仮に,地球から8.6光年離れたシリウスA(通常シリウスとよばれる連星シリウスの主星),あるいは25.3光年離れたベガがⅡ型超新星爆発を起こしたとすると,地球に住む生命はほぼ確実に絶滅するか壊滅的な打撃を受けることになります。
しかし,超新星爆発を起こすには太陽の8倍以上の質量が必要で,シリウスAの質量は太陽の2倍強,また,ベガの質量は太陽の3倍程度であるために,幸いなことに超新星爆発は起こさず,いずれも赤色巨星となって膨張した外層部により惑星状星雲を形成し,残った中心核が白色矮星となる可能性が濃厚です。
惑星状星雲の名は,望遠鏡で観測したときに緑がかった惑星のように見えるところから,ウィリアム・ハーシェルによって名付けられました。 惑星状星雲は,超新星にならずに一生を終える恒星が赤色巨星となった際に放出したガスが,中心の白色矮星の放出する紫外線に照らされて輝いているものです。
惑星状星雲の中心にある白色矮星はその恒星が一生を終えた姿です。質量が太陽の0.5倍以上8倍以下の恒星が白色矮星になるといわれています。
恒星は,一生の末期になると外層が膨張して赤色巨星となり,外層のガスは徐々に恒星の重力を振り切って周囲に放出されていき,原始惑星状星雲となります。一方,中心核は自分自身の重力で収縮し高温高密度の白色矮星となるため紫外線を放射し,この紫外線が赤色巨星であった時に放出したガスに吸収されると,ガスはそのエネルギーによって電離して光を放って輝くようになります。これが惑星状星雲です。
惑星状星雲のスペクトルは,主に電離ガスから放たれる輝線スペクトルです。惑星状星雲のガスは極めて希薄で原子間の衝突がめったに起こらないために輝線が観測できるのです。
☆ミミミ
今日の写真は,M97ふくろう星雲とM57環状星雲です。ともに,代表的な惑星状星雲で,写真を撮るとかわいいその姿を簡単に手に入れることができます。