏されたアンコールは,クライスラーのレチタティーヴォとスケルツォ「カプリース」作品6でした。

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【Summary】
At a concert conducted by Nodoka Okisawa, Dai Fujikura's Double Concerto for violin and flute received its Japan premiere. The interplay between the violin (Mayumi Kanagawa) and flute was impressive, requiring strong coordination. The performance was captivating, with solos by concertmaster Rinon Aida also standing out.

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 今回の演奏会の曲目のうち,藤倉大作曲「ダブル協奏曲-ヴァイオリンとフルートのための」の日本初演は,いわゆる現代音楽なので,どうなることか,と思いました。
 藤倉大(ふじくらだい)さんは1977年生まれの現代音楽の作曲家です。15歳で単身イギリスに渡りハダースフィールド国際現代音楽祭で作品が初演されました。今回の「ダブル協奏曲-ヴァイオリンとフルートのための」について,藤田大さんがこのように書いています。
  ・・・・・・
 この作品の作曲のきっかけはパトリツィア・コパチンスカヤからの依頼だった。
 「もしもし。あなたのコンサートのアンコールで僕の作品を弾いてくださったと聞きました」
 「私にダブル協奏曲を書いて! もうひとりのソリストはクレア・チェイスね!じゃあね!」
 突然,ヴァイオリニストのパトリシア・コパチンスカヤさんから僕の携帯にかかってきた電話。 僕はすぐにクレアにメッセージを送ってみた。彼女もこのダブル協奏曲の話には驚いた様子だったが,それ以上にとても喜んでいた。
  ・・
 この作品のイメージは,ヴァイオリンとフルートのソロが時折一体となり,まるで空を自由に飛び回る鳥のような存在だ。二羽は時に輪を描くように,また,時にはスパイラルを作りながら飛び回る。オーケストラは,そんな二羽の飛び回る残像を描くように,この二羽を先頭に自由に舞う鳥の群れ,いわゆる 「Swarming」 を表現しているようだ。
 二人のソリストは常に繋がっており,オーケストラと二人も繋がっている。もしかすると,皆で1羽の大きな鳥なのかもしれない。
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 今回の演奏会は,ヴァイオリンが,パトリツィア・コパチンスカヤに代わって金川真弓さんです。金川真弓さんもまた,私は,今回はじめて聴きました。今回の曲は,ヴァイオリンとフルートの丁々発止の掛け合いの妙がおもしろく,よほど息が合わないとむずかしいものだろうなあ,と感心しました。
 このところ,諏訪内晶子さん。神尾真由子さんと,女性ヴァイオリニストの演奏を聴いているのですが,それぞれ個性があって,とても楽しいです。

 というように,沖澤のどかさんの指揮する演奏会を聴きたくて足を運んだのですが,それ以外に,さまざまな新しいときめきを味わうことができました。
 いうまでもなく,沖澤のどかさんの指揮は期待通りすばらしく,よく音が鳴るし,メリハリがあるし,また,2曲目の「英雄の生涯」でヴァイオリンのソロを弾いたコンサートマスターの会田莉凡さんもすばらしく,楽しい時間をすごすことができて,とても幸せでした。


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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

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【Summary】
In March 2025, I attended a concert conducted by Nodoka Okisawa with the Kyoto Symphony Orchestra in Hyogo. The program featured Dai Fujikura's Double Concerto (Japan premiere) and R. Strauss's Ein Heldenleben. Having been impressed by her NHK Symphony Orchestra performance on FM radio in 2024, I eagerly anticipated experiencing her live for the first time.

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 2025年3月16日,兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで「沖澤のどか指揮 京都市交響楽団〈英雄の生涯〉」と題した演奏会を聴きました。その前日,京都市交響楽団第698回定期演奏会として京都コンサートホール・大ホールで行ったものと同じ曲目の演奏会でした。京都市交響楽団常任指揮者・沖澤のどかさんの指揮で,曲目は,ヴァイオリン・金川真弓さんとフルート・クレア・チェイスさんの演奏する藤倉大作曲「ダブル協奏曲-ヴァイオリンとフルートのための」の日本初演とR・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」でした。
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 -指揮者・沖澤のどか,芸術文化センター初登場! 京都市交響楽団とその名を轟かす-
 2019年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。2020年から2年間,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で芸術監督キリル・ペトレンコの助手を務める。2024年には,生前の小澤征爾の指名によりセイジ・オザワ松本フェスティバルの首席客演指揮者に就任。
 今,世界の楽壇が熱視線をおくる指揮者・沖澤のどかが,常任指揮者を務める京都市交響楽団とやってくる!
 本公演における沖澤と京響の意気込みを感じずにはいられない。夢をふくらませて3月を待とう。
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 ということで,夢をふくらませて3月を待ちました。

 私は,これまで,沖澤のどかさんの指揮する演奏会を会場で聴いたことがありませんでした。2024年6月14日と6月15日に行われたNHK交響楽団第2014回定期公演Cプログラムで指揮をしたのをFM放送で聴いて,こりゃすごい,と関心をもったのがはじめです。沖澤のどかさんのすごさは,ベートーヴェンやブラームスなどのドイツ音楽はもちろんのこと,私が苦手とするフランス音楽だろうと,R・シュトラウスだろうと,そのどれも,聴いていてのめりこんでしまうところにあります。
 昨年は,2024セイジ・オザワ松本フェスティバルでブラームスの交響曲第1番と第2番を指揮して,話題となりました。
 ということで,今回,はじめて,生演奏を聴くことができるのをとても楽しみにしていました。

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