しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:金星

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☆☆☆☆☆☆
 このところ,明け方の東の空に,水星と火星が接近しているということです。
 2024年1月8日から1月10日の早朝は,金星,水星,月の並びが美しく,多くの写真を撮りました。このときも火星が地平線ぎりぎりにあったのですが,確認できませんでした。
 現在も,火星の高度はそのときと同じくらいで,日の出30分前でも5度程度と非常に低いものです。すでに薄明が進んでいて「こんなもの見えるのかな? 写るのかな?」と疑問があったので,見えなければ見えなくてもよくてそれを確かめることが楽しいから,実行してみることにしました。

 火星と水星が最も近づいたのは1月28日だったのですが,あいにく曇っていて,見ることができませんでした。翌1月29日は晴れ渡ったので,挑戦することができました。
 70ミリレンズを使うと金星と火星と水星を同じ画面に入れることができて,金星を右上に配置すれば,左下に火星と水星が入るので,画角に入れるのは容易で,写すためには感度と露出時間の塩梅だけでした。露出時間が少ないと星が写らず,反対に多すぎると,すでに薄明がはじまっているので,空に被ってしまい写りません。その匙加減がむずかしいのです。
 午前6時に撮影をはじめました。
 はじめに露出時間4分の1秒,ISO1600で写した写真を確かめてみると,昇ってきた水星を捉えることができたので,うれしくなりました。よく確かめると,火星も写っていました。さらに時間を置くと,高度が高くなってきて,水星と火星はカメラのファインダーでも簡単に見えるようになり,写真では,火星は赤く,水星は白く写りました。その位置に双眼鏡を向けると,水星は簡単に見つけることができて,水星から目を凝らして右上に写すと,火星も見ることができました。
 さらに高度が高くなると,肉眼でも確認できるようになりました。
 しかし,わずか10分後には空が明るくなってしまい,その姿は視界から消えました。

 反対側の空に目をやると,薄明の中,有明の月が美しく輝いていました。
 1月の満月を「ウルフムーン」といいます。今年1月の「ウルフムーン」は1月26日だったので,1月28日は月齢17。この月を「立待月」といいます。
  ・・・・・・
 「立待月」とは,日没後に今か今かと立って待つうちに出てくる月,の意です。
 十五夜以後,月の出はしだいに遅くなり,十六夜の月は山の端にいざよい,十七夜「立待月」は立ち待つほどに出,十八夜「居待月」(いまちづき)は座し居て待ち,十九夜「臥待月}(ふしまちづき)は臥して待ち,二十日「更待月」(ふけまちづき)は夜半近く,というように出が遅くなっていきます。これらはそうした月の名称です。
 西洋では毎月の満月にニックネームをつけ,日本では,月の満ち欠けひとつひとつに名称を与えるという,この感性の違いがおもしろいです。
  我門をさしわづらひてねるをのこ
  さぞ立待の月もみるらん
    「新撰六帖」第一 衣笠家良
  ・・・・・・
 この日は夕方からずっと晴れ渡っていたので,前日の夕刻も,月が出る午後7時30分を過ぎたころ,東の空に昇ってきた赤く輝く月を見ることができました。明け方には,その月が位置を変えて,西の空に,まぶしいくらいに白く輝く姿を見ることができました。
 この月の「しおり」(Shioli)と名づけられたクレーターでは,今,日本が送り込んだ月探査機「SLIM」が,太陽の光を受けて眠から目を覚まし,活動を開始しました。 

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☆☆☆☆☆☆
 冬は空気が澄んでいるので空が美しく,特に,かわたれどきといわれる明け方の東の空は絶品です。一方,別の方向を見ると,雪を被った御嶽山,伊吹山などの山々も美しく輝いていて,神秘的に見えます。
 今年1月は,東の空に,月,金星,水星が揃い踏みです。また,さそり座が横たわっていて,さそり座の1等星であるアンタレスも明るく輝いています。月の位置が少しずつ変わるので,毎朝見ても飽きるものではありません。
 今日の写真は,上から順に,2024年1月7日,1月8日,1月9日,1月10日に写したものです。特に,1月10日は月齢が27.9という,見えたらもっけものの月の姿です。
  ・・
 明るく輝いている金星の西方最大離角は昨年2023年10月24日で,今は,次第に高度が低くなってきています。一方,水星は2024年1月12日に西方最大離角となるので,次第に高度が高くなってきています。この日まで金星と水星は近づいていくのですが,それを過ぎると,共に,ほぼ同じ間隔を取ながら,高度を下げ,太陽に近づいていって,1か月後には,明け方の空に見ることはできなくなります。
 また,月は2024年1月10日に新月となります。
  ・・・・・・  
 地球よりも太陽の内側にある水星や金星は,地球からは見かけ上太陽からある角度以上離れることはありません。その角度が最大のときを最大離角といい,夕方の空に見えるとき,つまり,太陽の東側にもっとも離れるのが「東方最大離角」,明け方の空に見える,つまり,西側にもっとも離れるのが「西方最大離角」です。
  ・・・・・・
 水星の下には火星があって,火星,水星,金星がほぼ等間隔に並んでいるということなので,昇ってくる火星を見ようと工夫をしてみたのですが,火星が地平線から昇ってくるころには夜が白んできて,見ることができませんでした。

 以前載せたことがある歌ですが 
  ・・・・・・
 阿加等伎乃 加波多例等枳尓 之麻加枳乎 己枳尓之布祢乃 他都枳之良須母
 暁の かはたれ時に 島蔭を 漕ぎ去し船の たづき知らずも
 暁の薄明かりの時に島陰を漕ぎ去った船がなんとも心細く思えることよ
  「万葉集」巻20・4384 他田日奉得大理(おさだのひまつりのとこたり)
  ・・・・・・
 街灯もなく,空が暗いので,今よりも明け方の空は美しかったと思うのですが,「万葉集」には,夜が明ける前について,あまり詠んだ歌がありません。この歌を詠んだ他田日奉得大理は,奈良時代の防人にして下総海上郡の国造ということです。

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 このところ,やりたいことがどんどん増えてきて,ゆっくり星見に行く時間がありません。星は大概のものは見てしまったので,明るい彗星でも来ない限りは後回しです。なにせ,星雲や星団はいつ見ても同じで逃げていきませんから。とはいえ,夕暮れの「かわたれどき」と明け方の「かたわれどき」は非常に美しく,そこに惑星や月が共演すると,まことに興味深い姿を現すので,思わず見とれてしまいます。
 そんなわけで,このごろは,その時間ともなると,ほかにやりたいことがあるのにもかかわらず,近場に,三脚につけたカメラを持ちだして,そうした姿を写すことが楽しくなってきました。
 今のデジタルカメラはとても優秀なので,思った以上の写真が簡単に写せます。また,このごろは,ソフトフィルターなるものをつかうと,強い光を受けている場所ほど光が大きくにじみ星像が際立つのでこれを活用するようになりました。
 現在は,明け方の空には惑星がいないので,今日は,夕方の空,つまり「かわたれどき」に写した写真をいくつか載せることにします。

 まず,1番目の写真は2023年4月3日の午後7時5分ごろから5分間にわたって写した国際宇宙ステーションです。国際宇宙ステーションはとても明るくて,予報通りに動くので,写しやすいのですが,何度見ても感動します。ただし,長時間露出をすると空が「真っ白になってしまうので,適当な露出で何枚も写して,コンピュータで「比較明コンポジット」をしなければなりません。そこで,ところどころ軌跡が破線となっているわけで,国際宇宙ステーションが輝きを停めているのではありません。
 実は,この時期の夕刻に国際宇宙ステーションを見ることができることは知らなかったというか,気に留めていなかったのですが,4月1日に金星と天王星が近づいたのでその写真を撮ろうとして空を見たら国際宇宙ステーションが飛んでいてびっくりしました。そこで改めて調べると,4月3日にも見られることがわかったので,今度はそれを狙ったわけです。
  ・・
 2番目の写真は2023年3月24日の夜8時30分ごろに月と金星が大接近したのを旅先の佐渡島で写したものです。この日は南にいくほど月と金星は近くなり,沖縄では月に金星が隠されるという金星食が起きたので,それを見るためには,住んでいるところよりさらに北に旅するなんていうことをしていてはいけないのですが,そんなことはまったく頭になかったわけです。
 であったのに,この日,日本列島はほとんどの場所で曇ってしまったようで,私がいた佐渡島が晴れていたのが,まあ,いつものように悪運が強いというか何というか…。

 話が前後しますが,先に書いた4月1日に写した金星と天王星の写真が3番目のもので,4月3日に写したものが4番目の写真です。2日で少し金星の位置が変わっていることがわかると思います。天王星は6等星くらいなので,単独にいても,なかなかどの星がそうなのかわからないのですが,こうして,金星などの標的があると,簡単に見わけることができます。実際は3月31日に金星と天王星は最接近したのですが,あいにくこの日は曇りでした。
  ・・
 また,ちょうど同じ日に,水星が結構高く昇っていて見やすい位置にあって,雲さえなければ,これはどうでも写せるのですが,日没30分後の西の空ぎりぎりに木星があってすぐに沈んでしまうというので,なんとかこれが写せないものかとトライしてみたのが,5番目と6番目の写真です。結論からいえば,がっかりでした。明け方ならこの条件なら見ることができたと思うのですが,どうしても夕方はまだ街灯が明るく,また,春は空が濁っているので難しいのです。
 いつも書いているのですが,見えなければ見えないということがわかったことが意義のあることなので,それはそれで満足できます。

 そんなわけで,日々,さまざまな条件で見え方が違うのを確認するのは楽しいことです。
 こんなことをしているから,いつも,やりたいことだらけになってしまうのですが。

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 異常な暑さの続く日々。わざわざ早起きしなくても午前3時に起きるようになったので,これを幸いに,涼しい時間に早朝散歩となりました。しかし,空を見上げれば,水星,金星,火星,木星,土星,さらには天王星,海王星まで並んでいるので,散歩どころでなく,魚眼レンズをつけたカメラを三脚に取り付けて持参するようになってしまいました。ところが,晴れていても,空には雲があったり,東の空低く雲が覆われていたりと,なかなか満足のいく写真が写せません。
 今日の2番目の写真は6月28日のものですが,水星がかろうじて雲の間から顔を覗かせて,それを狙って写ればそれで感動するような有様でした。
 さて,そんなこんなで1週間。すでに月は新月を越えてしまったので,この惑星揃い踏みに月が参加しなくなったのが残念なのですが,それでも,6月30日は,ついに雲がほとんどなく,星が輝いていました。こうなると,水星が地平線から顔を出したときからが勝負です。問題なのは,時間が経つにしたがって空が明るくなってきて,天王星と海王星が写らなくなることと,水星を写そうとすれば東の白んだ空に消えてしまわないように,露出を抑える必要があるということで,困難を極めるのです。
 そんな状況だったのですが,何度もシャッタースピードを変えながら,なんとか惑星すべてが写ったのが今日の1番目の写真です。水星は,写真でこそ写しにくいものですが,双眼鏡では思った以上にはっきり見えるので,一度場所がわかってしまえば,肉眼でも探し出せました。
 こうして,やっと,満足な写真が写せました。

 しかし,それよりも…。
 田んぼの用水路に何か生き物がいるのです。大きな音を立てて泳いでいます。これは毎朝のことだったのですが,はじめは魚だろうと思っていたので,気にも留めていませんでした。ところが,6月30日,ついに目撃してしまったのです。それは巨大なネズミでした。
 家に戻って調べてみると,ヌートリアでした。
  ・・・・・・
 ヌートリアは,南アメリカが原産のネズミ目ヌートリア科ヌートリア属の動物。頭胴長40センチメートルから 60センチメートル。
 ヌートリアの毛皮は,水に濡れても保温できる毛皮として,質が高いとされ,毛皮を目的に導入されたものが,養殖場から逃げ出したり放逐されたりした個体が,野生に定着。日本でも,1940年代後半から1950年代に毛皮の需要が減少したことで大量に放逐され,野生化。
 今後日本で広がった場合,生態系への影響が懸念される動物。
  ・・・・・・
とありました。
 さらに,新幹線の線路は,この日もまた,架線工事の車両が走っていました。
 このように,人々が活動を開始する以前の世界は,思った以上にさまざまな出来事が繰り広げられているのです。

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 梅雨明けだそうです。というより,今年は梅雨そのものがあったのでしょうか?
 前回も書いたように,惑星直列のせいか? 地球自体がいろいろとおかしいような気がします。いよいよ終末か! という気がしないでもないのですが。

 という悪い冗談はともかくとして,昼間は暑いので,早朝散歩を楽しんでいます。一向に晴れないので,星見に遠出する気もないのですが,散歩をするだけなら問題ありません。
 6月27日の朝も,午前4時まえに散歩に出かけようと外に出てみると,たくさん雲がありましたが,東の空には雲が切れていて金星と月齢27.6の薄い月がきれいでした。こうなると予定変更です。さっそくカメラと三脚を取りに行って再び行動開始です。
 とはいえ,どんな画角で写せるのか事前に下調べもしていないのでさっぱりわからず,広角から望遠まで,おまけに魚眼レンズも持参することにしました。
 今にも月を雲が隠してしまいそうだったので焦りましたが,なんとか写すことができました。

 雲がまったくないのなら,それなりに空の暗いところまで行って,7惑星をすべて収めた写真を写す気力も湧こうというものですが,こんな天気ではそんな気持ちにもならず,しかし,考えてみれば,雲がほどほどに空を覆っているのもまた風流です。
 前回にくらべて月齢がずいぶんと増して,惑星の間を移動していたのですが,その間,まったく晴れなかったので,ずっと何も見ることができませんでした。
 それにしても,惑星がすべて明け方の空に見えるというのは今日の最後の写真のような位置関係だからです。この図はステラナビゲーターからとったものです。

 さて,まだほとんどの人が目覚めていないこの時間,結構興味深いことが起きています。
 まず,これは毎晩のことではないようですが,新幹線の架線に,工事用の長い列車が通りました。さらに,月と金星の横を飛行機雲が流れていきました。望遠レンズで見てみるとジェット機でしたが,これは不思議なことです。こんな時間に旅客機が通るというのはどういうことなのでしょう。さすがに国内線ではないと思うので,海外からの帰国便でしょうか。方角的にはセントレア・中部国際空港に向かっているようでした。家に戻ってしらべても,この時間に到着する便はないので,おそらく貨物便なのでしょう。

 いずれにしても,深夜に車を走らせても,これまでは頭の中は星見でいっぱいだったので気づかなかったのですが,この時間,結構知らないことがたくさんあって,それなりにおもしろいものだと,近ごろ思うようになりました。
 おそらく,この夏は異常な猛暑になることでしょうから,しばらくは昼夜逆転で過ごすとしましょうか。

太陽系


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 6月14日の朝日新聞「語る・人生の贈りもの」というコラムに,囲碁棋士の小林光一さんが「3時に起床して囲碁の研究をしている」とありました。
  ・・・・・・
 3時に起きてます。昔から早寝早起きだったけど,さらに起きるのが早くなってね。
  ・・・・・・
 だそうですが,私も同じようなもの。歳をとると寝るのも体力がいるのです。そこで,早起きになった私は,早朝に星を見るのはまったく苦ではないのです。しかし,特に6月は夜明けが早く,午前4時にはもう明るくなるので,星を見るために早起きするとなると,午前4時ではすでに遅いので,若い人には困難な話です。

 そんな季節ですが,現在,明け方の空には,水星,金星,火星,木星,土星,天王星,海王星まで揃っています。これを「惑星直列」とかいうそうです。さらに,ここ数日は月までも参加です。
 しかし,あいにくの梅雨空なので,一向に晴れません。
 6月19日は午前3時30分に起床しました。今日も曇りだろう,とは思ったのですが,せっかく起きたのだからと窓を開けると,意外にも月や金星が明るく輝いていました。そこで,カメラを三脚に固定して,魚眼レンズを取りつけて,サンダル履きで近くの田んぼのあぜ道まで出かけました。寒くないので楽です。そして午前3時46分に写したのが,今日の1番目の写真です。
 こういった現象は,写真で見るより,実際に空を眺めたほうがずっと感動するものです。

 ところで,もう,6年以上も前のことになりますが,当時もまた「惑星直列」が話題となりました。そのときのバカげたニュースは次のものでした。
  ・・・・・・
【緊急警告】
 1月20日,5つの惑星が一直線に並ぶ「惑星直列」(The Parade of Planets)が起きる!  地球が無重力になり,自然災害も多発か!?
  ・・
 しかし実際のところ,地球が無重力状態となる現象は起きませんでした。
 ちなみに,過去に水星から海王星までの太陽系の全惑星が絡む「惑星直列」が起きた年の出来事を調べてみると,989年の新潟焼山の大噴火,1666年のロンドン大火,1982年の北海道浦河沖地震やフォークランド紛争など,世界を震撼させるような事件や災害が起きていることは確かです。
  ・・・・・・
 ということだったのですが,であるなら,このところの新型コロナウィルスの世界的な蔓延も,ロシアによるウクライナ侵攻も,異常な円安も,半導体の不足も,ジェネリック薬品の品薄も,みな「惑星直列」が原因なのでしょうか?

 ところで,この,2016年に起きた「惑星直列」は1月末から2月はじめのことだったのですが,このときに写した写真も載せておきます。3番目が2016年1月31日で5番目が2016年2月8日,ともに朝6時ごろです。このときは冬だったので,空が明るくなるのは遅く,さほど早起きしなくてもよかったのですが,最も寒いときでした。当時はすごい現象を写したと思っていたのですが,このときの「惑星直列」は現在とは違って,天王星と海王星は参加していなかったことを,改めて今回調べて知りました。
 ならば,今回のほうがずっとすごいです。でも,晴れないので,「惑星直列」は話題にもなりません。いや,それとも,世の中に星を見ているような余裕がないからでしょうか?

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 すでに冬は過ぎ,6月の夏至をめざして,夜がどんどん短くなっています。
 この季節,明け方の東の空に,土星,火星,海王星,木星,金星と5つの惑星が並んでいて見事です。この中でもひときわ明るい木星と金星の距離が日に日に近づいたり,また,離れていったりと,毎日見ても見飽きるものではありません。
 なのに,これらが見られるのは,早朝4時過ぎであり,5時ではすでに空が明るくなってしまうのです。
 また,夕方の西の空には,この5つの惑星から取り残された孤高の水星が,4月29日に東方最大離角となり,これもまた,最大高度でみることができます。そして,そこに,月が仲間入りしたりと,まことに美しいのです。
  ・・
 幸い,私の住むところからは,西の空も東の空も,ずいぶんと低いところまで見ることができるので,その点は,ビルや家々に隠れてこんなにすばらしい夜空を見ることができない都会に住む人が気の毒なくらいです。
 ということで,私は勝手に忙しくしていて,早朝からカメラと三脚を持参して田んぼのあぜ道で写真を写して楽しんでいます。

 ところが,きわめて残念だったのは,木星と金星が0.2度という月の大きさの4分の1もの大接近をした5月1日の早朝,そして,月齢1.6の月が水星の真下にあるという5月2日の夕方,ともに曇ってしまって,まったく見ることができなかったということでした。
 ただし,5月2日の夕方は,かろうして月齢1.6の月だけ,一瞬みることができました。
 すでに,5月1日のブログに4月30日の明け方の5つの惑星を写した写真と,5月4日のブログに5月3日の夕方の月と水星を写した写真を載せたので,今日は,その前後に写したものを載せておくことにしました。
 1番目の写真は5月2日の明け方に写したもの,これは薄曇りがあります。また,2番目の写真はすでにブログに載せた5月3日の別の写真,そして,3番目の写真はそのときの月齢2.6の月を拡大したものです。また,4番目の写真は,5月2日の夕方にかろうして見えた月齢1.6の月をなんと手持ちで写したものです。
 また,1月後の5月の終わりから6月のはじめにかけて惑星や月が同じような条件になるので,それを楽しみに待つことにします。

 ところで,ただひとつ残された惑星である天王星は今どこにいるのでしょうか?
 実は,天王星は,ちょうど太陽のうしろにあって,しばらくはまったく見ることができなのです。
 今はそんな天王星なのですが,今年は,2022年11月8日に皆既月食があって,皆既月食中に天王星食が見られる,という珍しい現象があります。つまり,皆既中の月が天王星を隠すのです。これを楽しみにしたいと思います。

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 やっと春らしい日がやってきました。2022年3月20日,明日は春分の日ということで,この日の日の出は5時56分,日の入は午後6時4分でした。
 寒くも暑くもない春の晴れた日の早朝,日の出前に散歩をするのは気持ちのよいものです。

 1月7日に太陽を追い越してからずっと明け方の空に見えている金星は,3月20日に西方最大離角となりました。
 最大離角というのは,地球よりも内側の軌道を公転している水星や金星という内惑星が地球からの見かけ上,太陽から最も離れることです。内惑星は地球から見て,太陽から大きく離れた方向に見えることはありません。最も離れるときが最大離角です。
 金星が日の出前の東の空に見えるのが「明けの明星」で,明け方に最も離れるときが西方最大離角,日の入り後の西の空に見えるのが「宵の明星」で,夕方に最も離れるのが東方最大離角です。
 ただし,地球の自転軸が地球の公転面に対して傾いている,つまり,寝ているので,最大離角のときが最も高度が高いというわけではありません。春の夕方や秋の明け方で起こる最大離角のときは高度が最も高く,金星では40度にも達するのですが,春の明け方は20度ほどでしかありません。
  ・・
 いわゆる「お受験」で,私立中学校入試の理科の問題集をやっている気の毒な小学生たちが,天体の動きを四苦八苦して学んでいますが,天体の動きは小学生レベルで理解できるようなものではないのです。先に観察してから知識を身につけることが大切なのです。
 観察をしたこともないのに,問題集などで丸暗記をするような知識は,実際に観察するとき,むしろ邪魔になることのほうが多いのです。 
 そもそも,教えるほうがそうした現象を見たことがない人が多いのが皮肉な話です。

