やっと春らしい日がやってきました。2022年3月20日,明日は春分の日ということで,この日の日の出は5時56分,日の入は午後6時4分でした。
寒くも暑くもない春の晴れた日の早朝,日の出前に散歩をするのは気持ちのよいものです。
1月7日に太陽を追い越してからずっと明け方の空に見えている金星は,3月20日に西方最大離角となりました。
最大離角というのは,地球よりも内側の軌道を公転している水星や金星という内惑星が地球からの見かけ上,太陽から最も離れることです。内惑星は地球から見て,太陽から大きく離れた方向に見えることはありません。最も離れるときが最大離角です。
金星が日の出前の東の空に見えるのが「明けの明星」で,明け方に最も離れるときが西方最大離角,日の入り後の西の空に見えるのが「宵の明星」で,夕方に最も離れるのが東方最大離角です。
ただし,地球の自転軸が地球の公転面に対して傾いている,つまり,寝ているので,最大離角のときが最も高度が高いというわけではありません。春の夕方や秋の明け方で起こる最大離角のときは高度が最も高く,金星では40度にも達するのですが,春の明け方は20度ほどでしかありません。
・・
いわゆる「お受験」で,私立中学校入試の理科の問題集をやっている気の毒な小学生たちが,天体の動きを四苦八苦して学んでいますが,天体の動きは小学生レベルで理解できるようなものではないのです。先に観察してから知識を身につけることが大切なのです。
観察をしたこともないのに,問題集などで丸暗記をするような知識は,実際に観察するとき,むしろ邪魔になることのほうが多いのです。
そもそも,教えるほうがそうした現象を見たことがない人が多いのが皮肉な話です。
現在,金星の右下には火星が見えます。マイナス4.5等星の白い金星と1.2等星の赤い火星の対比がみごとです。
3月16日に見かけ上は約4度まで近づきましたが,実際は1億9千万キロメートルほども離れています。火星は,今後,高度を次第に下げていく金星とすれ違うように移動していきます。
また,金星の左下には土星が見えます。1か月ほど前はずいぶんと高度が低かったのですが,それを忘れるほど,高度が高くなりました。土星は火星よりも明るいのですが,これまで,高度が低いときは,大気の状態でとてもよく見えるときがあれば,目を凝らしてもなかなか見えないこともありました。しかし,これまで土星の隣にみえていた水星はずいぶんと高度が下がり,というか,太陽に近づいてしまい,この日は午前5時40分過ぎに姿を現します。その左隣には明け方の空に回った木星もいるのですが,夜明けが近く,空に埋もれてしまい,もう,見ることはかないません。
いずれにしても,現在は,水・金・火・木・土,それに海王星までもが,明け方の空にいて,天王星だけが寂しく夕方の空に見えるのです。また,3月末になると,明け方の東の空は,これらの惑星に月が仲間入りした美しい姿を見ることができます。
なお,この日の月は月齢17.1。西空高く,おとめ座の「スピカ」の右側4度のところに輝いていました。
◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは