しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:海王星

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 異常な暑さの続く日々。わざわざ早起きしなくても午前3時に起きるようになったので,これを幸いに,涼しい時間に早朝散歩となりました。しかし,空を見上げれば,水星,金星,火星,木星,土星,さらには天王星,海王星まで並んでいるので,散歩どころでなく,魚眼レンズをつけたカメラを三脚に取り付けて持参するようになってしまいました。ところが,晴れていても,空には雲があったり,東の空低く雲が覆われていたりと,なかなか満足のいく写真が写せません。
 今日の2番目の写真は6月28日のものですが,水星がかろうじて雲の間から顔を覗かせて,それを狙って写ればそれで感動するような有様でした。
 さて,そんなこんなで1週間。すでに月は新月を越えてしまったので,この惑星揃い踏みに月が参加しなくなったのが残念なのですが,それでも,6月30日は,ついに雲がほとんどなく,星が輝いていました。こうなると,水星が地平線から顔を出したときからが勝負です。問題なのは,時間が経つにしたがって空が明るくなってきて,天王星と海王星が写らなくなることと,水星を写そうとすれば東の白んだ空に消えてしまわないように,露出を抑える必要があるということで,困難を極めるのです。
 そんな状況だったのですが,何度もシャッタースピードを変えながら,なんとか惑星すべてが写ったのが今日の1番目の写真です。水星は,写真でこそ写しにくいものですが,双眼鏡では思った以上にはっきり見えるので,一度場所がわかってしまえば,肉眼でも探し出せました。
 こうして,やっと,満足な写真が写せました。

 しかし,それよりも…。
 田んぼの用水路に何か生き物がいるのです。大きな音を立てて泳いでいます。これは毎朝のことだったのですが,はじめは魚だろうと思っていたので,気にも留めていませんでした。ところが,6月30日,ついに目撃してしまったのです。それは巨大なネズミでした。
 家に戻って調べてみると,ヌートリアでした。
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 ヌートリアは,南アメリカが原産のネズミ目ヌートリア科ヌートリア属の動物。頭胴長40センチメートルから 60センチメートル。
 ヌートリアの毛皮は,水に濡れても保温できる毛皮として,質が高いとされ,毛皮を目的に導入されたものが,養殖場から逃げ出したり放逐されたりした個体が,野生に定着。日本でも,1940年代後半から1950年代に毛皮の需要が減少したことで大量に放逐され,野生化。
 今後日本で広がった場合,生態系への影響が懸念される動物。
  ・・・・・・
とありました。
 さらに,新幹線の線路は,この日もまた,架線工事の車両が走っていました。
 このように,人々が活動を開始する以前の世界は,思った以上にさまざまな出来事が繰り広げられているのです。

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☆☆☆☆☆☆
 6月14日の朝日新聞「語る・人生の贈りもの」というコラムに,囲碁棋士の小林光一さんが「3時に起床して囲碁の研究をしている」とありました。
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 3時に起きてます。昔から早寝早起きだったけど,さらに起きるのが早くなってね。
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 だそうですが,私も同じようなもの。歳をとると寝るのも体力がいるのです。そこで,早起きになった私は,早朝に星を見るのはまったく苦ではないのです。しかし,特に6月は夜明けが早く,午前4時にはもう明るくなるので,星を見るために早起きするとなると,午前4時ではすでに遅いので,若い人には困難な話です。

 そんな季節ですが,現在,明け方の空には,水星,金星,火星,木星,土星,天王星,海王星まで揃っています。これを「惑星直列」とかいうそうです。さらに,ここ数日は月までも参加です。
 しかし,あいにくの梅雨空なので,一向に晴れません。
 6月19日は午前3時30分に起床しました。今日も曇りだろう,とは思ったのですが,せっかく起きたのだからと窓を開けると,意外にも月や金星が明るく輝いていました。そこで,カメラを三脚に固定して,魚眼レンズを取りつけて,サンダル履きで近くの田んぼのあぜ道まで出かけました。寒くないので楽です。そして午前3時46分に写したのが,今日の1番目の写真です。
 こういった現象は,写真で見るより,実際に空を眺めたほうがずっと感動するものです。

 ところで,もう,6年以上も前のことになりますが,当時もまた「惑星直列」が話題となりました。そのときのバカげたニュースは次のものでした。
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【緊急警告】
 1月20日,5つの惑星が一直線に並ぶ「惑星直列」(The Parade of Planets)が起きる!  地球が無重力になり,自然災害も多発か!?
  ・・
 しかし実際のところ,地球が無重力状態となる現象は起きませんでした。
 ちなみに,過去に水星から海王星までの太陽系の全惑星が絡む「惑星直列」が起きた年の出来事を調べてみると,989年の新潟焼山の大噴火,1666年のロンドン大火,1982年の北海道浦河沖地震やフォークランド紛争など,世界を震撼させるような事件や災害が起きていることは確かです。
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 ということだったのですが,であるなら,このところの新型コロナウィルスの世界的な蔓延も,ロシアによるウクライナ侵攻も,異常な円安も,半導体の不足も,ジェネリック薬品の品薄も,みな「惑星直列」が原因なのでしょうか?

 ところで,この,2016年に起きた「惑星直列」は1月末から2月はじめのことだったのですが,このときに写した写真も載せておきます。3番目が2016年1月31日で5番目が2016年2月8日,ともに朝6時ごろです。このときは冬だったので,空が明るくなるのは遅く,さほど早起きしなくてもよかったのですが,最も寒いときでした。当時はすごい現象を写したと思っていたのですが,このときの「惑星直列」は現在とは違って,天王星と海王星は参加していなかったことを,改めて今回調べて知りました。
 ならば,今回のほうがずっとすごいです。でも,晴れないので,「惑星直列」は話題にもなりません。いや,それとも,世の中に星を見ているような余裕がないからでしょうか?

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 すでに冬は過ぎ,6月の夏至をめざして,夜がどんどん短くなっています。
 この季節,明け方の東の空に,土星,火星,海王星,木星,金星と5つの惑星が並んでいて見事です。この中でもひときわ明るい木星と金星の距離が日に日に近づいたり,また,離れていったりと,毎日見ても見飽きるものではありません。
 なのに,これらが見られるのは,早朝4時過ぎであり,5時ではすでに空が明るくなってしまうのです。
 また,夕方の西の空には,この5つの惑星から取り残された孤高の水星が,4月29日に東方最大離角となり,これもまた,最大高度でみることができます。そして,そこに,月が仲間入りしたりと,まことに美しいのです。
  ・・
 幸い,私の住むところからは,西の空も東の空も,ずいぶんと低いところまで見ることができるので,その点は,ビルや家々に隠れてこんなにすばらしい夜空を見ることができない都会に住む人が気の毒なくらいです。
 ということで,私は勝手に忙しくしていて,早朝からカメラと三脚を持参して田んぼのあぜ道で写真を写して楽しんでいます。

 ところが,きわめて残念だったのは,木星と金星が0.2度という月の大きさの4分の1もの大接近をした5月1日の早朝,そして,月齢1.6の月が水星の真下にあるという5月2日の夕方,ともに曇ってしまって,まったく見ることができなかったということでした。
 ただし,5月2日の夕方は,かろうして月齢1.6の月だけ,一瞬みることができました。
 すでに,5月1日のブログに4月30日の明け方の5つの惑星を写した写真と,5月4日のブログに5月3日の夕方の月と水星を写した写真を載せたので,今日は,その前後に写したものを載せておくことにしました。
 1番目の写真は5月2日の明け方に写したもの,これは薄曇りがあります。また,2番目の写真はすでにブログに載せた5月3日の別の写真,そして,3番目の写真はそのときの月齢2.6の月を拡大したものです。また,4番目の写真は,5月2日の夕方にかろうして見えた月齢1.6の月をなんと手持ちで写したものです。
 また,1月後の5月の終わりから6月のはじめにかけて惑星や月が同じような条件になるので,それを楽しみに待つことにします。

 ところで,ただひとつ残された惑星である天王星は今どこにいるのでしょうか?
 実は,天王星は,ちょうど太陽のうしろにあって,しばらくはまったく見ることができなのです。
 今はそんな天王星なのですが,今年は,2022年11月8日に皆既月食があって,皆既月食中に天王星食が見られる,という珍しい現象があります。つまり,皆既中の月が天王星を隠すのです。これを楽しみにしたいと思います。

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金星_海王星 _20170112海王星海王星発見の位置海王星発見望遠鏡