 現在,金星の右下には火星が見えます。マイナス4.5等星の白い金星と1.2等星の赤い火星の対比がみごとです。
 3月16日に見かけ上は約4度まで近づきましたが,実際は1億9千万キロメートルほども離れています。火星は,今後,高度を次第に下げていく金星とすれ違うように移動していきます。
 また,金星の左下には土星が見えます。1か月ほど前はずいぶんと高度が低かったのですが,それを忘れるほど,高度が高くなりました。土星は火星よりも明るいのですが,これまで,高度が低いときは,大気の状態でとてもよく見えるときがあれば,目を凝らしてもなかなか見えないこともありました。しかし,これまで土星の隣にみえていた水星はずいぶんと高度が下がり,というか,太陽に近づいてしまい,この日は午前5時40分過ぎに姿を現します。その左隣には明け方の空に回った木星もいるのですが,夜明けが近く,空に埋もれてしまい,もう,見ることはかないません。
 いずれにしても,現在は,水・金・火・木・土,それに海王星までもが,明け方の空にいて,天王星だけが寂しく夕方の空に見えるのです。また,3月末になると,明け方の東の空は,これらの惑星に月が仲間入りした美しい姿を見ることができます。
 なお,この日の月は月齢17.1。西空高く,おとめ座の「スピカ」の右側4度のところに輝いていました。

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 2022年2月は,最悪でした。毎日天気が悪く,寒い日が続きました。昨年であれば2月上旬に咲いていた梅は,3月になろうとしているのに,ほとんど咲いていません。
 しかし,確実に春は近づいていて,夜明けが早くなってきました。この時期,早朝5時過ぎから6時ころは夜明け前の東の空がきれいです。そして,今年は,そこに明けの明星が明るく輝いています。

 都会では,金星だけが見えますが,よく目を凝らすと,その右下に火星が見えます。さらに,金星の高度が高くなったころ,水星,そして,さらにその下に土星が昇りはじます。
 そこに彩を添えるのが,日々形と場所を変える月です。
  ・・
 幸い,私の住んでいるところは高い建物がないので,地平線近くまで見通せます。あいにく空が明るくて満足に星は見られませんが,夜明けの空に惑星を見るだけならそれでもなんとかなります。
 ということで,ここ数日,早朝5時過ぎに三脚にカメラを取りつけて,東の空を写しました。それが今日の写真です。

 まず1番目は2月25日です。
 この日はまだ月が惑星から遠かったのですが,空が澄んでいて美しかったので,超広角にして,月も加えて写しました。地平線近くに昇ったばかりの水星も写りました。もう少し後までいて土星も写せばよかったのですが,このときは土星は空が明るくなりすぎて写らないと思い込んでいました。
  ・・
 2番目は翌2月26日です。
 昨日の空の美しさでやる気になったのはいいのですが,空の低いところに雲が出ていて,残念な結果となりました。
  ・・
 3番目が2月27日ですが,この日の空は最悪でした。
 毎日観察していると,毎日,空気が澄んでいるかどうかで,まったく星の見え方が違うことを認識します。晴れていて空が澄んでいると簡単に見ることができる地平線ぎりぎりの星々ですが,それがまったく見られなくなるのです。 
 土星も写すぞ,と意気込んでいたのですが,土星どころか水星すらやっと写真で確認できたほどでした。
  ・・
 4番目が月齢26.9になった2月28日のものです。この日は最高の条件でした。空は澄み渡り,月と惑星が写真に最も魅力的に写る位置にありました。そして,念願の土星もなんとか写すことができました。
 まったくこの前の日まで眼中になかったのですが,以前に2度写したことがあったハッブル宇宙望遠鏡がちょうど明け方に南の空を通過することを知りました。そこで,どこに見られるかを急遽調べたら,この写真の右上の金星のあたりから左下の土星のあたりまでを横切ることがわかったので画角を合わせて通過する時間に写してみました。しかし,どういうわけか,まったく見ることも写真に写すこともできませんでした。


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 11月8日は月が金星を隠す金星食でした。とはいえ,お昼間のこと,月も金星も見ることができるのかな? と疑問でした。
 子供のころ,名古屋市科学館の大きな望遠鏡で,お昼間の金星を見る,という集まりで見たことがあって,私は,お昼間の金星は望遠鏡を使わなければ見ることができないものだと思い込んでいました。
 しかし,私の持っている望遠鏡は自動導入でないから,視野の狭い,かつ,長い鏡筒を振り回してお昼間の金星を視野に入れるのも大変そうに思えました。
 
 11月8日。
 残念ながら雲が空を覆い,探すこともできませんでした。今日の一番最後の写真は国立天文台が写したものです。
 そして,その夕方,依然として雲に覆われていたのですが,一瞬雲が切れて,月と金星を写真に収めることができました。それが今日の1番目の写真ですが,すでに,月と金星はずいぶんと離れてしまっていました。
  ・・
 11月9日。
 皮肉にもこの日は晴天でした。そこで,昨日の疑問を解決しようとお昼間に月と金星を探すことにしました。
 月は簡単に見つかりました。双眼鏡の視野に月を入れて,そこから金星を探すと,思ったより簡単に金星が視野に入りました。そして,その場所を眺めてみると,確かに肉眼でも金星が確認できました。 
  ・・
 11月10日。
 早朝,日の出30分ほど前に,東の空に水星と火星が接近しているということで,それが見られるかどうかを試してみることにしました。情報によると「11月上旬,明け方の東南東の低空に水星と火星が大接近して見える。最接近は11月11日で,1度未満まで近づくが,日の出30分前で高度が5度未満と非常に低く,しかも,火星が約2等級と明け方に見るには暗いため,観察の難度はかなり高めだ」とありました。
 双眼鏡を水星のあるべき位置に向けると,簡単に水星は視野に入りました。しかし,火星は見ることができませんでした。少しして再び探して見ると,確かに火星を双眼鏡の視野で見ることができました。そして,その位置を目を凝らして肉眼で探すと,火星を見ることができました。
 写真ではあまり露出をかけると露出オーバーで星が飛んでしまうし,露出をかけないと今度は星が露出不足で写らないのですが,いろいろと設定を変えて数コマ写してあとで確認すると,火星がちゃんと写っていました。

 いつも書いているように,何事も確かめるに限ります。
 こうしてまた,疑問がひとつ,いや,ふたつ解けました。

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◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

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☆☆☆☆☆☆
 8月27日,青空が見られたのは何日ぶりだったでしょうか。この夏晴れたのは,私が星を見にいった8月5日と8月11日の早朝だけでした。もう二度と晴れないのだろうか,とさえ思っていました。
 しかし,空には,主だった彗星もなく,しかも,まだ月が明るくて夜9時には昇ってくるので,晴れていても星を見にいく時期ではありません。
 ということで,この日は太陽と惑星をなんとなく見ることにしました。

 まずは太陽です。
 「国立天文台太陽観測科学プロジェクト」の twitter によると
  ・・・・・・
 2021年8月27日の黒点数。
 北半球 g:2,f:8,R:28,南半球 g:2,f:12,R:32,全面g:4,f:20, R:60(gは黒点群,fは黒点数,Rは黒点相対数を表す)。
 活動領域12859,12860,12861の黒点群とまだ番号がついていない黒点群が見えています。
  ・・・・・・
ということだったので,夕方写真を写しました。お昼間は高度が高いので夕方のほうが写すのが楽だからです。それが1番目の写真で,左下の黒点が#12860,右上が#12859です。
 このくらいたくさんの黒点があると写しても楽しいです。

 次に夕方西の空です。
 太陽が沈んで見えてくる明るい星が金星で,これは晴れていればだれでも見られる星ですが,太陽が沈んだ後に地平線ぎりぎりに見える「はず」なのが水星です。これはよほど条件がよくないと見られません。
 夕方の散歩の途中,家の近くはほぼ地平線付近まで視界が開けているので,目を凝らして見てみました。そのうち,奇跡的に肉眼で水星が確認できました。残念ながらカメラを持っていなかったので,iPhone8で手持ちで写してみたのですが,ちゃんと写ったのでびっくりしました。それが2番目の写真です。左が金星,右下が水星です。時間は午後6時58分。この時間の水星の高度はわずか4度でした。
 近ごろは,こういった「どこまで写るかな?」というのを確かめるのが楽しいです。そして,いつも,結構見えるもんだなあ,結構写るもんだなあ,というのが結論です。何こともやってみなくてはわかりません。


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 5月26日はスーパームーンであり皆既月食。家のベランダから見ることができるので,楽しみにしていたのですが,残念ながら曇ってしまいました。
  ・・
 それ以降も,連日,天気が悪かったのですが,5月29日は久々にいい天気になりました。
 このごろは星を見るよりも,星を見にいくために深夜にドライブをすることや,だれもいない深夜の野原で星を見ることが楽しくなってきたので,特に何をということもなく,星見に行くことにしました。

 現地に到着したのが午後7時30分過ぎでした。
 まず,西の空に輝く金星と,金星に大接近している水星を写すことにしていたのですが,なんとか間に合いました。
 ずいぶんと高度が低いので写るのか疑問でしたが,写すことができました。それが今日の1番目の写真です。
 金星が沈むころ,次第に空が暗くなってきました。
 昨年は立て続けに明るい彗星が接近していたのですが,今年は明るい彗星がほとんどありません。そんななか,現在はパロマ彗星(C/2020T2 Palomar)が10等星ほどでうしかい座に見えるということだったので,次に狙いました。
 うしかい座はほぼ天頂です。天頂付近というのは,逆に大変です。私の使っているような古い望遠鏡では自動に星を導入してくれないので,ファインダーで探さなければなりません。首が痛くなります。
 1等星アークトゥルスから追っていって,難なく場所が特定できたので写してみると,さすがに天頂付近は空も暗いので,小さな彗星状の天体が簡単に写りました。それが今日の2番目の写真です。写真の中央,ふたつある星のうち上のものです。

  ・・・・・・
 パロマ彗星は,カリフォルニア工科大学天文学部のDmitry A. Duevさんの通報によると,2020年10月7日,パロマ天文台(Palomar)にある口径1.2メートル「サミュエルオシン」(Samuel Oschin)シュミット望遠鏡に新たに取りつけられた47平方度の広視野光学観測装置(ZTF=Zwicky Transient Facility)を利用したサーベイ(Zwicky Transient Facility's Twilight Survey)で得た画像から発見された彗星です。
  ・・・・・・

 それ以外に明るい彗星もないので,そのあとは,おおくま座のメシエ天体を気の向くまま写すことにしました。
 まずは,子もち銀河とよばれるM(メシエ)51。これが3番目の写真です。次に,回転花火銀河M101。4番目の写真です。そして,最後5番目の写真がフクロウ星雲M97とそのとなりにある銀河M108です。
 おおくま座の北斗七星のまわりには,こんなおもしろい天体がたくさんあって,そのどれも,簡単に写すことができます。こうした天体を写しながら,数年前,メシエ天体をすべて写そうと何度も暗い場所をめざして走り回ったころのことを思い出しました。当時は苦労したのに,今では,簡単にピントも合わせられるし,場所も特定できるようになりました。
  ・・
 そうこうしているうちに月が昇ってくる時間になったので,帰宅することにしました。
 満天,とはいいがたい星空ですが,それでも,まったく人のいない野原で星空を眺めて過ごすのはとても楽しいことです。
 こんな楽しみをもっていたことがうれしいこのごろです。


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☆☆☆☆☆☆
 星のきれいな季節です。今は,春と違って,空が澄んでいて,しかも,夜が長いこともあり,また,それほど寒くないので,ずいぶん楽しめます。
 今年のこの時期,次のような見ものがあります。
  ・・・・・・
 11月中旬ごろ,未明から明け方の東南東の低空で,明けの明星の金星とおとめ座の1等星スピカが接近して見える。最接近は11月17日ごろで,4度未満まで近づく。
 また,左下のほうには水星も見える。また,13日には細い月も近づいてくる。
  ・・
 明け方の東南東の低空に見えている水星が,11月11日に太陽から最も離れて西方最大離角となる。日の出45分前の高度は約9度でかなり低いが,水星としては見やすいほうだ。
 やや離れているが,水星の右上のほうに明けの明星の金星も輝く。
  ・・
 11月13日の未明から明け方,東南東の空で月齢27の細い月と金星が接近して見える。地球照を伴った幻想的な細い月と金星の共演は,数ある月と惑星の接近の中でも随一の美しさだ。
 下のほうには金星と接近中のスピカが見える。さらに下には西方最大離角を過ぎたばかりの水星もあり,翌14日の明け方にはいっそう細くなった月と大接近して見える。
  ・・・・・・

 ということで,11月13日,ここに書かれた星々を写してみました。
 このような天体現象は,さほど珍しいモノではないのですが,晴れていて,地平線近くまで空が開けた場所でないと見ることができません。また,金星,水星,月などの位置関係が,毎回微妙に異なるので,何度見ても見飽きることはありません。
 早朝,このような美しい風景に出会うと,その日は何かいいことが起こりそうな気がします。
 それにしても,空ではこれほど美しい競演が行われているのに,それに気づかない人がなんと多いことか!


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☆☆☆☆☆☆
 地上のことはさておき,空の上ではおもしろい出来事が連日あって,この春は忙しい毎日です。月というものがなくいつも天気がよければ予定も立つというものですが,月明かりと雲が予定を阻害します。しかし,それもまたよしと思える歳になってきました。
  ・・
 さて,この春の見ものは,第一にアトラス彗星(C/2019Y4 ATRAS)でしたが,あえなく分裂して,期待に反して明るくならず,でした。そうこうするうちに,南半球ではスワン彗星(C/2020F4 SWAN)が明るく見えているという情報が伝わって,南半球なんて関係ないや,と思っていたら,彗星が太陽に近づいてくるにつれて日本でも地平線すれすれに見ることができるようになったのには,うれしいというより参りました。このことはすでに書きました。

 これらのことはパプニングとして,私がずっと楽しみにしていたのは,パンスターズ彗星(C/2017Y4 PanSTARRS)がおおくま座にある銀河M81,M82,NGC3077に大接近するということと,月齢2の月が金星と水星に接近するというふたつの出来事でした。
  ・・
 彗星は銀河M81,M82,NGC3077に接近したあとは次第に遠ざかるのですが,最も近づくのが5月23日で,その前後数日は同じ画角の写真の視野に入ります。また,条件最悪のスワン彗星とは違って,この時期は新月の前後なので条件もよく,また,彗星の位置も北極星に近いので,一晩中見ることができます。
 しかし,このごろはすでに梅雨空のようになってしまい,3月から4月にかけて毎日晴れ渡っていたのがなつかしく感じるようになりました。5月23日もまた,さえない天気でしたが,予報では明日以降も晴れそうになかったので,ダメもとで,曇ってしまったときは深夜のドライブを楽しむつもりで出かけました。
 現地に着いたとき,なんとか北極星とおおくま座が見える程度で空のほとんどは曇っていてがっかりしました。おおくま座のM81とM82はとてもわかりずらいところにあるので,晴れていても視野に入れるのが大変なのに曇り空では打つ手もなく,しかも,この日はおおくま座は天頂に近く望遠鏡を覗くのもまた大変でした。苦労のあげく,なんとかふたつの銀河M81とM82の近くにあるおおくま座24番星(4.5等星)をファインダーに入れることができたので,やっと場所が特定できました。
 おそるおそる写してみたのですが,はっきりと銀河と彗星が写っていました。それにしても,こんな曇り空でも8等星の彗星が写るのが驚きです。
  ・・
 こうして,私は,前回のスワン彗星に続いて,今回もなんとか写真に収めることができて,すっかり満足しました。

☆ミミミ
その翌日5月24日は,月と金星と水星の接近でした。
私が上に書いた彗星を写した23日は金星が午後8時ころには思っていたより高い位置に簡単に見つけることができたので,次の日も晴れていれば期待できそうかな,と思ったのですが,当日は雲があって絶望的でした。しかし,前日に金星の位置を確かめることができたのが幸いしたことと,幸運にも雲が切れて,沈む寸前に美しい姿を写すことができました。
これもまたツキにめぐまれました。
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☆☆☆☆☆☆
 今,夕方の西の空に金星がきれいです。
 金星は大きさと質量が地球によく似た惑星です。公転周期は225日ですが,地球とは違って自転周期は243日と長く,しかも自転の方向が公転とは逆です。また,地球のように大気があるのですが,分厚く覆われているので地表の温度は約摂氏470度もあり,二酸化硫黄の雲から硫酸の雨が降っているといいます。
 金星は地球より内側を公転しているので月と同じように満ち欠けします。太陽の反対方向に見えることはないので,地球と金星と太陽の位置関係から,夕方の西の空(宵の明星)か明け方の東の空(明けの明星)にしか見えません。金星が太陽から東に最も離れて夕方の西の空に最も高く見えるときが「東方最大離角」で,反対に太陽から西に最も離れて明け方の東の空に最も高く見えるときが「西方最大離角」です。
 今年の金星は5月ごろまで夕方の西の空にひときわ明るく輝いていて,3月25日の東方最大離角をすぎると,次第に太陽に近づいていきます。4月28日には最大光度を迎えました。

 金星は,およそ1か月に1回くらいのペースで細い月と並んで見えます。ちょうど今月は25日から27日までがそうでした。3日間にわたって,次第に月が金星に接近するのを見ることができました。金星の輝きはそれだけでも美しいものですが,幻想的な細い月と金星が夕空に並ぶ光景は幻想的です。また,この時期の金星は望遠鏡で眺めると,月と同じように三日月状に見えます。
 この3日間は幸い天気に恵まれたので,写真に収めることができました。今日の2番目の写真の左側が4月25日,そして右側が4月26日です。4月26日は少し雲があったのですが,なんとか見ることができました。そして,最も近づいた4月27日が今日の1番目の写真です。この日はさらに,望遠鏡を使って,月と金星の拡大写真も写すことができました。
  ・・
 金星はプレアデス星団M45との大接近も起こります。今年は4月4日ころ,最もプレアデス星団に近づきましたが,そのときに写した写真が3番目のものです。
 この先の見ものは5月24日です。この1か月で金星は急速に高度を下げていくのですが,5月24日は夕方の西の低い空で水星と大接近し,そこに月齢1.7の細い月が並びます。今から楽しみです。晴れるといいなあ。

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 コロナウィルス騒動が続いていますが,気がつけば3月,もう春です。そしてまた,3月も満月が過ぎて,星見の時期になってきました。
 私は人混みがきらいだし,スポーツジムもライブハウスも無縁で,誰も人がいない空の広い,そして暗い場所で星空を眺めるのがもっとも落ち着きます。しかし,こんなものが流行してしまうと海外旅行をする気にならないのだけが誤算です。
 現在,夕方の西の空に「宵の明星」とよばれる金星が高く輝やいています。実はその近くに天王星がいるのですが肉眼ではまず見えません。そこで,3月12日の夕刻は天気がよかったので,金星と天王星を同じ画面に収めようと,画角を調べてみると180ミリ望遠レンズなら一緒に撮ることができることがわかったので,そのレンズを持って,日没を待って写しにいきました。

 子供の頃,惑星の名前を「水・金・地・火・木・土。天・海・冥」と覚えました。今は冥王星は惑星の座から降りた(降ろされた)ので「水・金・地・火・木・土。天・海」です。
 これを英語では,
 My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.
というように,惑星のスペリングの先頭の文字で覚えるのだそうです。ちなみに,
 水星=Mercury
 金星=Venus
 地球=Earth
 火星=Mars
 木星=Jupiter
 土星=Saturn
 天王星=Uranus
 海王星=Neptune
 冥王星=Pluto
です。しかし,冥王星を抜いてしまうと文書にならないので,新たな覚え方というのが発案されたそうです。
 それは,たとえば
 My Very Educated Mother Just Served Us Nachos.
 My Very Educated Mother Just Served Us Noodles.
の類ですが,最後の「Nine Pizzas」を別のモノに変えただけです。
 
 さて,水星から土星までは明るく,簡単に肉眼で見ることができるのですが,天王星と海王星は暗いので,簡単には探せません。とはいえ,天王星は意外と明るく,理屈では肉眼で見られないこともないのですが,海王星となるとお手上げです。たとえ,天王星や海王星を位置を調べて望遠鏡の視野に入れても,小さな望遠鏡では単に恒星のようにしか見えないので,それが天王星や海王星なのかはなかなか区別がつきません。そこで,金星が近くにあると,星の並びから容易に探しだせるというわけです。
 ということで,今日の1番目の写真は,この晩に写したものです。
 ちなみに,2017年1月12日に金星は海王星と接近しました。そのときに金星と海王星を同じ視野に入れて写したものが,今日の2番目の写真です。
  ・・
 この晩はこれで目的を果たしたので早々に帰ろうと思ったのですが,せっかくなので,機材を入れ替えて,いつもの望遠鏡でパンスターズ彗星(C/2017T2 PanSTARRS)も写してみました。それが3番目の写真です。この彗星は7月ごろまではまだ今よりも少し明るくなる予報なので,まだまだ写すことができます。
 また,この晩は写しませんでしたが,アトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS)が5月ごろに,ずいぶんと明るくなるという予報が出ています。ひょっとしたら大化けするかもしれません!
 それに加えて,3月18日から19日にかけて,明け方の東の空に,火星と木星と土星,それに加えて月が大接近するので,今から楽しみです。午前3時30分ごろ,東の空が開けたところなら,3つの惑星と月が同じころに昇ってくる姿が見られます。晴れるといいなあ。

◇◇◇
私は,星を見ていると,もののスケールや時間のスケールがいつも気になりますが,多くの人はそういうことをほとんど考えません。たとえば,今流行しているコロナウィルスですが,愛知県で感染者が100人といっても,愛知県の人口は750万人あまりだから,感染者は7万人に1人。日本中では感染者が1,500人弱で日本の総人口は1億3,000万人弱なので,10万人に1人ほどです。これは,「年末ジャンボプチ」の1等1,000万円に当選するのと同じくらいの確率です。ちなみに,コロナウィルスほど騒がれませんが,2018年9月第1週から2019年2月第2週までのインフルエンザの累積予想患者数は10,448,891人(約1千万人)でした。
また,マスクを買うのに行列を作っていますが,私はこのご時世,人混みで行列を作っていることのほうがずっと危険だと思うのです。実際,マスクの目の大きさは約5μm,それに比べて,コロナウイルスの大きさは0.05μmから0.2μmで約50分の1ほどなので,マスクの目をすり抜けます。しかし,ほとんどの人は,こうしたことをまったく知りません。マスク洗って何度も使っているいる人,マスクを汚いポケットにしまったり,テーブルに置きっぱなしにして食事をしている人さえいます。屋外や車の中のように,マスクが必要でない場所で貴重なマスクを無駄遣いしている人もいます。さらに,マスクを顎に下げて,コロナウイルスよりよほど有害なタバコを吸っている人もいます。マスクを市販の布で自作している人もいますが,マスクはマフラーとは違います。目の粗い布で作っても,それは,形がマスクであるだけで,マスクの機能をみたさなけば意味がありません。それはたとえば,「倍率100倍の双眼鏡!」のような,双眼鏡の形をしているだけのマガイモノのようなものと同類です。
スギ花粉はマスクの目よりもずいぶん大きくて20μmなのでマスクで侵入を防げるのですが,正しくマスクを使わない人がマスクを買い占めることで,気の毒にも花粉症でマスクが本当に必要な人や,医療従事者のようにマスクの必要な人の手にゆきわたらないということにもなっています。
ちなみに,政治家など言わずもがな,「情報の信ぴょう性」を指導しなけらばならない教育者や「正しい情報の伝達」を最も重視しなけらばならない報道関係者でも,こんなことすら知らない人がいます。また,そうした人に限って,正しい使い方を知らず教えず単にマスクの着用をよびかけたりしているのは,「偏差値」の正しい意味も知らずに進路指導をする教師同様,きわめて嘆かわしい話です。
無題

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 この季節は夜明けが遅いので,朝6時ころに東の空を見上げると,とても幻想的で美しいです。今年はそんな明け空に,さらに,金星,木星,土星が毎日位置を変えていって,そこに月が月齢を変えながら惑星の間をかけぬけていくのが見られるので,さらに幻想的で,どれだけ見ていても飽きません。

 今日の1番目の写真は2月1日(金)のものです。この日は金星と月齢25.8の月が大接近しました。
 そして,2番目と3番目の写真はその翌日2月2日(土)です。月は月齢26.8。あっという間に金星から遠ざかりました。この3番目の写真には右手上方にさそり座が写っています。月のさらに下には土星があるのですが,残念ながら雲に隠れて見えませんでした。
 さらに,4番目と5番目の写真は2月3日(日)のものです。月齢は27.8。月の出はさらに遅くなって,土星が月より先に昇りました。月齢27.8の細い月は肉眼で見ることができるのかな,と思ったのですが,予想以上に明るく輝いていました。
 これらの惑星いる位置はさそり座からいて座にかけてなので,ひょっとしたら,もっと空の暗いところに出かければ,夏の銀河のなかに惑星が輝いているという美しい写真が写せたかもしれません。一度,遠出をして写してみたいものです。

 以前このブログに書きましたが,月はどの月齢まで写せるのでしょう?
 地球を回る月の軌道は楕円なので,月齢がいくつまであるかは毎回異なります。また,今回は月齢が25.8,26.8,27.8というようにコンマ8のまま毎朝1ずつ変化するので,この時期に26.5のようなコンマ5の月を見ることはできませんから,どの月齢まで見ることができるかを確かめるには長い年月がかかります。
 今回の周期では,月齢は29.3までで0.0,つまり新月になりました。月齢27.8の翌日2月4日(月)は28.8でしたが,月が昇ってわずか10分もすれば日の出なので,果たして月齢28.8の月が見れらるのかどうか。それを確かめてみたいと思って,月が昇ってくる場所を調べて翌日を楽しみに待ちましたが,残念ながら曇ってしまっていて確かめることができませんでした。

 これまでに私が写した中で,最も月齢が小さいのは0.9で,反対に最も月齢が大きかったのは28.4でした。ともに今から3年前に確かめてみたものですが,その月齢の月はどちらも肉眼でもはっきり見えたので,もう少し月齢の小ささものと大きなものも写せるような気がします。
 今は当時よりも機材を整備したので,もう少し月齢が小さいものと大きいものにチャレンジしてみたいと思ったことでした。

☆ミミミ
月の写真を撮る②-月齢29と月齢1は写せるのか?
月の写真を撮る③-ついに撮ったぞ! 月齢0.9
月の写真を撮る④-ついに撮ったぞ! 月齢28.4
月・火星・木星・土星-小さな望遠鏡で惑星を写すと…

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C_2014S2_PanSTARRS_20151025DSC_4758st水金地火木金星 木星

 連日の晴天で,月も暗く,オリオン座流星群の極大期で,しかも,明け方の東の空に惑星が四つ,さらに,国際宇宙ステーションが夕方の空に見られる。このように天界は大忙しでした。
 天気予報は,夜だけ曇,という予報が続き,あまりの晴天続きで茶色く濁って,星を見にいくべきかやめるべきか,迷っているうちに,月齢12になってしまいました。
 土曜日の夜は,午前2時くらいまでは雲がでるけれど,そのあとは晴れ上がるという予報だったので,どっちみち月が沈むのが午前3時だから,明け方の星を見にいくことにしました。

 見たかったのは,2つのパンスターズ彗星と明け方の惑星,そして,おまけのオリオン座流星群でしたから,明け方の空さえ晴れてくれれば問題ありません。しかも,夜明けのドライブは,星を見るよりも楽しいので,うきうきと,深夜1時過ぎに家を出ました。
 家を出るときはものすごい風が吹いていて,まさに前線が通過する感じ,これなら大丈夫と思ったのですが,いつもの場所に着いたら,もう風は止んで,代わりに,天気が変って,冬型になりました。そんなわけで,同じ快晴でも,昨日の濁った空とは違って,日曜日はまさしく秋晴れ,澄んだ青空が広がりました。

 パンスターズ彗星2つ,そのひとつは「C/2014S2 PanSTARRS」というもので,前回北極星に大接近したときに写真に撮ったものです。その後,こいぬ座をゆっくりと動いています。もうひとつは「C/2013X1 PanSTARRS」で,こちらのほうが大物で,来年の夏に6等星になるといわれていますが,現在はまだ12等星。ぎょしゃ座のカペラ付近を動いています。
 月が沈んだので,まず,パンスターズ彗星(C/2014S2 PanSTARRS)を狙いました。急激に増光して予報より明るいということでしたが,問題は天の北極に近く,望遠鏡を操作するのが難しかったことです。何とか視野に入れると,簡単にうつりました。それが1番目の写真です。しっかり尾も見えるし,このくらいの彗星はかわいくていいです。
 次はパンスターズ彗星(C/2013X1 PanSTARRS)です。1等星カペラは天頂に輝いています。天頂というのは贅沢な話ですが最悪です。ファインダーが覗けないので位置が定まりません。なんとか彗星のある位置を探して1枚だけ写しましたが,写っているのやらいないのやら,写真を見て探す気も失せました。

 こうしている間も,オリオン座は南の空高く輝いていましたが,流星なんて,ひとつも見えません。今年のオリオン座流星群はだめです。広角レンズで時々オリオン座付近を写したのですが,ひとつも写りませんでした。その時の写真の1枚が2番目のものです。この写真に流星が写っていれば最高だったのですが…。
 この夜,2時間で,ものすごく明るい流星を3個見たのですが,見たときにその視野を写していなかったのが不運でした。1番残念だったのが,3番目の写真を写した直前に,ちょうどその場所に流星が出現したときでした。

 東の空には金星と,それに寄り添うように木星が昇ってきました。その下には火星が輝いています。
 金星と木星は焦点距離750ミリ相当の画角に収まるほど接近していたので,露出時間をかけて写しました。ここに載せた4番目の写真は1分ほど露出したのもで,金星が派手に明るく写りましたが,木星の周りにあるガリレオ衛星のうちのひとつ・イオは木星の光に吸い込まれてしまいました。もっと露出時間の少ない写真には写っているのですが,難しいものです。
 そして,午前5時。
 東の空には,金星,木星,火星,そして,上ってきた水星,地上の風景は地球ですから,水・金・地・火・木星が見えるようになりました。
 土星だけは,夕方西の空に見えていました。
 家に帰る途中,高度を上げた水星が,夜明け前の東の空,山々の上に元気に輝いているのを肉眼でもはっきり見ることができました。

 お金を出して,高性能の望遠鏡やカメラを買えば,もっとすばらしい写真が写せるのですが,私は,これまで40年以上長年付き合ってきた自分の持ち物を,恩返しのつもりで使い続けています。若いころにせっかく手に入れたものだから,その持って生まれた能力を十分に発揮させてやりたいものだと思っています。別に,学術的な研究をしているわけでもなく,自分の精神的な満足を手に入れることが目的だから,私にはこれで十分です。
 それにしても,頭ではわかっていても,実際に写すのは本当に難しいものだと,いつも思います。だからこそ,楽しいのです。そして,夜明けはいつ味わっても気持ちのよいものです。
 今日は十三夜。月も明るくしばらく星見もお休みです。

◇◇◇
The Beautiful Moon in the Chestnut Season.

The lunar calendar, the night of the Moon age 13 in September is "Ju-san Ya".
 It is also called "Kuri Meigetsu" or the Beautiful Moon in the Chestnut Season.
If we don't watch both the Harvest Moon and this,
it is less favorable as single moon-viewing.

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20121212 月齢27

  ・・・・・・
 今こむと
 言ひしばかりに 長月の
 有明の月を
 待ちいでつるかな
    素性法師
  ・・・・・・
 冬の夜明け前は,凍てつくような寒さに身も引き締まりますが,ことしのこの時期には,素敵な贈り物があります。それは,2月26日から28日にかけて,東の空に,月と金星と水星が並んで見られることです。
 昨年も見ることができましたが,朝焼けの中,幻想的な三つの天体の姿をご覧になってはいかがでしょうか。

 おすすめは,2月27日です。早朝5時30分頃,地平線すれすれに水星,そして,少し高く金星,その真ん中に月齢27の月が見られます。その前後は,月の位置と姿が少しずつ変わって見られます。28日になると,見えるか見えないかのうすい月が地平線すれすれに水星のとなりに見られるかもしれません。
 いつでも簡単に見られる金星はともかく,なかなか見られない水星,そして,うすっぺらな月の姿を見ることのできる絶好の機会です。

  ・・・・・・
 水星は太陽系のいちばん内側を回る惑星で,太陽からの平均距離はわずが5,791万キロメートル。地球から太陽までの距離の0.14倍です。直径は4,880キロメートルと月より少し大きく,地球のおよそ0.4倍の非常に小さな惑星です。重さは地球の0.06倍しかありません。また,自転周期は58.65日,公転周期は87.969日です。
 地球から見た水星は,太陽のそばをへばりつくように動いているので,太陽の光が邪魔になってなかなかその姿を見ることができません。地動説で有名なコペルニクスでさえ,死の床で「私は生涯,水星という天体を見ることがなかった」と嘆いたそうです。
  ・・・・・・
 このように,なかなか見ることのできない水星ですが,太陽から最も離れたときだけ,日の入り後の西の空,または日の出前の東の空低くに見るチャンスがあります。しかし,日の入りと日の出ごろの水星の高度は20度程度しかないので,西または東の方角が開けていて街明かりが少なく,スモッグなどの影響を受けにくい場所でしか見ることができません。
 だから,日の入りまたは日の出時刻の前後40分から1時間くらいの間が勝負になります。そのころの明るさは,一番明るいときでだいたい0等星くらいなので,肉眼で十分見える明るさかと思われるでしょうが,空は薄明状態,意外と苦労します。

 水星を天体望遠鏡で見てみると,地球の軌道の内側を回る内惑星なので,やはり大きさを変えながら満ち欠けをします。日を追って観測すれば水星の満ち欠けを観測できるはずです。しかし,高度が低い水星は大気の影響を受けやすく,その映像をハッキリととらえるのはなかなか難しいかもしれません。
 私は,子供のころ,水星を見るのは大変だと聞いて,条件のよかった日の夕方に,わざわざ家の屋根に上って見たことがありますが,実は,そんなに苦労しなくても,特に,冬は夜明けが遅いので,夕方よりも街灯がないだけ空が暗い明け方には,けっこうきれいに見ることができます。
 昨年の11月下旬には,アイソン彗星の隣に輝いていて,水星ってこんなに高いところに見えるんだ,と私は驚きました。実際は,アイソン彗星の高度がかなり低かっただけなのですが。

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 金星も地球の軌道の内側を回る惑星で,太陽と金星の距離は地球と太陽の距離の0.72倍。金星の半径は6,052キロメートルで地球の0.9倍,重さも地球の0.94倍と,大きさは地球によく似た惑星です。
 自転周期は243日と非常に長く,公転周期の225日よりも長くなっていて,しかも地球の自転とは逆向きなので,金星では太陽は西から昇って東へ沈むことになります。
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 望遠鏡で金星を見ると,まばゆく輝く以外にこれといった特徴はつかめません。金星は暑い雲に覆われているため,表面の様子はまるでわからないからなのです。現在では,雲の主成分は二酸化炭素であることがわかっています。雲の内部では濃硫酸の雲が形成され,濃硫酸の雨が降っているのです。ただし,この雨は途中で蒸発してしまうので,地表に到達することはありません。また,雲の厚さがあまりにも厚いため,地表での気圧は90気圧と地球の90倍にも達します。このすごい気圧のため,初めて金星を訪れた探査機は圧力に耐え切れずに押しつぶされてしまったそうです。
 このように,金星の大気の主成分は二酸化炭素であるため,温室効果によって金星の地表の温度は470度にも達しています。濃硫酸の雨に90気圧の大気。そして鉛も溶けるほどの高温。金星は地獄のような惑星なのです。

 金星はこのように表面模様は見えないので,その形を観測することになります。三日月のような形から満月のような形まで大きく変化し,形の変化(満ち欠け)にあわせてその大きさも変化します。
 地球から見た金星は非常に明るくて,その明るさは最大でマイナス4.7等にも達します。金星は夕方か明け方に見えるので,夕方に見える場合は宵の明星,明け方に見える場合は明けの明星とよばれて親しまれています。一番星として見つけることができるのは,たいていはこの金星です。
 知らないと,あまりにも明るいので,「謎の飛行物体では?」と勘違いすることもあります。また,真夜中に南中することはありませんが,太陽から最も離れたときには47度にもなるので,けっこう夜遅くなっても,あるいは,明け方早くから見ることができて,驚くこともあります。

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