しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:空からの贈り物

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【Summary】
On December 25, 2024, a Spica occultation was visible in Japan, following another on August 10. Though initially unmotivated, the clear night led to photographing the event. Spica disappeared abruptly behind the Moon's bright edge and reappeared dramatically at its dark edge, showcasing the unique beauty of such phenomena.

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 2024年12月25日の深夜,スピカ食が見られました。2024年に日本から見られたスピカ食は,8月10日の夕刻に次いで2回目でしたが,私は8月10日のほうはまったく印象にありません。天気が悪かったか,暑すぎてそれどころでなかったか…,と思ったのですが,調べてみると,このときのスピカ食もちゃんと写真に撮っていました。
 スピカ食は午前3時12分にはじまり,午前4時13分に終わるということで,深夜のことゆえ見るつもりもなかったのですが,天気がよかったので気が変わって,午前2時45分に起床して写真を撮りに外に出ました。

 去る2024年12月8日に土星食があったのですが,こちらは午後6時19分だったから,楽しく観望しました。
 土星はスピカに比べるとずいぶん地球に近いので視直径が大きいから,月に完全に潜入するまで,また,出現するまでに1分以上の時間がかかるので,のんびりと,隠れるのを,また,出てくるのを見ることができました。
 しかし,スピカは恒星だから非常に遠いので点光源でしかなく,突然消えたり現れたりするように見える,ということでした。実際,月の光っている側の縁(=明縁)から月に隠されたときは,月面の強い輝きに負けてすっと消えていったのですが,スピカが再び現れたときは,月の暗い縁(=暗縁)からなので,暗い場所から「忽然と」スピカが現れたのには感動しました。
 こういう感動は,実際に見てみないことには味わえません。

 地球の周りを公転している月は,地上から見ると星空を背景に東側へと少しずつ移動していくので,この黄道にある星々は月によって隠されます。しかし,黄道付近にある1等星は,おうし座(Taurus)のアルデバラン(Aldebaran=αTau),しし座(Leo)のレグルス(Regulus=αLeo),さそり座(Scorpius)のアンタレス(Antares=αSco),おとめ座(Virgo)のスピカ(Spica=αVir)しかないので,1等星が月に隠されるのはこの4つの星のみです。
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●アルデバラン食
 前回のアルデバラン食は2017年4月1日で,これは写真に撮りました。次回は2034年11月26日です。
●レグルス食
 前回のレグルス食は2018年2月2日だったのですが,これはまったく知りませんでした。次回は2026年1月7日ですが,2026年はレグルス食の当たり年で,1月7日のあとは3月2日,11月13日と3回も見られます。
●アンタレス食
 前回のアンタレス食は2024年6月20日でしたが,これはまったく記憶にありません。次回は2042年6月3日です。
●スピカ食
 次回のスピカ食は2032年4月25日です。つまり,今回のスピカ食はけっこうレアな現象だったのです。
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 月が背景にある天体を隠す現象を月による「掩蔽」(えんぺい occultation),あるいは「食」(eclipse)といいます。「掩蔽」は,見かけ上大きな天体が見かけ上小さな天体の間を通過する際にその天体を隠す現象をいいます。このとき,近いほうの見かけ上大きな天体は遠いほうの見かけ上小さな天体を完全に隠してしまいます。また,「食」は,ある天体が別の天体の影に入るような場合を指すので,「掩蔽」よりも広義です。つまり,「掩蔽」が起こっているときにはいつも「食」も起きています。


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アトラス彗星(C/2024G3 ATLAS)増光か

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2024年4月5日にチリの天文台で発見されたアトラス彗星(C/2024G3 ATLAS)が,2025年1月13日に太陽に0.09天文単位まで近づきます。計算上は-3等星まで明るくなるのですが,おそらくそれ以前に消滅するといわれています。
もし崩壊しなければ,夜明け前の東南東の地平線の近くで,すごい姿が見えるかもしれません。
図は1月12日午前6時40分の予想です。


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【Summary】
I observed the Comet Tsuchinshan-ATLAS (C/2023A3) on October 14, 2024, capturing its long tail with a 70mm lens. Despite some clouds, the comet was visible near Venus and Arcturus. They reflected on the difficulty of spotting comets, particularly for young people, due to the rarity of clear skies during significant comet events like Comet NEOWISE (C/2020F3)in 2020. I writer also noted the traditional beauty of the Thirteenth Night (October 15) Moon, though its brightness may make the Comet harder to see in coming days.

☆☆☆☆☆☆
 それにしても,紫金山・アトラス彗星(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)はいい時期に現れたものです。いくらすばらしい彗星といえども,天気が悪くては見ることができません。
 2024年10月14日。西の空低く雲があって,さすがに今日は,と思っていたのですが, 夕方になって,雲が切れてきました。昨日よりも高度が高くなるので,晴れていさえすれば,肉眼でも容易に見ることができるだろうと思いました。私のiPhone14手持ちでも簡単に写る大彗星なので,視野の広いものはiPhone14にお任せして,この日は,昨日よりも焦点距離を短く70ミリで写して,長~い尾を収めることにしました。

 10月14日に彗星の見える場所は,金星とうしかい座の1等星アークトゥルスの真ん中なので,見つけることはとても容易でした。昨日よりは少し空の状態が悪かったのですが,それでも,午後5時50分ごろには肉眼でも見えるようになり,思った通り,写真では長く尾を引いた姿を捉えることができました。
 とはいえ,慣れていないとなかなか難しいものです。流星群もそうですが,報道では「〇〇が見られる」と簡単に見ることができるかのように書いていますが,太陽や月が「見られる」のとは次元が違います。
 若い人の中には,はじめて肉眼で彗星を見た,という人も少なくはないようです。というのは,2020年7月に現れたネオワイズ彗星 (C/2020F3 NEOWISE)は,とても明るかったのですが,1週間ほどしか見ることができず,しかも,日本列島は沖縄と北海道を除いて連日天気も悪く,さらには,コロナ禍だったということもあって,見た人は非常に少なかったのです。
 そこで,彗星がどのように見えるか,という経験がないので,せっかく視野に入っていてもわからなかったり探せなかったりします。やはり,指導者が必要なのでしょう。せっかく天文ファンを増やすいい機会だというのに…。流星群もそうですが,一般のマスコミは自分で見てもいないのに記事を書くものだから,とてもいい加減なのです。
 とはいえ,今回の紫金山・アトラス彗星,肉眼では確認できなくても,スマートフォンを向けると,液晶画面で確認ができるのには驚きました。
 この日もまた,私は,彗星が地平線に隠れるまで見送りました。

 ところで,今日10月15日は十三夜。
 十三夜は,旧暦の13日の夜,主に旧暦9月13日の夜を指し,月見をする風習があります。
 中秋の名月である十五夜の後に巡ってくるので「後の月」, 栗や豆の収穫祝いを兼ねているので「豆名月」「栗名月」,また,中秋の名月とあわせて「二夜の月」(ふたよのつき)ともいいます。
 満月より少し欠けた十三夜の月が美しいというのは,極めて日本的な美意識だと思います。
 平安時代に書かれた「躬恒集」(みつねしゅう)の,旧暦・919年(延喜19年)9月13日に醍醐天皇が月見の宴を催し詩歌を楽しんだというのが十三夜の月見のはじまりといわれています。
 十五夜と十三夜のどちらか一方しか月見をしないことを「片見月」「方月見」といい,縁起が悪いとされています。さらに,旧暦の10月10日の十日夜(とおかんや)とあわせ,3日間月見ができると縁起がよいともいわれています。
  ・・
 十三夜の月は風流ですが,この先,月は満月に向けて明るくなっていくので,月明かりのために,彗星は見づらくなっていくかもしれません。

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【Summary】
On October 13, 2024, I successfully photographed the Comet Tsuchinshan-ATLAS(C/2023A3). At first, it wasn’t visible to the naked eye, but later, it became clear through binoculars and even visible to the naked eye, exciting me. This reminded me of the Comet Hale-Bopp(C/1995O1) in 1997, which was similarly impressive. The sky sometimes gives us incredible gifts.

☆☆☆☆☆☆
 昨日2024年10月12日,何とか写った紫金山・アトラス彗星(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)でした。翌10月13日は,昨日より高度が高くなり,昨日の撮影でどこに見えるのかという位置もはっきりとわかったので,ちょっと期待をもって,撮影に向かいました。
 とはいえ,どのくらいのものが見られるのかは見てみないことにはわかりませんでした。
 午後5時40分過ぎ,まだ双眼鏡でも見ることができない薄明のころに,すでに写真には捕えることができました。そして,午後6時過ぎ,次第に空が暗くなると,双眼鏡でも見えるようになり,カメラの液晶画面にもはっきりと彗星の像を見ることができるようになったので,撮影は楽でした。
 そして,彗星のいる位置を眺めていたら…。ついに,肉眼でもはっきりと見ることができるようになりました。これには興奮しました。おそらく,もっと条件のよい場所なら,よりすばらしい姿を見ることができたことでしょう。
 おふざけでスマホを取り出して,金星とうしかい座の1等星アークトゥルスが入るように手持ちで写してみると,それがまあ,ちゃんと写っているではないですか。すごい時代になったものです。

 午後6時20分を過ると,彗星は次第に高度を下げていったのですが,その核が沈むまで,肉眼ではっきりと見ることができました。さらに,核が沈んで見えなくなっても,尾だけが見られるという,とんでもない状態となりました。
  ・・
 ここで思い出したのが,今から27年ほど前の1997年春のことでした。
 明け方の東の空にヘール・ボップ彗星(C/1995O1 Comet Hale-Bopp)が見られるということで,空の暗い山に向かいました。そして目撃したのが,まだ核が昇っていないのにもかかわらず,尾だけが地平線からたなびくように見られた彗星の姿でした。やがて核が姿を現すと,何と,空がわずかに明るくなったのです。これには驚き,また,感動しました。
  ・・・・・・
 ヘール・ボップ彗星は1997年ごろに明るくなった大彗星です。
 近日点通過後には見かけの等級は-1等星にもなって,地球との位置関係がよかったために,肉眼で18か月も見ることができました。これは「1811年の大彗星」(The Great Comet of 1811= C/1811F1)の8か月を大幅に上回ったので,ヘール・ボップ彗星は「1997年の大彗星」(The Great Comet of 1997)といわれます。私が見た彗星の中でも最大のものでした。
  ・・・・・・
 ときどき,空は,予想もできないすばらしい贈り物をくれるようです。

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【Summary】
From October 11, Comet Tsuchinshan-ATLAS (C/2023 A3) became visible in the evening sky after sunset. While it was initially too close to the horizon and the sun to observe, it gradually rose higher. On October 12, after photographing near Venus as a guide, I successfully captured the comet with its tail. I now plan to take more photos in the coming days, hoping for clear skies.

☆☆☆☆☆☆
 以前,紫金山・アトラス彗星(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)について
  ・・・・・・
●10月11日ごろから
 彗星は日没後の夕方の西の空に,非常に明るい状態で見えるようになります。はじめは地平線ぎりぎり,次第に高度を上げてかみのけ座からうしかい座へ動いていき,ずっと見ることができるようになりますが,光度は下がり,暗くなっていきます。
  ・・・・・・
と書いたように,夕方の西の空に昇ってくるようになりました。
 どのくらい明るくなっているか,とても楽しみでした。10月11日ごろはまだ太陽に近いので,空が明るいうちに沈んでしまいます。いつから見ることができるのか,それもまた,楽しみでした。
 空の暗い北海道などへ遠征すれば,もっとすばらしい写真が写せるのでしょうが,今の私にはそんな気力もなくなってしまったので,できるだけ家の近くで,西の空が開け,かつ,暗い場所を探しました。で,何とかそんな場所を見つけたので,そこで写真を撮ることにしました。

 このところ,これまでの天気がウソのような晴れ渡った秋の空になりました。
 10月11日は写りませんでした。
 そして,10月12日。
 この日もまた,金星を手掛かりに彗星がいると思われる場所を狙って,写真を撮ることにしました。まだ双眼鏡でも確認できるような空の暗さでないので,彗星の位置もわかりません。そこで,金星と地上の風景を手掛かりにどの位置にいるかを,焦点距離35ミリのレンズで写して確かめてみました。それが今日の2番目の写真です。写真の左端に金星が写っていますが,APS-Cサイズの場合,焦点距離35ミリレンズの画角では,こうして金星を入れると右下の位置に彗星がいるのです。
 ただし,この空の明るさだと,彗星は,広角レンズでは写りません。
 おおよその位置がわかったので,焦点距離100ミリのレンズに変えて,位置を特定した場所に向けて,写しました。そして,立派な尾がある彗星を写すことができました。
  ・・
 これで,彗星がどこにいるか,どのくらいで写るかがわかりました。
 今日10月13日は,金星と同じ高度まで上がってきます。おそらく,この日よりも明確になると思うので,今度は,もう少し工夫して写真を写したいと思います。これからも晴れの日が続くといいのですが…。

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【Summary】
On October 1, after several cloudy days, I finally managed to capture the Tsuchinshan-ATLAS comet (C/2023 A3). Despite challenges with its low altitude and increasing daylight, I successfully photographed the comet alongside the moon. Capturing low-altitude comets is difficult without automated telescopes, and this may be my last chance to photograph it before it sets.

☆☆☆☆☆☆
 2024年9月26日に何とか写すことができた紫金山・アトラス彗星(C/2023A3_Tsuchinshan-ATLAS)。その後も毎朝,写そうと早起きをしては空を見上げていたのですが,毎日,同じように,厚い雲に覆われていて,星のひとつも見えない日々が続きました。それでも,10月1日は晴れそう… という天気予報だったので,期待して,この日も早起きをしました。
 午前4時ごろに起床して,今日は晴れているかな,とベランダに出て空を見上げると,雲がなく,ひさしぶりに北極星が輝いていました。すると,偶然,ものすごい火球が飛ぶのを目撃しました。あんなに明るい火球を見たのははじめてでした。写真を写せなかったことだけが残念でした。

 こうして,晴れていることを確認して,カメラと三脚をもって外に出ました。雲ひとつありませんでした。東の空低く月齢28.0の月が輝いていました。
 紫金山・アトラス彗星の位置は9月26日に確認済みなので,画角を135ミリにすれば,正確な位置がわからなくても容易に写せるものだと思っていたのですすが,写りません。あとで確認すると,午前4時52分に写した写真から写っていたのですが,その時点では確認できませんでした。彗星は,午前4時35分ごろに地平線から上ってきているのですが,あまりに高度が低く,写らなかったようです。つまり,淡い彗星は,午前4時50分過ぎ,空が少し白みはじめたころに,ISO1600では,1秒以上の露出をかけないと,彗星は写らなかったのです。
 どうして写らないのかな? と思いつつ,あきらめムードで,こうなったらズームレンズの焦点距離を300ミリにしようと思って,適当な場所を狙って写すと,何とはっきりと彗星状の天体が写っているではないですか。これには興奮しました。その後,位置を調節して,やっと,思い通りの彗星の姿をとらえることができました。
 最後に,焦点距離を70ミリにして,彗星と月を1枚の写真に収めることができました。
 名古屋市の明かりが煌々と空を照らす灰色の東の空でこれだけ写れば十分です。

 据付の望遠鏡があって,自動で彗星を捉えることできるならともかく,こうした高度が低い彗星のような天体を写真に収めるのは,簡単なことではないな,と思いました。
 この後の数日,紫金山・アトラス彗星は高度を下げていき,また,天気も悪いようなので,明け方の空で写真に収めることができるのは,おそらくこれで終わりだと思われます。果たして,10月11日すぎ,夕方の西の空に現れるときはどのようになっていることでしょうか?

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【Summary】
I attempted to photograph the Comet Tsuchinshan-ATLAS (C/2023 A3) from September 24-26, 2024, despite cloudy conditions. On September 26, they finally captured the comet under a brief clearing in the clouds. It appeared brighter than Mercury, around first magnitude, raising hopes for its visibility in the evening sky in October.

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 2023年2月22日に発見された紫金山・アトラス彗星(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)は,2024年9月末に太陽に0.4天文単位まで接近し,0等まで明るくなる,という予報でした。すでに,どのように見ることができるかはブログに書きました。
 これまで,「紫金山・アトラス彗星は,既に彗星核の断片化が進行しており,このままだと近日点通過(太陽に再接近)する前に消滅するという,最近の観測結果に基づいた非常に厳しい予想を立てた論文のプレプリントが公開さました」とか,「紫金山・アトラス彗星が10月9.4日ごろに-4等級よりも明るくなるとの予測」とか,接近前からいろいろと話題でしたが,ついに,接近を迎えました。