 今日は海王星です。
 海王星は7.7等星より明るくなることはなく,肉眼では見えません。写真で簡単に写せますが,写っていても恒星に埋もれてしまって見わけがつきません。そこで,見わけがつくように,先日,私が,金星が接近したときを狙って写したのが,今日の1番目の写真です。
 天王星に比べて,海王星の発見には多くの物語がありました。
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●海王星の発見
 太陽系第8惑星である海王星(Neptune)は,1846年9月23日,フランス人のユルバン・ルヴェリエ(Urbain Jean Joseph Le Verrier)が予測した位置の近くに,ドイツ人のヨハン・ゴットフリート・ガレ(Johann Gottfried Galle)とハインリヒ・ルイス・ダレスト(Heinrich Louis d'Arrest)によって,望遠鏡を用いて発見したということになっています。
 ユルバン・ルヴェリエは,発見後すぐに「Neptune」という名称を提案,天文学者フリードリッヒ・フォン・シュトルーベ(Friedrich Georg Wilhelm von Struve)が支持することを表明し,国際的に受け入れられるようになりました。
 ローマ神話では、名称の元となったネプトゥーヌス(Neptūnus)はギリシア神話のポセイドーン(Poseidōn)と同一視される海の神です。中国語ではこの名称を「海王星」と訳し,日本でも用いられました。
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 海王星が望遠鏡を用いて観測されたもっとも初期の記録は,1612年12月28日と1613年1月27日にガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)が,木星の観察中に偶然スケッチで描いたものです。しかし,ガリレオ・ガリレオは木星の近くにある恒星と誤って認識していました。
 1781年,アンダース・レクセル(Anders Johan Lexell)は,発見されたばかりの天王星の軌道を計算した結果,その不規則性に気づき,天王星の軌道に摂動を与える別の惑星があることを示唆しました。また,1821年,アレクシス・ブヴァール(Alexis Bouvard)はニュートンの万有引力の法則に基づいた天王星の軌道予想表を出版しましたが,実際に観測をするとこの表からかなりの逸脱があることが明らかとなり,摂動を与える天体を仮定するに至りました。
 イギリスのジョン・クーチ・アダムズ(John Couch Adams)も,天王星の軌道の不規則性から,天王星の観測データと万有引力の法則を用いれば,別の惑星の軌道を推定することができると信じていました。1844年2月13日,これを聞いたケンブリッジ天文台長のジェームズ・チャリス(James Challis)は,ジョン・クーチ・アダムズのために王室天文官のジョージ・ビドル・エアリー(Sir George Biddell Airy)に,天王星の位置のデータを要求しました。このデータをもとに,ジョン・クーチ・アダムズは1845年9月18日に計算を完了しました。一方,フランスのユルバン・ルヴェリエもまた,1845年11月10日,天王星はそれまでの理論ではその運動を説明できないことを示し,仮想の摂動天体についての位置を示しました。
  ・・
 イギリスでは,王室天文官のジョージ・ビドル・エアリーは,ジョン・クーチ・アダムズとユルバン・ルヴェリエの結果の類似性に気づき,秘密裏に惑星の探索を試みようと,1846年7月,ケンブリッジ天文台長のジェームズ・チャリスに,至急惑星を観測するように提案し,7月29日に捜索がはじまりました。ジョン・クーチ・アダムズは研究を続け,間違った空域を探していたケンブリッジ天文台長のジェームズ・チャリス率いるイギリスのチームに新たな解を提供しました。
 一方,フランスでは,ユルバン・ルヴェリエは,8月31日,位置のほかに質量と軌道の情報を得ましたが,フランスの天文学者は関心をもたなかったので,データをベルリン天文台のヨハン・ゴットフリート・ガレに郵送しました。ヨハン・ゴットフリート・ガレは,1846年9月23日に手紙を受け取りすぐに観測を開始し,指導する学生のハインリヒ・ルイス・ダレストとともに,探しはじめてからわずか1時間以内の午前0時直後に,予測された位置からわずか1度以内の場所に新惑星を発見し,新惑星の発見を公表しました。
 その後,ケンブリッジ天文台長のジェームズ・チャリス率いるイギリスのチームが,新惑星の発見が公表された1か月前の8月8日と8月12日に,すでに新惑星を観測していたことが明らかとなりましたが,最新の星表を持っていなかったために,それが惑星だと気づかなかったのです。
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 海王星の発見に用いられたのはベルリン天文台の口径9.6インチ(約25センチメートル)屈折望遠鏡でした。この望遠鏡は現在,ミュンヘンのドイツ博物館(Deutsches Museum)に移設され展示されています。

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 コロナウィルス騒動が続いていますが,気がつけば3月,もう春です。そしてまた,3月も満月が過ぎて,星見の時期になってきました。
 私は人混みがきらいだし,スポーツジムもライブハウスも無縁で,誰も人がいない空の広い,そして暗い場所で星空を眺めるのがもっとも落ち着きます。しかし,こんなものが流行してしまうと海外旅行をする気にならないのだけが誤算です。
 現在,夕方の西の空に「宵の明星」とよばれる金星が高く輝やいています。実はその近くに天王星がいるのですが肉眼ではまず見えません。そこで,3月12日の夕刻は天気がよかったので,金星と天王星を同じ画面に収めようと,画角を調べてみると180ミリ望遠レンズなら一緒に撮ることができることがわかったので,そのレンズを持って,日没を待って写しにいきました。

 子供の頃,惑星の名前を「水・金・地・火・木・土。天・海・冥」と覚えました。今は冥王星は惑星の座から降りた(降ろされた)ので「水・金・地・火・木・土。天・海」です。
 これを英語では,
 My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.
というように,惑星のスペリングの先頭の文字で覚えるのだそうです。ちなみに,
 水星=Mercury
 金星=Venus
 地球=Earth
 火星=Mars
 木星=Jupiter
 土星=Saturn
 天王星=Uranus
 海王星=Neptune
 冥王星=Pluto
です。しかし,冥王星を抜いてしまうと文書にならないので,新たな覚え方というのが発案されたそうです。
 それは,たとえば
 My Very Educated Mother Just Served Us Nachos.
 My Very Educated Mother Just Served Us Noodles.
の類ですが,最後の「Nine Pizzas」を別のモノに変えただけです。
 
 さて,水星から土星までは明るく,簡単に肉眼で見ることができるのですが,天王星と海王星は暗いので,簡単には探せません。とはいえ,天王星は意外と明るく,理屈では肉眼で見られないこともないのですが,海王星となるとお手上げです。たとえ,天王星や海王星を位置を調べて望遠鏡の視野に入れても,小さな望遠鏡では単に恒星のようにしか見えないので,それが天王星や海王星なのかはなかなか区別がつきません。そこで,金星が近くにあると,星の並びから容易に探しだせるというわけです。
 ということで,今日の1番目の写真は,この晩に写したものです。
 ちなみに,2017年1月12日に金星は海王星と接近しました。そのときに金星と海王星を同じ視野に入れて写したものが,今日の2番目の写真です。
  ・・
 この晩はこれで目的を果たしたので早々に帰ろうと思ったのですが,せっかくなので,機材を入れ替えて,いつもの望遠鏡でパンスターズ彗星(C/2017T2 PanSTARRS)も写してみました。それが3番目の写真です。この彗星は7月ごろまではまだ今よりも少し明るくなる予報なので,まだまだ写すことができます。
 また,この晩は写しませんでしたが,アトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS)が5月ごろに,ずいぶんと明るくなるという予報が出ています。ひょっとしたら大化けするかもしれません!
 それに加えて,3月18日から19日にかけて,明け方の東の空に,火星と木星と土星,それに加えて月が大接近するので,今から楽しみです。午前3時30分ごろ,東の空が開けたところなら,3つの惑星と月が同じころに昇ってくる姿が見られます。晴れるといいなあ。

◇◇◇
私は,星を見ていると,もののスケールや時間のスケールがいつも気になりますが,多くの人はそういうことをほとんど考えません。たとえば,今流行しているコロナウィルスですが,愛知県で感染者が100人といっても,愛知県の人口は750万人あまりだから,感染者は7万人に1人。日本中では感染者が1,500人弱で日本の総人口は1億3,000万人弱なので,10万人に1人ほどです。これは,「年末ジャンボプチ」の1等1,000万円に当選するのと同じくらいの確率です。ちなみに,コロナウィルスほど騒がれませんが,2018年9月第1週から2019年2月第2週までのインフルエンザの累積予想患者数は10,448,891人(約1千万人)でした。
また,マスクを買うのに行列を作っていますが,私はこのご時世,人混みで行列を作っていることのほうがずっと危険だと思うのです。実際,マスクの目の大きさは約5μm,それに比べて,コロナウイルスの大きさは0.05μmから0.2μmで約50分の1ほどなので,マスクの目をすり抜けます。しかし,ほとんどの人は,こうしたことをまったく知りません。マスク洗って何度も使っているいる人,マスクを汚いポケットにしまったり,テーブルに置きっぱなしにして食事をしている人さえいます。屋外や車の中のように,マスクが必要でない場所で貴重なマスクを無駄遣いしている人もいます。さらに,マスクを顎に下げて,コロナウイルスよりよほど有害なタバコを吸っている人もいます。マスクを市販の布で自作している人もいますが,マスクはマフラーとは違います。目の粗い布で作っても,それは,形がマスクであるだけで,マスクの機能をみたさなけば意味がありません。それはたとえば,「倍率100倍の双眼鏡!」のような,双眼鏡の形をしているだけのマガイモノのようなものと同類です。
スギ花粉はマスクの目よりもずいぶん大きくて20μmなのでマスクで侵入を防げるのですが,正しくマスクを使わない人がマスクを買い占めることで,気の毒にも花粉症でマスクが本当に必要な人や,医療従事者のようにマスクの必要な人の手にゆきわたらないということにもなっています。
ちなみに,政治家など言わずもがな,「情報の信ぴょう性」を指導しなけらばならない教育者や「正しい情報の伝達」を最も重視しなけらばならない報道関係者でも,こんなことすら知らない人がいます。また,そうした人に限って,正しい使い方を知らず教えず単にマスクの着用をよびかけたりしているのは,「偏差値」の正しい意味も知らずに進路指導をする教師同様,きわめて嘆かわしい話です。
無題

