突然ですが…。
2035年9月2日,何とこの日は日曜日なのですが,日本で皆既日食が見られます。
日本国内で見られる皆既日食は,2009年7月22日以来26年ぶりであり,また,日本列島で見られるものとしては,1963年7月21日に北海道で見られて以来72年ぶり,さらに,本州では1887年8月19日以来148年ぶりとなります。
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この皆既日食の皆既帯の幅は約100キロメートルですが,皆既継続時間は約3分と短いものです。皆既帯が日本を通る場所は,能登半島から長野,前橋,宇都宮,水戸といった都市です。また,皆既となるのは午前10時ごろで,夏なので太陽高度は53度もあります。また,皆既中は黒い太陽の左には明るい金星も肉眼で見えます。
子供のころ,図鑑などでさまざまな天体現象を知ったのですが,皆既日食やら流星雨やら,日本ではそのほどんどが見られないんだなあと落胆したものです。それも当たり前の話で,それは面積が狭い国だからです。
その後,私は日本にこだわる気持ちもなくなり,世界中,天体現象を求めて飛び回りました。
皆既日食もまた,1999年のハンガリー,2017年のアメリカと,2度も見ることができました。皆既日食は,なにせ,その日の天気が悪いとそれでおわりです。そこで,皆既日食が見られるかどうかはすべて運次第ということになりますが,これもまた,自分でも怖いくらいの強運の持ち主の私は,いずれも晴れました。特に,2017年は雲ひとつない快晴でした。
ところで,2009年に日本で見られたといっても,それは沖縄のことでした。多くの人が海外に出かけるより高価なツアーに参加して見にいきました。私とは違って,本人曰く「まったく運のない」という友人もそのひとりでした。私は,どうせ雨だろうと思ったので,この皆既日食には関心がなく静観を決めこんでいましたが,その予想は当たってしまいました。
今日の話題は「見てみたいけれど」なのですが,実は,私は2035年の日本列島横断皆既日食を見てみたいわけではないのです。皆既時間も短いし、また,いつものとおり,この国で何がしかのイベントが起きると,日ごろはそんな趣味のない人までが殺到して,ごった返し,また,何事も金,金,金,… とばかりに,それに便乗したわけのわからないモノを売ろうとするビジネスやら,いいかげんな情報を書くマスコミが闊歩するのは間違いないからです。
そんな騒ぎに巻き込まれたくない。ということで,私が「期待」しているのは皆既日食ではなく,それとは別のあることなのです。
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地図を見るとわかるように,この皆既日食の皆既帯は,みごとに東京を外しているのです。それも,ほんのわずかだけ…。これが意味するのは,この日,東京から皆既日食を見ようと,大量の人たちがわずか数キロメートル北をめざして移動するということです。はじめに書いたように,この日は夏休み最後の日曜日なのです。
1999年,ハンガリーで皆既日食を見たとき,そのときもまた,皆既帯は首都ブタペストを少しだけ外していたので,大量の人たちが首都脱出を試み,そのために,戒厳令が出たほどでした。高速道路は大渋滞,ペットボトルが高騰しました。おそらく,日本ならそれ以上のとんでもない大渋滞と混乱が引き起こされることでしょう。
私が密かに「期待」しているのは,つまり,「見てみたい」のは,実は,その日,日本人が大騒動をする姿なのです。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは