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昨年末ごろから,ペテルギウスが減光していることが大きく取り上げられていて,明日にでもペテルギウスが超新星爆発を起こすのではないかと期待? されています。実際,私の写した写真を見ても,ペテルギウスはずいぶんと減光しています。
星の一生というのは人間の時間感覚とはまったく違うので,明日にでもというのは数百年とか数千年のことなのですが,いずれにしても,ペテルギウスがその生涯の99パーセント以上を終えていることは確実です。
今から200年ほど前,南アフリカの喜望峰天文台でジョン・ハーシェルがペテルギウスを観測して,ペテルギウスが変光していることを見つけました。それから80年後,アメリカのウィルソン山天文台で,アルバート・マイケルソンが口径100インチの「ヘール望遠鏡」に干渉計を取り付けてペテルギウスの大きさを測定し,太陽の300倍と発表しました。
そのさらに40年後,パリ天文台での観測により,ペテルギウスの直径は14億キロメートルで太陽の1,000倍あって,しかも,大きさが1億キロメートルも変化する脈動星だということがわかりました。その結果,ペテルギウスはほとんどその生涯が終わっている赤色超巨星であるとされました。
また,ドイツのマックスブランク研究所では,チリのパラナル天文台にある3台の望遠鏡からなるVLT干渉計で干渉縞を観測した結果から,ペテルギウスは球形ではなく,なんと7億キロメートルものコブが飛び出している落花生形をしていることを突き止めましたが,これは星の中心部まで対流を起こしていることが原因とされました。また,2006年に打ち上げられた日本の天文衛星「あがり」が赤外線を使ってペテルギウスを観測し,ペテルギウスのまわりに直径3光年(30兆キロメートル)にもおよぶ範囲でガスやチリを放出していることがわかりました。
現在,ペテルギウスはこのような姿で,その生涯を終える日を待っているわけです。
ペテルギウスが超新星爆発を起こすと次のような姿になると予想されています。
まず,爆発の3時間後には満月の100倍の明るさになって輝き,昼間も見えるようになります。これが3か月ほど続き,しだいに星のまわりのガスが輝くようになります。やがて,4か月もすると,温度が下がることで星の色が青色から赤色に変わり,まわりのガスが大輪の花のように広がっていきます。その4年後,ペテルギウスは肉眼で見えなくなってしまいます。そうして何百年もすると,超新星残骸として,望遠鏡で観測できるようになるのですが,オリオン座の四角形の星の並びはペテルギウスを失ってしまいます。また,冬の大三角形も存在しなくなります。
これまでに銀河系内で起きた超新星爆発で,人類が目撃したものは7個あるのですが,そのなかで地球からもっとも近いものは1054年に爆発した現在の「かに星雲」で6,500光年,その次が1572年に爆発した「チコの星」で7,800光年です。それらと比べて,ペテルギウスはわずか642光年と,とても近いものです。
では,超新星爆発によって放出されるガンマ線が地球に降り注ぐ心配はないのでしょうか?
ガンマ線が降り注ぐのは,爆発を起こした星の自転軸から5度の範囲です。ハップル望遠鏡で観測したところ,さいわいペテルギウスの自転軸は地球と20度ほど傾いていて,そうした心配はないそうです。