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☆☆☆☆☆☆
 5月18日にジョンソン彗星(2015V2 Johnson),タットル・ジャコビニ・クレサック彗星(41P Tuttle-Giacobini-Kresak)を写してから早くも2週間が過ぎました。
 新月を過ぎて月明かりの影響がなくなったら明け方の東の空低く見えているパンスターズ彗星(2015ER61 PanSTARRS)を写そうと思っていたのですが,なかなか天気のよい晩がなく行くことができないまま月齢が8を越えました。しかも,もうすぐ梅雨入りということで,ラストチャンスの6月3日,どうにか天気もよさそうだったので出かけることにしました。

 夏至に近いこの時期は日の出が4時30分と早く,3時過ぎには夜が明けてしまうのです。このように夜が異常に短く,冬のように一度仮眠をしてから出かけるというわけにもいかないので,夜明け前の星空をみるのは結構大変なのです。
 この日,私は,まだ月が沈んでいない午前12時過ぎに観測場所に着きました。快晴の南の空にはさそり座といて座,そして,天の川が美しく輝いていました。考えてみれば,私はこれほど高くいて座の昇っている星空を見たことがほとんどありません。

 この日の目標はパンスターズ彗星とともに「トラピスト1」のあるみずがめ座の写真を写すことでした。もちろん「トラピスト1」は暗くて写すことはできませんが,幸い,近くに海王星があるので,青く光る海王星も写すことにしました。
 まだみずがめ座が昇ってくるには時間があったので,それまで,いて座あたりの星野写真(1番目の写真)と明るい散光星雲M8(2番目の写真)を写すことにしました。
 それにしても,いて座あたりの天の川はなんと美しいことでしょう。そして,銀河にうずもれることなくひときわ明るく輝く散光星雲や散開星団,球状星団はまさに宝石箱です。 
 南半球では南十字星のあたりの星空が際立って美しいのですが,北半球では,このいて座のあたりの星空の美しさに勝るものはありません。

 やがて,みずがめ座が空高く昇ってきました。みずがめ座のψ星付近にある「トラピスト1」あたりの写真(3番目の写真の+の位置)と海王星(4番目の写真)を写しました。海王星はきれいな青色をしています。
 そして,いよいよパンスターズ彗星です。パンスターズ彗星は東の空低くうお座にあります。すぐに空が白んでくるので時間との勝負ですが,あたりに目印になる明るい星もなく,うお座の暗い星からたどっていく必要があるのですが,地平線に近く星もよく見えないので,どうしても見つかりません。どうやら,私は,やっとファインダーにとらえたうお座のδ星をε星と間違えていたようでした。そのことに気づいて,やっと彗星像(5番目の写真)をとらえることができたのは,もう午前3時近くでした。この彗星とは2か月ぶりの再会,すでに8等星まで暗くなったとはいえ,尾もしっかりとした美しい彗星像でした。
 午前3時を過ぎると,次第に空が明るくなってきて,東の空には西方最大離角をむかえてひときわ明るく輝く金星がその姿を現しました。こうして短い初夏の夜が終わりました。

◇◇◇
初夏の星空は宝石箱①-今年の前半は彗星がいっぱい
初夏の星空は宝石箱②-ケンタウルス座の魅力的な星雲星団
「トラピスト1」惑星系-太陽系外に生命のいる可能性とは?

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