しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:石田泰尚

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 2024年1月21日,愛知県稲沢市の稲沢市民会館で「NEWYEAR2024洋と和の弦楽CONCERT~新春ストリングスの祭典~」が開催されたので,聴いてきました。出演は,ゲストコンサートマスターとして石田泰尚さんを迎えた「Durare Chamber String Ensemble」という名古屋の弦楽合奏団と「べべん~BEBEN~」という国内トップクラスの9人の三味線奏者が新たな音楽シーンを創造する邦楽ユニットでした。
 第1部は「べべん~BEBEN~」による津軽三味線の演奏,第2部が「Durare Chamber String Ensemble」による弦楽器の演奏で,その中に1曲,クラリネットが加わりました。
 第1部の津軽三味線の演奏,私は,先日,弘前市に行ったときに津軽三味線の演奏を生で聴いて,その音色に感動したこともあって,とても楽しめました。津軽三味線は,弦楽器の要素に打楽器の要素が加わっていて,人間の鼓動に直接訴えます。いかにも日本の楽器です。
 また,第2部の弦楽器の演奏は,曲目がポピュラーなものだったこともあり,ゲストコンサートマスターが石田泰尚さんということもあり,石田泰尚さんのすばらしい高音の音色に,今回もまた,すっかり聴き惚れました。

 名古屋市内のプレイガイドなどでは,チケットは完売だったらしいのですが,当日の入りは半分くらいで空席が目立ちました。チケット,もっと卸さなないと…。
 私も偶然稲沢市のLINEで知っただけで,危うくこのコンサートを知らずに終わるところでした。これでは宣伝が下手です。おそらく,行きたいけれど知らなかった,という人も少なくないと思われます。これだけのすばらしい演奏,もっと多くの人に聴いてもらわないとちょっともったいないです。
 いずれにしても,今回のコンサートは少数の石田泰尚さんおっかけもいましたが,地方都市で行われる催しでは,こうしたコンサートにほとんどなじみのないという人も少なくなさそうでした。このような楽しく気軽に聴くことのできる演奏会に接する機会があるのは悪くないものだと思いました。
 「べべん~BEBEN~」の人たちはずいぶん工夫を凝らしていましたが,「Durare Chamber String Ensemble」も,もっと初心者向けの何かしらの解説やら何らかの楽しい趣向があってもいいのになあ,と思いました。せめて団員さんの紹介だけでも。せっかく石田泰尚さんが来ているのに…。
 クラシック音楽はいくらいい演奏でも,なじみのない人には敷居が高いです。NHK交響楽団でもそうしているのだし,せめてカーテンコールは写真撮影OKにするとか。今や,何事もイケイケの時代。コロナ禍以前のような殿様商売ではいけません。お客さん呼びたければ宣伝しなきゃ。SNSで口コミがかけるようにしなきゃ。

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石田泰尚による熱き指揮者無しアンサンブル。
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 一度知ったら忘れられない,そり込みを入れた短髪に色つきレンズの眼鏡をかけた石田泰尚さんは,現在,神奈川フィルハーモニー管弦楽団のソロコンサートマスターであり,京都市交響楽団の特別客演コンサートマスターでもあります。
 それにしても,どのオーケーストラも,コンサートマスターはアクが強いものです。そして,そのアクの強さがオーケストラの個性となって,人気をよぶのです。今日は,そんなコンサートマスターについてのお話です。

 コンサートマスター(concertmaster)は,オーケストラの各奏者を統率して,指揮者の意図を音楽に具現する役職で「第2の指揮者」ともいわれます。第1ヴァイオリンの首席奏者が務めます。
 実際,コンサートを聴きにいくと,よほど信頼された指揮者以外の場合,楽団員はコンサートマスターを見て演奏しているような気がします。一度,NHK交響楽団の定期公演で,指揮者のアシュケナージさんが指揮棒を手に刺してしまい指揮不可能となり,コンサートマスターの堀正文さんが,チャイコフスキーの交響曲第4番全曲を,演奏しながら指揮したというのを見たことがあるのですが,このときはすごいものだなあ,と思いました。それとともに,指揮者なんで要らないじやん,とも思いました。
 本当は,オーケストラはコンサートマスターの指示で演奏をしていて,指揮者はその音楽に合わせて踊っているだけのような…。そんな気がしないでもない。
 そんなコンサートマスターですが,いわば,それぞれのオーケストラの顔なので,その人材を探すのがたいへんそうです。

 私がよくわからないのは,コンサートマスターの肩書に,ソロコンサートマスター,プリンシパルコンサートマスター,第1コンサートマスターのように,様々なものがあることです。そして,その違いについて説明がされていることもまずないので,何が違うのか,客である私にはさっぱりわかりません。さらには,アシスタントコンサートマスター,副コンサートマスターなどというものもあります。これらは,コンサートマスターがふたり以上いたときにその格づけのため,さまままな飾りをつけているように思えます。プライドの高い人たちですから…。しかし,ソロコンサートマスターと第1コンサートマスターの違いなんて,わかりかねます。
 であっても,ここまでは,そのオーケストラの正式の団員ですから,まだなんとなく理解ができますが,客員コンサートマスター,特別客員コンサートマスター,ゲストコンサートマスター,アシスタントゲストコンサートマスタ-となると,??? という感じです。客員とかゲストとかいうのは,このオーケストラのコンサートマスターは大したことないから,別のオーケストラの立派なコンサートマスターを高いお金を出してよんできたよ,という気がしてしまいます。しかし,オーケストラの肝をお客さんで済ませてしまうのはダメでしょう。オーケストラの中心になる人は,きちんとこのオーケストラに所属している人であるほうが,オーケストラの音楽作りにはいいと私は思いますが。

 私の友人が,コンサートマスターにゲストなんていうのはいけなんじゃない,と言っていましたが,私もそう思います。きっと,ゲストをよんでこなければならないほど,そのオーケストラの専属コンサートマスターはだめなのか,あるいは,集客のための「顔」がほしいのだと思ってしまいます。
 その一方で,Yahoo知恵袋だったかに,「先日聴きにいったコンサートの地方公演で,ゲストコンサートマスターとあったのですがどうしてですか? 格下ですか?」という質問があって,その回答に,「地方公演だから,正規のコンサートマスターはギャラが高いから来なかったんです」というバカげたものがありました。そんなふうに思っている人もいるのです。そういう誤解を解いてほしいものです。
 それにしては,こだわっているわりに,コンサートのPRで,指揮者や独奏者の名前はわかっても,コンサートマスターがだれなのかは通常行ってみないとわかりません。だから,石田泰尚さんがコンサートマスターのときの神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行ってみたいと思っても,その日のコンサートのコンサートマスターが石田泰尚さんとは限らないのです。

 いったい,どの職名までが本当の意味でのコンサートマスターなのかわかりませんが,コンサートマスターは名誉職ではないし,たくさんいればいいというものではないでしょう。なのに,こうもたくさんいて,さまざまな名称があるのは,おそらく,確固たるコンサートマスターにするには決定打に欠ける,ということなのかもしれません。要するに,人材難なのでしょう。そして,人気・実力を兼ね備えた人は取り合いをしているのかもしれません。
 NHK交響楽団でも,ソロコンサートマスター・堀正文さんが引退し,その後継者だった第1コンサートマスター・篠崎史紀さんも勇退してしまい,今は「次」を探しまわっているような感じがします。かといって,だれでもいいというわけにもいかず,専任になってくれそうな人もなかなか見つからず。また,お声がかかるほどの名手なら,オーケストラの専属となって長時間拘束されるよりも,ソロ活動をしているほうがいいけれど,NHK交響楽団コンサートマスターという肩書があれば箔がつき,自分のコンサートの集客力がアップするとか? だから,話をもっていくと,「ゲストなら」とか「期限つきなら」みたいな大人の交渉で契約しているような…。そんな気がしないでもないこのごろです。

 なお,今日の写真は,すべて,NHK交響楽団定期公演のカーテンコールで写したものですが,上から順に,特別コンサートマスター・篠崎史紀さん,コンサートマスター ・伊藤亮太郎さん,ゲストコンサートマスター・郷古廉さん,客演コンサートマスター・川崎洋介さん,そして,ゲストコンサートマスターだった白井圭さんです。


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 その風貌からずっと気になっていた,異色のヴァイオリニスト・石田泰尚さん率いる「石田組」でしたが,2023年8月6日にコンサートが愛知県芸術劇場コンサートホールで行われるというので,聴いてきました。
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 「石田組」は,ヴァイオリニスト石田泰尚のよびかけにより,2014年に結成された弦楽合奏団です。
 プログラムによって様々な編成で演奏をするスタイルを取っていて,メンバーは「石田組長」が信頼を置いている首都圏の第一線で活躍するオーケストラメンバーを中心に,公演ごとに「組員」が召集されます。
 レパートリーはバロック音楽から映画音楽,プログレッシブ・ロックまで多岐にわたり,各々のスタイルをぶつけ合いながら織り成す演奏スタイルは,弦楽アンサンブルの新しい世界を切り拓く存在として各方面から注目されています。
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というのがネットにある紹介です。

 コンサートは満員でした。
 演奏された曲目は,前半は,ニールセンの「ボヘミア・デンマーク民謡」,レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲,芥川也寸志の「弦楽のための三楽章」,後半は,バルトークの「ルーマニア民謡舞曲」が演奏されたあと,がらりと趣向を変えて,団員紹介の後は,シルヴェストリの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」,A・メルケンの「美女と野獣」より「時は永遠に」,レッド・ツェッペリンの「移民の歌」と「天国への階段」,クイーンの「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」でした。そして,最後にアンコールが3曲ありました。
 途中の紹介で,「石田組」は約60人だかの「組員」がいて,そこから,石田泰尚組長が毎回12人のメンバーを選抜してコンサートを行っている,という話がありました。だから,一概に「石田組」といっても毎回サウンドが異なり,それが何度も足を運ぶ動機となる… 商売が上手です。今回は,名古屋でのコンサートということもあって,メンバーの多くは地元出身でした。

 私はこうしたコンサートに行ったことはこれまでなかったのですが,なかなか楽しいものでした。
 このようなコンサートに来ている多くは,おそらく,マーラーだとかブルックナーなんて縁がない,という人がほとんどだと思うのですが,クラシック音楽のコンサートでは,よほど人気のあるソリストや指揮者が出演しなければ,集客力に限度があって,その壁を越えることが困難です。いかに名手とはいえ,オーケストラの首席であるような人が数人集まって弦楽四重奏を演奏するコンサートを開いても,なかなかお客さんは集まりません。そのよさを理解できる人が多くないからです。
 石田泰尚さんは,いい意味で,したたかで,コンサートの組み立てや曲目の選択など,あらゆる手を使ってコンサートを盛り上げようとしていることがわかります。そして,独特な風貌がカリスマとなって,人気をよんでいるのです。行列のできるレストラン同様,一旦,人気に火がつけば,あとは加速的なのです。そこで,その人気にあやかって,多くのすぐれた演奏家が集まってくるのでしょう。いい循環をしているわけです。

 たまにはこういうコンサートもいいものだと思いました。
 私には,NHK交響楽団の定期公演は豪華なフランス料理,という感じなのですが,「石田組」のコンサートは,小さな町にある人気のイタリア料理店で軽く食事をしたような感じでした。おいしかった。

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