 見えようと見えまいと,体験してみなければわからない,ということで,まずは,私がブログに書いた
  ・・・・・・
●9月27日ごろから10月5日ごろ
 彗星は,明け方午前5時くらいに,太陽が昇る寸前の東の空低く,うみへび座に1等星から0等星の明るさで現れるのですが,高度が非常に低く,どのように見ることができるかはわかりません。
 彗星が大化けすれば,ひょっとして,ものすごく明るい彗星が薄明の中で確認できるかもしれません。
  ・・・・・・
にしたがって,9月27日より早い9月24日から彗星を写真に収めようと実験をはじめ,連日,午前4時に起きて,午前4時30分から午前5時まで,彗星が見られる方向にレンズを向けることにしました。しかし,9月24日も9月25日も,そしてまた,9月26日も,空は雲に覆われていて,どうしようもありません。

 もし,天気がよければ,少し遠出をしようと思っていたのですが,その気もすっかりなくなって,自宅の近くで,とりあえず写真を撮ってみることにしました。
 雲を通してシリウスは見えていたので,雲は薄く覆っているだけなのかな,もし,彗星が明るかったら写るかもしれないなあ,と期待しました。
 しかし,家に戻って調べてみても,9月24日も9月25日も何も写っておらず,がっかりしました。
 9月26日はさらに深く雲に覆われていたのですが,東の空の低空の部分だけなぜか雲が切れていたので,淡い期待をもってこの日も懲りずに写真を撮りました。そして,家に帰ってから調べてみると… 何と,彗星状の天体がはっきりと確認できました。毎日早起きをしていたので,神様がプレゼントをくれたようです。今日の写真は,9月26日の午前4時48分に,ISO1,600,露出時間1.3秒で写したものです。
 経験上,このような低空では,水星を写すのもやっとなので,その経験から,紫金山・アトラス彗星は水星よりも明るく,1等星くらはありそうです。この様子なら,10月11日ごろに夕方の西の空に現れるときが楽しみです。今度は早起きしなくてもいいし。

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 2024年はふたつの明るくなる彗星が接近するようです。
 そのひとつは,「紫金山・アトラス彗星」(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)で,この彗星についてはすでに書きました。もうひとつがポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)。今日はそのお話です。
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 ポンス・ブルックス彗星は周期70.06年の周期彗星です。有名なハレー彗星は周期75.32年なので,同じような周期で,しかも,ともに明るくなるのですが,ハレー彗星ほど知られていません。
 近日点通過,つまり太陽に最も近づくのは2024年4月20日で,その距離は0.7780天文単位,近地点通過,つまり地球に最も近づくのは2024年6月2日から3日で,その距離は1.546天文単位です。1天文単位は地球と太陽の平均距離をいい,約1億5千万キロメートル,正確には149,597,870,700メートルです。
  ・・
 ポンス・ブルックス彗星は,1812年7月21日にジャン・ルイ・ポン(Jean-Louis Pons),8月1日にヴィンセント・ウィズニフスキー(Vincent Wisniewski),8月2日にアレクシス・ブヴァール(Alexis Bouvard)によって発見され,それらは同じ彗星として,エンケ彗星(2P/Encke)で有名なヨハン・フランツ・エンケ(Johann Franz Encke)が70.68年の周期を持つ軌道を計算しました。
 その70年後の1883年,ウィリアム・ロバート・ブルックス(William Robert Brooks)によって再発見されたことで,ポンス・ブルックス彗星となりました。
  ・・・・・・

 今回の接近は,2020年6月10日にアメリカ・ローウェル天文台(Lowell Observatory)のディスカバリーチャンネル望遠鏡により,23等星で太陽から11.89天文単位離れていたときに検出されました。
 その後,順調に太陽に近づき,光度を上げ,春に4.5等星まで明るくなるといわれていますが,昨年2023年7月20日に5等級の爆発現象(アウトバースト)を起こして11.5等まで急増光,11月15日には再びアウトバーストを起こして,9.4等まで急増光したということです。
 彗星は,惑星を作った構成物質(planetesimals)の生き残りで,太陽系形成以降46億年間,太陽系の果てで冷凍保存されてきたものが何かのきっかけで太陽系の内側に入り込み,太陽の熱による氷の昇華で物質を巻き散らかしているものです。こうしたアウトバーストでは,放出されたエネルギーはマグニチュード7.0に匹敵し,彗星核の地下にあるエネルギーが爆発していると考えられますが,彗星は一旦アウトバーストを起こすと表面の不活性層が剥ぎ取られて活発に活動し,数年のうちに枯渇するといわれているので,ポンス・ブルックス彗星の将来が心配されますが,次の回帰は70年も先のことです。

 さて,ポンス・ブルックス彗星は現在ははくちょう座にあって,夕方の西北西の空に午後8時30分ごろに沈むまで8等星程度で見えます。今日の1番目の写真は,2024年1月11日午後7時35分に写したものです。
 1か月ほどははくちょう座を北に向かって進むので,彗星としては地平線からほぼ同じ高度を保ち続けながら西の方向に動いていき,それとともに明るくなっていきます。4月10日くらいが最も明るく4等星ほどになります。その後は日没が早くなって,見えなくなります。つまり,太陽に近づきます。

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ISS.

2024年1月15日午後6時15分。
国際宇宙ステーションが月の横を通過しました。


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 数年に1度,肉眼でも見える彗星が地球に接近します。条件がよいと,長い尾を引いた美しい姿を見ることできます。今日の1番目から3番目の写真はこれまで私が写した大彗星の写真です,1番目は百武彗星(C/1996B2 Hyakutake),2番目はヘール・ボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp),そして,3番目はネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)です。

 今回は,2023年2月22日に発見された紫金山・アトラス彗星(C/2023A3 Tsuchinshan-ATLAS)が2024年9月末に太陽に0.4天文単位まで接近し,0等まで明るくなる,といううれしいニュースが飛び込んできました。
 私は,不快になるだけなので,マスコミや口コミなどの情報はすべて遮断しています。そこで,自分に必要な情報は,公式のものをインターネットから手にいれていますが,この情報は,2月28日の「CBAT」(=The Central Bureau for Astronomical Telegrams)#5228 が発信したものです。
  ・・・・・・
 小惑星地球衝突最終警報システム「ATLAS」(=Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)では,全天を24時間カバーするために,110メガピクセルCCDアレイカメラを搭載した口径50センチメートル f/2のライトシュミット望遠鏡が世界中に8台あって観測を行っています。そのうち,南アフリカのサザーランド(Sutherland)にある南アフリカ天文台(South African Astronomical Observatory=4番目の写真)に設置した望遠鏡が2月22日に撮影したCCD画像から彗星を発見しました。
 中国の紫金山天文台(=5番目の写真)でそれ以前の2023年1月9日に撮影した写真に同じ天体が写っており,特定できたので,この名前がつけられました。
  ・・・・・・
 その後の観測で,彗星の軌道が明らかになって,いつ見ることができるかわかったので,今日はそれを紹介します。

●2024年5月末から7月25日ごろ(下から5番目の星図)
 5月末にには彗星は10等星くらいの明るさになって,夜,太陽が沈んだあとの西の空,おとめ座からしし座にかけて移動する彗星を確認できるようになります。
  ・・
●7月末から9月末
 地球から見たとき,彗星は太陽に近づくために2か月の間,彗星を見ることができなくなります。
  ・・
●9月27日ごろから10月5日ごろ(下から4番目の星図)
 彗星は,明け方午前5時くらいに,太陽が昇る寸前の東の空低く,うみへび座に1等星から0等星の明るさで現れるのですが,高度が非常に低く,どのように見ることができるかはわかりません。
 彗星が大化けすれば,ひょっとして,ものすごく明るい彗星が薄明の中で確認できるかもしれません。
  ・・
●10月6日ごろから10月10日ごろ
 見かけ上,再び彗星は太陽に近づくので,見ることができなくなります。
  ・・
●10月11日ごろから(下から3番目から1番目の星図)
 彗星は日没後の夕方の西の空に,非常に明るい状態で見えるようになります。はじめは地平線ぎりぎり,次第に高度を上げてかみのけ座からうしかい座へ動いていき,ずっと見ることができるようになりますが,光度は下がり,暗くなっていきます。

 今のところ,このような感じだと思われますが,最も明るい時期に見ることができないとはいえ,10月11日を過ぎると,長い尾を引いた鮮やかな姿を見せてくれることでしょう。
 来年が楽しみになってきました。

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